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業界トピックス

弁護士が中小企業診断士の資格を取得するメリットは?

目次
  • 1.中小企業診断士とは

  • 2.弁護士が中小企業診断士を取得するメリット

  • 3.中小企業診断士試験の難易度

  • 4.まとめ

1.中小企業診断士とは

中小企業診断士は国家資格のひとつで、5年間の更新制が採用されています。業務内容はひとことでいうと「中小企業の経営コンサルタント」です。中小企業の経営に対する課題を診断し、その改善に向けた助言をすることが主な業務になります。具体的には、依頼者である企業経営者の希望を踏まえながら、財務諸表その他の経営に関する資料や関係者からのヒアリング結果を分析して、経営上の課題を洗い出し、その課題の改善や生産性向上についての具体案を診断報告書にまとめていきます。場合によっては、具体的な事業計画案へのアドバイスや計画実行後のフォローアップもおこなうことがあります。

2.弁護士が中小企業診断士を取得するメリット

中小企業診断士とは、情報処理技術者、税理士、行政書士、社会保険労務士などの他資格と併せ持つことで強みを増す資格であるといわれます。では、弁護士と中小企業診断士のダブルホルダーとなることには、どのようなメリットがあるのでしょうか。

(1)より良い法的アドバイスが可能となる

まず、顧問先企業に対して、より深いアドバイスをすることができるという点です。弁護士は法律の専門家ではありますが、経営の専門家ではありません。とはいえ、「法的な正しさ」と「経営の現実」は必ずしも相容れない場合があります。違法なことをしてはいけない(顧問弁護士として、させてはいけない)のはもちろんですが、法律だけでなく経営についても理解していれば、経営上の具体的な課題を踏まえて、より適切な助言ができる場合も増えます。

また、経営状況や経営上の課題を知ることができれば、そこに潜む法的リスクや今後生じる可能性のある法的課題に先回りして対処することも可能になります。顧問先企業としても、法律家の立場から一方的に助言されるより、経営者の立場も考慮してアドバイスをしてくれる弁護士に相談するほうが安心です。法律問題と経営問題を同じ人に相談できれば円滑に進めることができ、便利です。弁護士が中小企業診断士の資格を持つことで、既存の顧問先からはより一層信頼を得ることができ、新たな顧客の獲得も期待できます。

(2)人脈が広がる

次に、人脈を広げることができるというメリットもあります。中小企業診断士は、2019年4月1日時点で約2万7,000人が登録しています。2020年の時点で弁護士の人数が4万人を超えていることからすれば、人数自体がとても多いというわけではありません。しかし、先ほど述べたとおり、中小企業診断士は他資格と併用することで強みを増す性質があり、実際に他資格を保有している中小企業診断士は多数います。このため、交流会などに参加して中小企業診断士業界での人脈を広げることが、結果として様々な業界の人脈を広げることにつながります。

また、他資格を保有している中小企業診断士が多いとはいえ、弁護士資格を持っている人はまだ少ないのが現状です。企業経営をするにあたっては様々な法律が関係するため、中小企業診断士の仲間を増やしておけば、「経営へのアドバイスはできるが法的部分についてよくわからない」と感じている中小企業診断士から相談を受け、紹介してもらえるチャンスが生まれます。

さらに、中小企業診断士は、公的機関の専門家派遣などの機会が多い仕事です。専門家派遣とは、経営者が商工会議所などに相談に来た場合、必要に応じて公的機関に登録している専門家が派遣、その企業の支援をするというものです。この派遣業務を通して中小企業の経営者の相談を受ける機会が豊富にあるため、そこから弁護士としての依頼につながることも少なくありません。このように、弁護士が中小企業診断士の資格を取得することには複数のメリットがあるといえます。

3.中小企業診断士試験の難易度

(1)司法試験の知識は活かせるか

中小企業診断士の試験は、マークシート方式の1次試験と、記述式・口述式の2次試験の二段階でおこなわれます。1次試験の試験科目は「経済学・経済政策」「財務・会計」「企業経営理論」「運営管理」「経営法務」「経営情報システム」「中小企業経営・政策」の7科目となります。

このうち、弁護士であれば「経営法務」と「財務・会計」が免除になります(なお、経営法務は「司法試験合格者」でも免除されますが、財務・会計は「弁護士または弁護士となる資格を有する者」のみの免除科目のため、司法試験に合格していても司法修習を終わっていない者には適用されません)。7科目中2科目免除になるというのはかなりのアドバンテージになると思われます。

2次試験は、経営戦略・経営管理についての問題が出題されます。科目免除制度もなく、司法試験の知識を活かす場面はほとんどないと思われるため、新たに勉強していくことが必要です。

(2)試験自体の難易度の違い

1次試験の合格率は2018年が23.5%、2019年が30.2%、2020年が42.5%、2021年が36.4%と、年によってバラつきが大きくなっていますが、2次試験の合格率は概ね18~19%で推移しています。司法試験の合格率は年々上がっており、2021年は40%を超えていますので、合格率だけ見れば難しい試験に見えるかもしれません。

もっとも、中小企業診断士試験の合格に必要な勉強時間は平均1,000時間といわれています。司法試験の合格に必要な勉強時間が平均6,000~7,000時間といわれることからすれば、比較的少ない学習時間で合格することが可能です。業務後や週末を利用して1日平均3時間勉強すれば、1年かからずに合格レベルに達することができる計算になります。科目免除を使えばもっと短い時間で合格することができるかもしれません。

また、中小企業診断士の合格基準は1次試験・2次試験ともに「総得点が60%以上かつ得点率40%未満の科目がないこと」であり、これらの要件を満たした人は全員合格できる「絶対評価」の試験となっています。司法試験は相対評価のため、他者の出来映えによって自分の合否が左右されるという不確定要素がありましたが、中小企業診断士試験は一定のレベルを超えさえすればいいので、その点ではゴールが見えやすい試験といえます。

4.まとめ

このように、弁護士が中小企業診断士の資格を取得することにはメリットが複数あります。中小企業診断士の資格を取得するのは簡単ではありませんが、司法試験に比べれば短い時間で取得することができるので、目指す価値は十分にあると考えられます。

転職時においても、中小企業診断士資格を保有していることがアドバンテージになる可能性はあります。採用側に中小企業診断士のメリットが適切に伝わるよう、応募時から資格保有のメリットや、中小企業診断士としての実績などをしっかりアピールすることが重要です。資格をとって間もない場合には、向上心や、今後弁護士業務にどのように活かしていけるかを説明していくのがよいでしょう。

C&Rリーガル・エージェンシー社では、一人ひとりのご経験を踏まえたアピールの仕方についてもアドバイスさせていただきますので、中小企業診断士としての資格を活かした転職をお考えの際には、ぜひお気軽にご相談ください。

記事提供ライター

社会人経験後、法科大学院を経て司法試験合格(弁護士登録)。約7年の実務経験を経て、現在は子育て中心の生活をしながら、司法試験受験指導、法務翻訳、法律ライターなど、法的知識を活かして幅広く活動している。

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