複数内定で迷う弁護士へ|転職先を選ぶ際の判断軸と後悔しないための考え方
- INDEX
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複数内定を比較するには、まず選考の「足並み」をそろえる
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複数内定で大切なのは「内定先ではなく自分を軸に考える」こと
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内定先を比較する前に整理したい5つのステップ
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複数の内定先を比較するときの6つの判断軸
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「今の条件」と「長期的なキャリア」のどちらを重視するか
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足りない情報はオファー面談などで確認する
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まとめ
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転職活動を進め、複数の法律事務所や企業から内定が出ると、うれしい反面、「結局どこを選べばよいのか」と迷うことがあります。
A事務所は年収・報酬が高いものの、B事務所のほうが希望する案件を担当できそう。企業への転職も含めて考えると、働き方や将来のキャリアパスまで違って見える。こうした状況では、条件を並べるほどかえって決めにくくなることもあります。
複数内定から転職先を選ぶときに大切なのは、「どこが一番良いか」を決めることではありません。「自分がこれからどのような弁護士になりたいか」に照らして、自分に合う環境を見極めることです。
本記事では、複数内定を比較できる状態をつくるための選考スケジュールの考え方から、内定先を比較する具体的な判断軸、不足している情報の集め方まで解説します。
複数内定を比較するには、まず選考の「足並み」をそろえる
複数の内定を比較したい場合、内定が出てからではなく、応募・選考の段階から準備しておくことが大切です。
第1志望の事務所や企業だけ選考が先に進み、他の応募先がまだ書類選考や一次面接の段階にあると、先に出た内定の回答期限までに他の結果が出ないことがあります。そうなると、複数の選択肢を同じタイミングで比較することが難しくなります。
そのため、志望度の高い応募先が複数ある場合は、できる範囲で選考の進捗をそろえることを意識しておきましょう。
自分で応募している場合は面接日程を調整し、転職エージェントを利用している場合は、他の選考状況も共有したうえでスケジュールを相談する方法があります。
もちろん、採用側の事情もあるため、すべての選考を完全に同じペースで進められるとは限りません。無理に日程を引き延ばすのではなく、比較検討したい応募先があることを踏まえ、可能な範囲で足並みをそろえておくことがポイントです。
複数内定で大切なのは「内定先ではなく自分を軸に考える」こと
複数の内定が出ると、「A事務所とB事務所ならどちらがよいか」「法律事務所と企業ならどちらがキャリアに有利か」と、内定先同士を直接比べたくなります。
しかし、一般的に評価の高い環境が、自分にとって最適とは限りません。
たとえば、A事務所は年収・報酬が高く、B事務所は自分が希望するM&A案件に関与しやすいとします。この場合、報酬と案件を単純に比較するだけでは、どちらを選ぶべきかは決まりません。
「今後数年で専門性を高めたいのか」「収入を優先したいのか」「将来は独立したいのか」「インハウスロイヤーとして事業に近い立場で働きたいのか」など、自分が目指すキャリアによって判断は変わります。
まずは、内定先を比べる前に、「自分は何を実現するために転職するのか」を整理することが重要です。
内定先を比較する前に整理したい5つのステップ
内定が出てから短期間で結論を出そうとすると、年収・報酬や事務所の知名度など、目につきやすい条件に判断が引っ張られやすくなります。
内定後だけでなく、転職活動中から次の5つのステップを繰り返し考えておくと、複数内定を比較するときの軸をつくりやすくなります。
STEP1 将来どんな弁護士になりたいかを考える
最初に考えたいのは、自分がなりたい将来の弁護士像です。
たとえば、「M&Aや訴訟など特定分野の専門性を高めたい」「幅広い企業法務を経験したい」「パートナーを目指したい」「いずれ独立したい」「インハウスロイヤーとして事業に深く関わりたい」「ワークライフバランスも大切にしながら長く働きたい」など、方向性は人によって異なります。
この段階では実現可能性を細かく考えすぎず、自分が望む働き方やキャリアを書き出してみましょう。
自分の強みや価値観、これまでの経験を整理したい方は、「弁護士の転職における自己分析」のコラムもあわせて参考にしてみてください。
STEP2 将来像から必要なキャリアパスを逆算する
次に、思い描く将来像にたどり着くために、どのようなキャリアパスが必要かを考えます。
たとえば、将来M&Aを中心に扱いたいのであれば、単に案件数が多い環境だけでなく、どの程度の役割を任せてもらえるかも重要です。
独立を考えているのであれば、事件処理だけでなく、顧客対応や案件獲得、事務所運営などに触れられる環境が将来につながる場合もあります。
将来像から逆算することで、「有名な事務所だから」「年収が上がるから」といった理由だけでは見えにくい判断基準が出てきます。
STEP3 いつ、どこで、どんな経験を積むかを考える
必要な経験が見えてきたら、それをどのタイミングで、どのような環境で積むのがよいかを考えます。
同じ経験でも、若手のうちに数多く経験したほうがよいものと、一定の基礎を身につけてから担当すべきものは違います。
また、法律事務所だからこそ経験しやすい業務もあれば、企業の事業部門と近いインハウスロイヤーだからこそ経験しやすい業務もあります。
「いつ」「どこで」「どのような経験を積むか」まで具体化すると、内定先を見る視点が明確になります。
STEP4 今の自分に必要な経験を絞り込む
長期的なキャリアを考えたうえで、今の自分に必要なものを絞り込みます。
専門性を深めることが最優先なのか、案件を自分で回す力をつけたいのか、マネジメント経験を得たいのか、企業でビジネス感覚を身につけたいのかによって、今選ぶべき環境は変わります。
すべてを一度の転職で得ようとせず、「次の3~5年で何を得たいか」と区切って考えると整理しやすくなります。
STEP5 内定先でその経験を積めるかを比べる
ここで初めて、内定先を比較します。
求人票や面接で聞いた内容をもとに、「自分が今必要としている経験を、どの程度積めそうか」という視点で見ていきます。
年収・報酬、働き方、案件、組織風土なども、自分のキャリアとの関係で評価すると、優先順位をつけやすくなります。
複数の内定先を比較するときの6つの判断軸
自分のキャリアの軸を整理したら、具体的に内定先を比べていきます。
比較項目を増やしすぎるとかえって決めにくくなるため、まずは次の6つの視点から整理してみましょう。
①入所・入社後にどんな経験を積めるか
最初に確認したいのは、実際に担当する仕事です。
法律事務所であれば、取扱分野だけでなく、案件の配点方法、若手がどこまで前に出られるか、顧客対応や交渉を担当できるか、レビュー体制がどのようになっているかなども確認したいところです。
企業であれば、契約法務が中心なのか、M&A、紛争、コンプライアンス、商事法務などにも関与できるのか、事業部門との距離はどの程度かを確認します。
「その分野を扱っているか」だけではなく、「自分がどこまで担当できるか」まで見ることが大切です。
②5年後・10年後のキャリアにつながるか
入所・入社直後に得られる経験だけでなく、その先も考えてみましょう。
数年後にはどのような案件や役割を任されるのか、パートナー登用はどのように考えられているのか、企業であれば管理職や専門職としてどのようなキャリアパスがあるのかなどを確認します。
将来のキャリアは確定しているものではありませんが、現時点で想定されている道筋を知ることで、自分の希望とのずれを見つけやすくなります。
③事務所・企業の方向性と自分のキャリアが合うか
内定先そのものの方向性も確認しておきたいポイントです。
法律事務所であれば、今後強化したい分野や顧客層、採用方針、組織拡大の考え方などが参考になります。
企業であれば、事業フェーズや海外展開、新規事業、M&Aなどの方針によって、法務に求められる役割も変わる可能性があります。
重要なのは将来を予測することではなく、現在示されている方向性が、自分のキャリアと合っているかを確認することです。
④年収・報酬、働き方、評価制度を同じ条件で比べられるか
年収・報酬は重要な比較項目ですが、提示額だけを見ると判断が鈍ることがあります。
・法律事務所
固定報酬だけでなく、賞与、歩合、個人受任、経費負担なども確認します。
・企業
基本給、賞与、残業代、各種手当など、年収の内訳まで見ておきたいところです。
・働き方
働き方についても、勤務時間やリモートワークの有無だけでなく、実際の業務量や繁忙期、休日対応などを確認します。
さらに、初年度の条件だけでなく、昇給や評価の仕組みまで分かれば、中長期の違いも比較しやすくなります。
⑤採用側からの期待と自分が望む役割が合っているか
内定先を比較するときは、採用側が自分にどのような役割を期待しているのかも確認しておきましょう。
同じ求人であっても、採用する人の経験やスキルによって、入所・入社後に任せたい仕事は異なることがあります。そのため、自分が転職後に取り組みたい仕事と、採用側が想定している役割が一致しているかを確認することが大切です。
たとえば、自分はM&Aの経験を増やしたいと考えていても、採用側はこれまでの労務経験を評価し、入所・入社後も労務案件を中心に任せたいと考えているかもしれません。この場合、内定先の取扱分野にM&Aが含まれていても、自分が希望する経験を積めるとは限りません。
内定後の面談などで、どのような経験を評価されたのか、入所・入社後にどのような案件や役割を期待されているのかを確認し、自分が希望するキャリアとのずれがないかを見ておくとよいでしょう。
⑥ 人だけでなく組織との相性も確認できているか
面接で出会ったパートナーや上司に魅力を感じ、それが転職の大きな理由になることもあるでしょう。
ただし、特定の一人だけを理由に転職先を決めると、その人が異動・退職した場合に、入所・入社の前提が変わる可能性があります。
その人自身の魅力に加えて、意思決定の進め方、情報共有、評価の考え方、チームの雰囲気、教育・レビュー体制など、組織として自分に合うかも確認しましょう。
「今の条件」と「長期的なキャリア」のどちらを重視するか
複数内定を比べるときに見落としやすいのが、「今」と「将来」のどちらを重く見るかです。
たとえば、A事務所では現在より200万円高い年収・報酬が提示され、B事務所では50万円の増額にとどまる一方、希望する案件を担当しやすく、将来の役割や報酬の広がりも期待できるとします。
この場合、A事務所とB事務所のどちらを選ぶべきかに、一律の答えはありません。
現時点で収入を上げる必要性が高い人もいれば、数年間をかけて専門性を身につけることを優先する人もいます。短中期で次のキャリアも視野に入れているのであれば、今の環境でどのような経験や実績を得られるかを重視する考え方もあります。
目先の条件と長期的なキャリアのどちらが正しいというものではありません。自分のキャリア戦略に合っているかを基準に考えることが大切です。
足りない情報はオファー面談などで確認する
内定先を比較している途中で、「この項目はA事務所については分かるが、B事務所については分からない」ということもあります。
情報量に差がある状態では、適切に比較することが難しくなります。分からないことがあれば、内定先や担当エージェントに確認しましょう。
たとえば、実際に担当する案件や業務、入所・入社直後に期待される役割、数年後のキャリア、年収・報酬の内訳、評価制度、案件配点やレビュー体制、チームの人数、働き方などは、意思決定の前に確認しておきたいところです。
企業であればオファー面談、法律事務所であれば内定後の面談や会食などで、確認の機会が設けられることがあります。
予定されていない場合でも、判断に必要な情報が不足しているのであれば、担当エージェントを通じて確認の機会を設けられないか相談する方法もあります。
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まとめ
複数の内定が出たときは、年収・報酬、案件、働き方などを横並びにするだけでは、かえって判断が難しくなることがあります。
まずは「将来どのような弁護士になりたいか」を考え、そこから今必要な経験を逆算したうえで、内定先がそのキャリアに合うかを比べてみてください。
また、複数内定を比較するためには、選考中から応募先の足並みをある程度そろえておくことも重要です。内定後に情報が不足している場合は、自分から確認して判断材料をそろえましょう。
一方で、求人票や面接だけでは、案件の実態、組織の雰囲気、採用側からの期待などが見えにくいこともあります。
C&Rリーガル・エージェンシー社では、弁護士をはじめとするリーガル分野の転職支援をおこなっています。まだ転職先を決めていない段階でも、担当エージェントに相談し、自分が大切にしたい条件や今後のキャリアを整理することができます。
複数の選択肢を前に迷っている場合は、一人で結論を急がず、第三者の視点も取り入れながら自分に合う環境を考えてみてください。