転職ノウハウ

弁護士が年収アップを実現しやすい転職タイミングとは?|弁護士専門転職エージェント監修

INDEX
  • 転職すれば年収は上がる?

  • 弁護士の年収はどう決まるのか?

  • 年収アップを実現しやすい転職タイミング

  • 年収アップにつながりやすい転職パターン

  • 年収アップ転職で失敗しやすいケース

  • 年収アップを狙う前に確認・整理すべきこと

  • まとめ|年収アップ転職はタイミングを見極めよう

弁護士が転職を考える理由のトップ3に「年収アップ」が入ることは珍しくありません。しかし実際には、転職すれば必ず年収が上がるわけではなく、年収アップを実現できる人とそうでない人には明確な違いがあります。
 
その違いを生む最大の要因のひとつが「転職のタイミング」です。同じ経験・スキルを持つ弁護士でも、動くタイミングによって結果は大きく変わります。
 
本記事では、弁護士専門の転職エージェントの視点から、年収アップを実現しやすい転職タイミングとその戦略を解説します。

転職すれば年収は上がる?

「転職=年収アップ」というイメージをお持ちの方も多いかもしれませんが、実態はそれほど単純ではありません。
 
弁護士が転職する動機として多いのは、「年収」「ワークライフバランス」「業務内容(専門性を広げたい・深めたい)」の3つです。年収アップを目的に転職する方は非常に多いのですが、結果として年収が上がる人、横ばいの人、下がる人に分かれます。
 
年収アップを実現できるかどうかは、「転職のタイミング」「経験の中身」「転職の進め方」の3つの掛け合わせで決まります。このうち、転職のタイミングは特に重要で、どの年次で動くかによって、同じ実力でも市場からの評価はまったく異なります
 
【関連コラム】弁護士が年収を上げるには?高年収を狙う転職先・必要スキル・注意点を解説

弁護士の年収はどう決まるのか?

転職タイミングを考える前に、まず弁護士の年収がどのように決まるのかを理解しておく必要があります。
 
弁護士の年収は主に以下の要素で決まります。
 
・年次・経験年数
・担当業務の内容・専門性
・個人の売上・収益への貢献度
・所属先の評価制度・報酬体系
 
さらに重要なのが、法律事務所に所属する弁護士と企業内弁護士(インハウスローヤー)では年収構造がまったく異なるという点です。年収アップの戦略は、どちらを目指すかによって大きく変わってきます。

法律事務所に所属する弁護士の年収構造

法律事務所では、固定給+歩合(案件ベース)の報酬体系が多く、個人の売上や担当案件が年収に直結しやすい構造です。
 
・固定重視型の事務所の例:固定給800万円+賞与(評価)=年収1,000万円程度
・歩合重視型の事務所の例:固定給600万円+歩合(比率大)=年収2,000万円超も
 
いわゆる四大法律事務所の場合、ジュニアアソシエイトで年収1,100万〜1,500万円、シニアアソシエイトで1,600万〜3,000万円、パートナーになると数千万〜数億円規模となります。
 
【関連コラム】:四大法律事務所の平均年収は?年収が高い理由と中途採用の年収の相場を紹介
 
なお、当社の独自調査では弁護士全体の平均年収は837万円となっており、所属先や年次によって大きな幅があります。
 
【関連コラム】:弁護士の年収は低い?検察官、裁判官と比較/独自アンケートも

企業内弁護士(インハウスローヤー)の年収構造

企業内弁護士は、等級・役職ベースの報酬体系が中心です。年収の伸びは法律事務所ほど急ではありませんが、安定性があります。
 
一般的な目安としては以下の通りです。
 
・入社1年目:500〜800万円
・5年目:700〜1,500万円
・10年目以降:900〜2,500万円
 
外資系企業や総合商社では高年収を得やすい一方、多くの企業では年収600〜800万円前後が中心となります。福利厚生やワークライフバランス、ストックオプションなどの実質的なメリットも含めた「トータル報酬」での比較が重要です。
 
【関連コラム】:女性弁護士の年収はどれぐらい?事務所の規模ごとの相場や年収を上げる方法をご紹介

年収アップを実現しやすい転職タイミング

年収の決まり方がわかると、自然と見えてくるのが「タイミング」の重要性です。同じ経験・スキルを持っていても、経験年数ごとに、市場からの見られ方や求人の量、年収交渉の余地の有無は大きく変わります。

1〜3年目:年収アップ目的の転職は要注意

この時期の弁護士は、市場で「ポテンシャル・伸びしろ・期待枠」として見られます。実務経験がまだ浅い段階では、同水準の事務所・企業間で年収はほぼ横並びになることが多いです。
 
年収を上げるには、現職より規模や水準の高い事務所・企業へ移るルートが考えられます。ただし、この時期はまだ実績での評価が難しく、学歴や司法試験の成績が判断材料の中心になりやすいため、大きなステップアップを実現できるケースは限られます。
 
それよりも、5年目以降のキャリアで武器になる実績・経験を積める環境を選ぶことを優先するほうが、中長期では年収アップへの近道になります。この時期を将来への「仕込み期間」と捉えると、転職先の選び方も変わってくるはずです。
 
【関連コラム】:アソシエイト弁護士(イソ弁)とは?年収や業務内容を解説

4〜6年目:年収アップ転職が最も成立しやすいゾーン

弁護士のキャリアの中で、最も年収アップ転職が成立しやすいのがこの時期です。
 
一定の実務をひとりで回せる力がつき、積み上げてきた実績が市場から正当に評価されるようになります。求人数も最も多く、「経験3年以上」「経験5年以上」といった条件の求人が市場のメインゾーンを占めるのがこの層です。即戦力として期待されやすいため、年収交渉の余地も生まれやすくなります。
 
年収アップとキャリアアップの両立が狙える絶好のタイミングです。「動くなら今」と言えるほど、転職市場における弁護士の市場価値が高まる時期でもあります

7年目以降:年収アップには明確な実績と戦略が必要なフェーズ

経験年数が増えると、採用する側の目線も変わります。若手と比べて採用枠は少なく、即戦力であることは「当然」の前提として見られます。すでに高い年収水準にあるぶん、さらなる上積みのハードルも上がります。
 
専門性や実績が転職先のニーズと合致し、採用側から即戦力として評価される場合には、7年目以降でも年収アップは十分可能です。一方で、経験分野やスキルが求人内容と合わない場合は、年収が横ばいになったり、下がったりすることもあります。
 
たとえば以下のようなケースでは、条件が下がることもあります。
 
・経験分野が求人とずれている
・マネジメント経験が不足している
・事務所経験しかないがインハウスに転職したい
・現職でマネージャーだが採用先ではまず一歩手前のポジションから
 
また、法律事務所においてはパートナーになるかどうかの分岐点にあたる年次でもあります。パートナーとしての移籍を目指す場合は、今どれほどのクライアントを連れていけるかが評価の中心となります。面接では「どのような戦略でパートナーとして貢献していくか」を具体的に示すことが大切です。
 
仮に転職時点での年収が変わらない、もしくは下がるとしても、その後どう上がっていくかを見て判断することが大切です。「どのような実績を出せばどのように年収が上がるのか」は、内定後のオファー面談などで、しっかり確認しておきましょう。

年収アップにつながりやすい転職パターン

年収アップの可能性は、転職元と転職先の組み合わせによっても大きく変わります。

法律事務所から法律事務所への転職

専門分野や案件レベルが上がる場合、または歩合・評価制度が自分に有利な形に変わる場合に年収アップが実現しやすくなります。

渉外やM&A、知的財産など高単価の専門分野に移るケースは特に効果が出やすい傾向があります。

法律事務所からインハウスへの転職

転職直後は年収が横ばい、あるいは少し下がるケースも少なくありません。

ただし中長期的には、昇格や昇給による安定した収入増加が見込めるほか、充実した福利厚生やワークライフバランスの改善、ベンチャー企業であればストックオプションによる資産形成など、数字には表れにくい「実質的な待遇向上」を感じられる方も多いようです。

インハウスからインハウスへの転職

より平均年収の高い業界・企業を狙う、成熟企業から成長フェーズの企業へ移る、マネジメントポジションを目指すといった方向性で年収アップを狙いやすくなります。

企業の規模感や成長ステージを意識した選択が大切です。

インハウスから法律事務所への転職

インハウスでの経験は、企業法務に強い事務所からは高く評価されるケースがあり、うまくマッチすれば年収アップも十分狙えます。

ただし年次が上がるにつれて対応できる求人が少なくなる点には注意が必要です。

インハウスでの経験を適切に評価してくれる法律事務所を見つけることがポイントになります。

事務所探しは、エージェントが力になれる場面のひとつです。

年収アップ転職で失敗しやすいケース

年収アップを目指す転職には、よくある失敗パターンがあります。転職を検討される方は、ぜひ事前に確認しておいてください。

「今より年収が高いだけ」で決めてしまう

目先の数字だけで判断してしまうと、入社後に後悔するケースがあります。転職時点での年収アップに目が向きがちですが、大切なのはその先の年収がどう推移していくかです。
 
法律事務所によっては、入所から数年後に固定給が下がり歩合の比率が大きく増える仕組みになっているところもあります。
 
最初の年収だけ見て決めてしまい、数年後に「思っていたのと違った」となるケースは少なくありません。業務内容や裁量、報酬体系の中身まで含めて、中長期の視点で判断することが大切です。

年収以外の不満を年収で解決しようとする

「職場環境が合わない」「業務内容に物足りなさを感じている」といった悩みは、年収が上がっても解決しないことがほとんどです。

転職の目的を整理しないまま動いてしまうと、条件が改善されても満足できないという結果になりやすいため、まず「何のために転職するのか」を自分なりに言語化しておくことをおすすめします。

年収アップを狙う前に確認・整理すべきこと

転職活動を始める前に、以下の3点を整理しておくと、転職の方向性がぐっとクリアになります。

① 今の年収は市場と比べてどうか

同年次・同分野の弁護士と比較して、自分の年収が適正水準にあるのかどうかを把握することが出発点です。

「なんとなく低い気がする」という感覚だけで動くのではなく、客観的なデータをもとに自分の立ち位置を確認してみましょう。

② 年収を上げたい理由は何か

年収を上げたい理由が、生活水準を上げるためなのか、評価されていないことへの不満なのか、将来のキャリアビジョンのためなのかによって、転職の方向性や優先すべき条件は変わってきます。

理由を明確にすることで、本当に自分に合った転職先が見えてきます。

 

③ 短期と中長期、どちらを重視するか

「今すぐ年収を50万円上げたい」のか、「5年後に大きく引き上げたい」のかによって、最適な転職先・転職タイミングは大きく異なります。

どちらを優先するかを先に決めておくと、選択肢を絞りやすくなります。

まとめ|年収アップ転職はタイミングを見極めよう

弁護士の年収アップ転職は、誰もが実現できるわけではありません。年次によって狙い方はまったく異なり、うまくいっている方に共通しているのは、市場を正確に理解し、自分の立ち位置を把握したうえで戦略的に動いているという点です。
 
今の経験が市場でどう評価されるのか、いつ動くのが最も効果的なのか、そのために今何をすべきか。こうした整理や戦略設計は、ぜひ弁護士専門の転職エージェントにご相談ください。
 
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中澤 泉(弁護士)

弁護士事務所にて債務整理、交通事故、離婚、相続といった幅広い分野の案件を担当した後、メーカーの法務部で企業法務の経験を積んでまいりました。その後フリーランスのライターとして活動を経て、現在は合同会社ことりうみにて法律分野を中心にライター・編集者として活動するとともに、弁護士としても企業法務に携わっています。

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