業界トピックス
弁護士が社労士登録をする方法とメリットは?
- 目次
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1.弁護士と社労士の違い
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2.弁護士資格を持つことで社労士登録もできる
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3.社労士資格を持つ弁護士ができる業務
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4.弁護士が社労士登録するメリット
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5.まとめ
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1.弁護士と社労士の違い
弁護士と社労士(社会保険労務士)はどのように異なるのでしょうか?
弁護士が法律の専門家であるのに対し、社労士は労務問題や社会保険の問題に特化した専門家です。社労士は、「労働及び社会保険に関する法令の円滑な実施に寄与するとともに、事業の健全な発達と労働者などの福祉の向上に資すること」を目的とした業務を行います。具体的には、企業における労働問題や社会保険に関する問題、年金の相談などを取り扱います。
弁護士と社労士にはこのような違いがあることから、弁護士の中には社労士とのダブルライセンスによって他の弁護士との差別化を図る人がいます。
それでは、弁護士と社労士のダブルライセンスにはどのようなメリットがあるのでしょうか?今回は、弁護士が社労士資格を持つことのメリット、弁護士が社労士の登録をする手続きや費用、弁護士と社労士の業務範囲などについて紹介します。
2.弁護士資格を持つことで社労士登録もできる
社労士として働くためには、社労士試験に合格したうえで、社労士連合会の社労士名簿に登録することが必要です。ただし、弁護士に限っては、社労士試験を受けることなく、社労士名簿に登録することができます。社労士法3条2項を見ると、「弁護士となる資格を有する者は、前項の規定にかかわらず、社会保険労務士となる資格を有する。」と定められており、司法修習修了生であれば誰でも社労士の登録ができることが分かります。
社労士の登録申請をするためには、社労士会に登録申請書などの書類を提出することが必要です。社労士連合会に登録する費用としては、登録免許税3万円と手数料 3万円がかかります。その他にも、社労士会への入会金や年会費がかかります。
【全国社会保険労務士会連合会】社労士の登録申請について
社労士試験の合格率はわずか7.9%であり(令和3年10月29日厚生労働省発表のデータによる)、難易度の高い試験です。弁護士であれば、この難関試験を突破することなく社労士名簿に登録をして社労士を名乗ることができます。弁護士のダブルライセンスには様々な選択肢がありますが、社労士はコストパフォーマンスの良い選択だといえるでしょう。
【全国社会保険労務士会連合会】社会保険労務士試験の合格者の発表について
3.社労士資格を持つ弁護士ができる業務
弁護士と社労士の業務は、どのように異なるのでしょうか?
弁護士は、訴訟事件、非訟事件、審査請求、再調査の請求、行政庁に対する不服申立事件に関する行為、その他一般の法律事務を扱うことができます。
一方で、社労士は下記の業務を扱います。
①労働社会保険手続き
社労士は、社会保険の業務を代行することができます。具体的には、雇用や人材の能力開発に関する助成金の申請、労働者名簿や賃金台帳の調整、就業規則や36協定の作成や変更などを行います。
②労務管理の相談指導
雇用管理や人材育成に関する相談、企業の実情に即した人事・賃金・労働時間の提案、経営労務の監査を行います。
③年金相談業務
年金の受給資格の確認、裁定請求書の作成や提出などの業務を行います。社労士は、公的年金に関する唯一の国家資格です。
また、社労士連合会は、日本年金機構からの委託を受けて年金相談センターを運営しています。このため社労士は、全国の年金相談センターで年金の相談や説明を行っています。
④紛争解決手続き代理業務
社労士の中でも特定社労士になると、ADR(裁判外紛争解決手続)代理業務を行うことができます。特定社労士とは、厚生労働大臣が定める研修を修了し、紛争解決手続代理業務試験に合格した後に、その旨を社労士連合会に備える名簿に付記した社労士のことです。特定社労士になると、斡旋申立ての手続き、代理人としての意見陳述、和解の交渉、和解契約の締結などを取り扱うことができます。なお、弁護士と社労士のダブルライセンスを持つ人であれば、ADRに限らず訴訟全般の手続きを代行することができます。
⑤補佐人としての業務
補佐人として、労働社会保険に関する行政訴訟の場面や、個別労働関係紛争に関する民事訴訟の場面で、弁護士とともに裁判所に出頭し、陳述することができます。なお、弁護士資格を持つ社労士であれば、弁護士とともに出頭する必要はなく、単独で法廷に立つことができます。
4.弁護士が社労士登録するメリット
弁護士が社労士に登録すると、どのようなメリットがあるのでしょうか?
①専門性を高めることができる
上記の段落で解説したとおり、弁護士と社労士の業務範囲は異なります。弁護士が法律全般の専門家であるのに対し、社労士は労務問題や年金問題に特化した専門家です。弁護士が社労士登録をすれば、企業法務や労務問題における専門性を高めることができ、他の弁護士との差別化を図ることができます。
②付加価値が付く
社労士とのダブルライセンスを持つことにより、企業法務や労務問題の分野を強みとすることができ、キャリアに付加価値を付けることができます。企業法務や労務問題に詳しい弁護士としてアピールすることができれば、中小企業と顧問契約を締結する際にも役立ちます。個人のクライアントからも、「労働問題について安心して相談できる弁護士だ」と信頼してもらうことができます。
③転職で有利になる
社労士とのダブルライセンスを持つことによって、市場価値が高まります。社労士の業務範囲には、労務管理や社会保険手続業務が含まれています。このため、企業法務や労働問題における専門性をアピールすることができ、企業法務を扱う法律事務所への転職や、インハウスローヤーとしての転職の際に有利になります。個人や中小企業から労働相談を多く受け付けている法律事務所に転職する際にも、プラスアルファの材料として評価されます。
以上のように、弁護士が社労士の資格を持つことには多くのメリットがあります。なお、社労士以外の資格とのダブルライセンスについては、下記の記事で詳しく解説していますので、参考にしてみてください。
弁護士のダブル(トリプル)ライセンスについて
5.まとめ
今回は、弁護士と社労士のダブルライセンスについて紹介しました。株式会社C&Rリーガル・エージェンシー社は、弁護士に特化した転職エージェントとして、弁護士の転職活動を総合的にサポートしています。社労士とのダブルライセンスをお持ちの方や、これから社労士とのダブルライセンスをお考えの方には、その強みを活かして転職活動を行うためのアドバイスをさせていただきます。弁護士としてのキャリアアップをお考えの方は、いつでもお気軽にご相談ください。
記事提供ライター
元弁護士 ライター
東京大学卒業後、2009年に司法試験に合格。弁護士として知的財産業務、企業取引等のビジネス関連の業務を扱う。現在は海外に在住し、法律関連の執筆や講演を行う。