弁護士の転職・就職における求人の探し方とは?求人票の見方や注意点について解説
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弁護士の求人情報の探し方
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弁護士求人の見方や注意点
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迷ったときは、専門家に相談するという選択肢も
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弁護士や司法修習生にとって、就職・転職活動の第一歩は「求人情報の収集」です。
しかし、弁護士の求人は一般的な職種とは異なり、掲載先や募集内容に独自の特徴があります。
「どこで求人情報を探せばいいのか分からない」
「求人票の読み方や注意点が知りたい」
このように感じている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、従来の弁護士求人の探し方から最新の方法まで整理し、さらに求人票を見る際の注意点を解説します。法律事務所と企業の違いにも触れながら、効率的に自分に合った就職先を見つけるためのポイントを紹介していきます。
弁護士の求人情報の探し方
弁護士の求人情報を探す方法は、時代とともに変化してきました。従来は弁護士会や知人の紹介を中心にした情報収集が主流でしたが、現在ではインターネットを活用した方法も広がっています。ここでは代表的な探し方を整理します。
■従来の求人の探し方
従来、司法修習生や弁護士が求人情報を探す際によく利用してきたのが、「ひまわり求人求職ナビ」です。これは、日本弁護士連合会や各弁護士会が運営する、弁護士専門の求人情報サイトです。
ほかにも、法律事務所の公式ホームページに掲載される採用情報や、先輩弁護士や知人の紹介、弁護士会の会合や勉強会でのスカウトなどがよく利用されてきました。
司法修習生の場合はさらに、ロースクールの就職支援室や就職情報、ウィンタークラークやサマークラークといったインターンシップ、法律系求人サイト「アットリーガル」、さらには弁護士会主催の合同就職説明会(例:東京三会合同説明会)など、多様なルートがあります。
企業の法務を希望する場合は、法律事務所とは異なり、一般的な転職ルートが活用されることも多いです。大手の総合転職サイトや企業の採用ページ、合同就職説明会などは、企業法務志望者にとって重要な情報源となります。
このように、弁護士が求人情報を探す方法は、進路が「法律事務所」か「企業」かによって利用するツールや情報源が大きく異なるのが特徴です。
■現在の主流となりつつある探し方
最近では、一般的な転職エージェントや求人サイトが弁護士求人を扱うようになり、法律事務所だけでなく企業の法務部の募集も幅広くカバーできるようになっています。従来の「弁護士特有のルート」に加え、選択肢が広がったことで、より多様なキャリアパスを描けるようになりました。
実際に、弁護士求人を取り扱う主なサイトを比較すると次のとおりです。
【各サイトの弁護士求人保有数】
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サイト名 |
求人数 |
備考 |
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弁護士転職.jp |
898件 |
弁護士専門 他にも非公開求人あり |
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LEGAL JOB BOARD |
807件 |
士業専門職に特化 |
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ひまわり求人求職ナビ |
695件 |
弁護士専門 日本弁護士連合会・各弁護士会が運営 |
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NO-LIMIT |
600件以上 |
弁護士・法務人材専門 公式に「600件以上」と公表(詳細件数は非公開) |
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RECRUIT AGENT |
487件 |
総合型転職エージェント |
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MS-Japan |
371件 |
管理部門・士業に特化 |
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doda |
88件 |
大手総合転職サイト |
※2025年8月27日時点 各公式サイト掲載情報をもとに作成
もっとも、総合型の転職サイトは弁護士に特化しているわけではありません。そのため、修習期や弁護士特有の勤務条件が十分に記載されていないことが多く、法律事務所の求人掲載は限られているという現実もあります。
そこで注目されているのが、弁護士に特化した転職エージェントです。こうした専門サービスは、修習期や経験分野など弁護士ならではの事情を理解しており、個々のキャリアに合った求人を紹介してもらえる可能性が高まります。効率的に就職先を探すためには、従来型の方法と専門エージェントの活用を併用するのが望ましいでしょう。
弁護士求人の見方や注意点
求人票を読み解く際に重要なポイントを押さえていなければ、入所・入社後に条件面でのギャップが生じる可能性があります。ここでは法律事務所と企業、それぞれの求人票を確認する際に注意すべきポイントを解説します。
■法律事務所求人のポイント
法律事務所求人のポイントは、以下の3つです。
① 雇用形態
まず重要なのは雇用形態です。法律事務所では業務委託契約が主流であり、必ずしも正社員募集とは限りません。中には、正社員または業務委託を選べるケースもあります。自分が希望する契約形態かどうか、最初にしっかり確認しておくことが大切です。
② 対象修習期
次に確認すべきポイントは、採用対象となる修習期の設定です。この修習期が重視される背景には、主に二つの要因があります。一つは事務所内の事情による制限、もう一つは一定の経験年数を前提とした採用方針です。
まず、事務所内部の事情についてですが、たとえば「直近の修習期から一定数を採用する方針(いわゆるフレッシュ枠)」や、「既に同じ修習期の弁護士が在籍しているため、バランスを考慮して当該期を避けるケース」などが挙げられます。また、事務所の代表やパートナーによっては、特定の修習期にこだわりを持つ場合もあり、修習期を明確に指定したうえで募集が行われることもあります。
このような場合、求人票に記載された修習期は、形式的な目安ではなく、実質的な応募条件として扱われることも少なくありません。
なお、対象修習期は多くの場合、“ストレート合格”を想定して設定されている点にも注意が必要です。つまり、大学卒業後にロースクールへ進学し、ストレートで司法試験に合格した場合の修習期を基準にしている、ということです。
このため、司法試験までに一定の期間を要した場合や、他業種での経験を経て法曹を目指した場合などは、実年齢と想定年齢にギャップが生じることになります。事務所によっては、チーム内の年齢構成やキャリアバランスを重視することもあり、たとえ対象修習期に該当していたとしても、年齢的な理由で見送られるケースが存在するのも事実です。
一方で、対象修習期の設定には、経験値を重視した採用方針が背景にあるケースもあります。
一般的には「経験弁護士の募集」として打ち出されていることが多いものの、ここでいう「経験」は、弁護士としての実務経験に限りません。
たとえば、司法試験の受験期間中に企業や官公庁で勤務していた場合、その業務経験が評価され、対象修習期より下であっても採用されるケースもあります。特に、法務・コンプライアンス・契約実務など、弁護士業務との親和性が高い分野での経験は、採用側にとっても即戦力として映ることが少なくありません。
このように、修習期はあくまでひとつの基準にすぎないため、自身の経験やスキルに自信がある場合は、修習期にこだわらず応募を検討する価値があります。
また、近年では修習期以外のスキルや強みが採用に影響を与える場面も増えています。特に、英語力や特定分野における専門性(知財、税務、国際取引、ファイナンス等)は高く評価されやすく、修習期の条件をカバーできる場合もあります。
実際、国際案件を多く取り扱う法律事務所や、専門分野に特化したブティック型事務所では、修習期以上にその分野での対応力やスキルセットが重視される傾向にあります。こうした求人では、「形式的な条件から外れているから」と早々に選択肢から外すのではなく、自分の強みをどのようにアピールできるかを基準に判断することが重要です。
③ 弁護士に特有の勤務条件
さらに、弁護士ならではの勤務条件にも注目が必要です。たとえば、「個人受任の可否」「弁護士会費の負担」「会務活動への関与」などが具体的に記載されている場合、比較的透明性の高い事務所である可能性が高いです。
一方で、これらの条件が曖昧に書かれている場合や、明記がない場合には、面接時に必ず確認すべきポイントになります。特に内定後に条件が変更される可能性もゼロではないため、書面での提示やすり合わせの機会をきちんと確保することが重要です。
特に注意したいのが、取り扱い分野の記載です。求人票に「企業法務」と書かれていても、実際には個人事件や一般民事を中心に担当させられるケースがあります。求人票に書かれている分野と実際の担当案件が一致するとは限らないため、面接やエージェントを通じて具体的な業務内容を確認しておくと、就職後のギャップを防げます。
■企業求人のポイント
企業法務部の求人票を見る際の基本的なポイントは、法律事務所の求人と多くの部分で共通しています。雇用形態の確認や対象修習期の解釈、不明確な条件については、いずれの場合も事前に確認する姿勢が求められます。
そのうえで、企業ならではの特徴として、以下の点に注意が必要です。
① 対象修習期はあくまで参考値
企業の求人票に記載される修習期は、ストレート合格を想定した経験値ベースで設定されているケースが多く、あくまで参考値にすぎません。社会人経験や他分野での実務経験が評価されれば、対象修習期に届かなくても採用されるケースもあります。逆に、修習期の条件に当てはまっている場合でも、経験やスキルが不足していれば見送られることもあります。
そのため、ストレート合格でない方や社会人経験を積んでから司法試験に合格した方は、修習期の表記に惑わされず、気になる求人があれば自己応募やエージェントを通じて情報を得るようにするとよいでしょう。
② 応募条件を満たさなくても採用の可能性あり
企業の場合、形式的に応募条件を満たしていなくても、他のスキルで採用されることがあります。特に、英語力が高い場合や、高度な事件や専門的な案件に関与した経験がある場合は、強みとして評価されやすいです。こうしたスキルや経験は、弁護士としてのキャリア年数以上に重視されることも少なくありません。
③ 弁護士採用に不慣れな企業もあります
企業が初めて、あるいは慣れない形で弁護士を採用する場合、弁護士特有の事情について十分に理解していないことがあります。たとえば「弁護士会費の負担」「個人受任の可否」「会務活動の扱い」といった要素が想定されていないケースです。後々のトラブルを防ぐためにも、内定承諾前に勤務条件の詳細について十分な確認とすり合わせを行うことが重要です。特に、弁護士としての活動に支障が出ないよう、制度面の整備状況を把握しておくことが求められます。
迷ったときは、専門家に相談するという選択肢も
弁護士の求人情報は多岐にわたり、法律事務所と企業とでは求められる経験や適性に大きな違いがあります。そのため、求人票の条件を単純に満たしているかどうかで判断するのではなく、自身のキャリアやスキル、将来的な志向性との適合性を丁寧に見極めることが重要です。
また現在では、弁護士に特化した転職エージェントも充実しており、自分一人では気づきにくい選択肢や非公開の求人情報にアクセスすることが可能です。より効率的に、かつ納得感をもって就職・転職活動を進めたい方にとって、こうした専門サービスを活用することは、最短で最適なキャリア形成につながる有効な手段といえるでしょう。
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