弁護士と公認会計士のダブルライセンスの需要とメリットは?
- INDEX
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1.弁護士と公認会計士の違いとは?
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2.弁護士資格を持つことで会計士資格も取得しやすくなる
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3.公認会計士の資格を持つ弁護士ができる業務
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4.公認会計士の資格を持つ弁護士の需要
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5.弁護士が公認会計士の登録をするメリット
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6.まとめ
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1.弁護士と公認会計士の違いとは?
弁護士は、あらゆる法律トラブルを取り扱う法律の専門家です。訴訟代理人として裁判手続きを行ったり、示談交渉や契約書の作成等の法律事務を代行することができます。
これに対して、公認会計士は財務や会計のスペシャリストです。独立した立場で企業の財務情報を監査し、公正な経済活動を支援します。会計監査以外にも、税務やコンサルティング等の業務を取り扱います。公認会計士が企業の財務情報の信頼性を確保することによって、投資家が安心して投資活動を行うことができます。
2.弁護士資格を持つことで会計士資格も取得しやすくなる
公認会計士の試験は、短答式試験と論文式試験の二段階に分かれています。短答式試験は、年に2回(5月と12月)行われます。短答式試験に合格すると、論文式試験を受験することができます。論文式試験は、年1回(8月)です。
弁護士は、公認会計士試験の科目が一部免除されます。免除される科目は、受験した司法試験の科目によって異なります。例えば、旧司法試験第2次試験合格者は、旧司法試験の第2次試験において受験した科目が免除となります。第2次試験で受験した科目が会計学である場合は、公認会計士試験の会計学が免除されます。(参考※2)
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3.公認会計士の資格を持つ弁護士ができる業務
弁護士法第3条によると、「弁護士は、当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱によって、訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件に関する行為その他一般の法律事務を行うことを職務とする」と定められています。つまり、社会で生じるあらゆる法律トラブルについて、裁判や調停、示談交渉などの法的手段を用いて解決に導くことが、弁護士の業務です。
一方で、公認会計士の業務は、大きく分けて3つの分野に分かれます。
①監査
法定監査とは、法令によって義務付けられている監査です。会社法に基づく監査や金融商品取引法に基づく監査は、法令監査に分類されます。法定監査以外の監査とは、特別目的の財務諸表の監査や、法定監査以外の会社の財務諸表の監査を指します。
なお、公認会計士が行う監査の対象は、企業だけではありません。学校法人や公益法人、医療法人、社会福祉法人、独立行政法人、一般社団・財団法人などの監査を行うこともあります。
②税務
③コンサルティング
このように、公認会計士は、会計の専門知識を生かして企業のビジネスアドバイザリーとして活躍することが期待されています。
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4.公認会計士の資格を持つ弁護士の需要
弁護士と公認会計士のダブルライセンスを持つと、様々な分野での活躍が期待できますが、特にM&Aの分野においてのニーズが高いと考えられます。M&Aの手続きでは、法務デューデリジェンスと財務デューデリジェンスが必須であり、通常は弁護士が法務デューデリジェンスを担当し、公認会計士が財務デューデリジェンスを担当します。弁護士と公認会計士のダブルライセンスを持っていれば、法務デューデリジェンスと財務デューデリジェンスを一人で請け負うことができ、法務と財務の双方の面から総合的に企業分析を行うことができます。クライアントとしても、弁護士と公認会計士に別々に依頼する必要が無くなるため、利便性が高まります。
少子高齢化が進む昨今では、経営者の高齢化が深刻化しており、企業の後継者不足は社会問題となっており、その解決手段としてM&Aの需要が高まっています。これに伴い、弁護士と公認会計士の両資格を持つ人材の需要は今後益々増加するものと考えられます。
関連コラム
弁護士のダブル(トリプル)ライセンスについて
5.弁護士が公認会計士の登録をするメリット
①財務・法務の両側面からサポートできる
②転職で有利となる
以上のとおり、弁護士と公認会計士のダブルライセンスには大きなメリットがあります。なお、公認会計士以外の資格とのダブルライセンスについては、下記の記事で詳しく解説していますので、参考にしてみてください。
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6.まとめ
記事提供ライター
東京大学卒業後、2009年に司法試験に合格。弁護士として知的財産業務、企業取引等のビジネス関連の業務を扱う。現在は海外に在住し、法律関連の執筆や講演を行う。
【参考】
※1:【公認会計士・監査審査会】令和3年公認会計士試験の合格発表について
※2:【公認会計士・監査審査会】公認会計士試験に関するQ&A