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小話 ~弁護士はお酒が大好き~

目次
  • 1.西も東も弁護士はお酒が大好き

  • 2.弁護士の会派活動

  • 3.手酌禁止ルールへの対応

  • 4.悪いのは試験制度である

1.西も東も弁護士はお酒が大好き

 多重会務者である筆者には、弁護士会のそれっぽい肩書がいくつかついています。前に、筆者を含む弁護士会を代表した5人と、他士業団体の代表10名程度で、事業提携に向けたミーティングを行いました。夕方からの開催だったので、当然にその後は懇親会となりましたが、懇親会に参加した他士業団体の方は4名だけであり、人数において弁護士会が逆転しました。

 筆者は関西で弁護士登録後、東京に登録替えをしています。そのため、西も東もどちらの弁護士も知っていますが、誰も彼もお酒が大好きです。終電という概念が存在しないことも共通しています。筆者は常識的な金銭感覚を失っていないので、終電の次は始発だと考えているのですが、周囲はタクシー代を惜しまないので、西でも東でも深夜3時などの半端な時間に飲み終わることが多いです。

 筆者は、新人時代に、周囲の弁護士が、皆、頻繁に長時間延々とお酒を飲み続けていることに驚き、これが関西のノリなのだろうと納得していたのですが、東京でも同じだったので、弁護士のノリであることがわかりました。そのことを先輩弁護士に話したら、なぜ他人事のように批評するのかと叱責されました。

 弁護士は、顧問先等の顧客ともお酒を飲みますが、同業者ともよくお酒を飲みます。今回は、筆者の周囲の弁護士の生態をご紹介したいと思います。

2.弁護士の会派活動

 東京の弁護士の多くは、会派と呼ばれる任意団体に所属しています。会派では、家族サービスに利用できるバーベキューや花火大会等のイベントや、法改正等の研修会、弁護士会からの意見照会への対応協議などが行われています。土日の家族サービスイベントは明るい時間から開始されますが、研修会や会議のほとんどは18時30分から行われます。仕事を早上がりすれば間に合う時間設定です。

 議題が多い会議では、議長は、なんとか20時までに会議が終わるように、露骨に巻いていきます。議論はないが、規則上、多数決を取らなければならないという場合には、5分以内に終わります。そこには、皆が続く懇親会を目的として集まっているという確かな一体感があります。

 筆者が所属する会派は、皆仲良しなので、お店の広さの問題がなければ懇親会でバラバラになることはほとんどありません。二次会三次会四次会と徐々に人数が減っていき、お店の都合で分散したメンバーが再合流することも多々あります。前座の会議の規模によって一次会参加人数はばらばらなのですが、いつも最後は4,5人にまで減っている印象です。このメンバーはだいたい同じ顔になるので新鮮味がありません。

 会派には、忘年会や新年会はありません。忘年総会、新人歓迎会、年度末総会、春季総会、研修合宿、冬季研修、春季研修など、会派のイベントには、いかにも真面目なタイトルが並びます。これらに家族サービス用のイベントが加わるので、会派は至って健全な任意団体です。

3.手酌禁止ルールへの対応

 ところで、お酒の席には、手酌をすることもさせることも禁止という妙なルールが存在しています。慣習法も法源となるため、弁護士も、原則としてこれに従います。

 それでも、従いたくないルールがあるならば抜け道を探ることが弁護士のやり方です。そのため、普段の飲み会では、生ビールやハイボールが好まれます。しかし、忘年会などの大人数での飲み会を行う際には、一次会会場となるホテル等に、大量の瓶ビールが用意されます。そうなると、忌むべき手酌禁止ルールへの対応が迫られます。

 筆者は気が利かないことに定評がありますが、それでも、先輩のビールが減ってきたらお注ぎするし、自分のビールが減ったら、わずかでもビールが減っている先輩にお注ぎして注ぎ返してもらうことで補充しようと試みます。経験を積むと手酌禁止ルールを破ることがなんとなく許されるようで、先輩の多くは、構わんといてと言いながら、筆者に注がせる隙を与えないように早め早めに手酌します。筆者も見知った顔が多いテーブルでは堂々と手酌するようになってきました。弁護士はデュープロセスを重んじるので、民主的な合意形成によって、そのテーブル限りで、手酌禁止ルールを破棄していることになります。

 テーブルを超えて手酌禁止ルールを破棄しないのは、後輩教育の一環なのだと思います。筆者は、後輩からビールを注がれたら、ありがとう、でも構わんといて、と言いますし、遠慮からペースが上がらないようならば、やや早めに注いで緊張を解こうと試みます。しかし、端から手酌でガンガン飲んでいる後輩がいたとすれば、この子は会派の外でやっていけるのかと不安に思うでしょう。場合によっては、会社員時代のように、あの先輩のビールが減っているからお注ぎしてあげてとルールの存在を教えるかも知れません。誰も望んでいないのに、本当に面倒なルールです。直ちに滅ぶべきです。などと考えながら、自ら声を上げることをしないのは、代理人根性が染みついた弁護士の悪いところだと思います。

4.悪いのは試験制度である

 筆者なりに、なぜ弁護士は同業者とお酒を飲むことが大好きなのか考えましたが、理由はいくつも思い浮かびました。先ず、ストレスがたまる職業であることです。依頼者の人生を預かることが日常なので、お酒の力を借りてプレッシャーから解放されたい動機が生まれます。生活費を気にせずに飲み歩ける程度に稼げている弁護士が多いことも理由でしょう。同じ悩みを共有できて、専門知識を持つので相談が可能であり、経済的にも気軽に誘える相手が揃っているのですから、同業者で飲むことが多いのは当然の成り行きです。

 また、試験制度も、弁護士がお酒を飲んでしまう理由に思えます。司法試験も司法修習生考試(二回試験)も連日長時間にわたっての集中を強いられる過酷な試験です。ここでは持続力や回復力が試されます。弁護士になると、依頼者に生じた不測の事態に対応するために、突然の徹夜作業を強いられることがあります。これに対処するために、選抜段階で持続力や回復力によってふるいにかけることには合理性があります。体質にもよりますが、持続力や回復力さえあれば、運動神経が悪かろうが、筋力がなかろうが、お酒を浴びるように飲むことが可能です。問題とされることが少ないのですが、日本の法曹養成制度は酒飲みを選抜しているのです。我々は、そのしわよせで、こんな自堕落な生活を、強いられているんだ。

 最後に一つだけ断っておかなければならないことがあります。筆者を含む弁護士は、同業者以外と飲むお酒も大好きです。

記事提供ライター

弁護士
大学院で経営学を専攻した後、法科大学院を経て司法試験合格。勤務弁護士、国会議員秘書、インハウスを経て、現在は東京都内で独立開業。一般民事、刑事、労働から知財、M&Aまで幅広い事件の取り扱い経験がある。弁護士会の多重会務者でもある。

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