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弁護士のダブル(トリプル)ライセンスについて

目次
  • 1.弁護士であれば取得できる資格

  • 2.オススメ資格3選

  • 4.まとめ

  • 記事提供ライター

弁護士として業務を行う中では、他の専門職と連携を取る機会も多々あります。最近は、法律事務所で司法書士、税理士、ファイナンシャルプランナー(FP)、社労士などを雇用し、ワンストップでのサービス提供を行う法律事務所も増えてきました。また、弁護士個人としても、弁護士以外の資格を取得することで、他の弁護士との差別化を図るという人も出てきています。
そこで、今日は、弁護士がダブル(トリプル)ライセンスを考える場合のおすすめ資格をいくつかご紹介したいと思います。

1.弁護士であれば取得できる資格

弁護士であれば登録できるものとして、「税理士」「社労士」「弁理士」「行政書士」「海事保佐人」があります。
それぞれ登録料がかかりますので、中小企業案件が多い弁護士は「税理士」、労働事件を多く扱う弁護士は「社労士」、知的財産関係を専門とする弁護士は「弁理士」など、ご自身の業務分野に合わせて登録を検討するとよいでしょう。
もっとも、単に肩書だけ持っていても内容面の知識がなければ業務に活かすことはできませんね。肩書に見合う知識を身に付けるための学習を怠らないことも重要です。
なお、弁護士であれば司法書士の業務である登記を担当することが可能ですが、弁護士資格があっても司法書士登録をすることはできないので、この点はご注意ください。

2.オススメ資格3選

(1)中小企業診断士

中小企業診断士は、中小企業の経営課題に対応するための診断・助言を行う専門家で、法律上の国家資格にあたります。企業の成長戦略の策定および実行のアドバイス業務を中心に、専門知識を活用しての中小企業施策の適切な活用支援を行うことが求められます。
中小企業の顧問や、社外監査役等に就任する弁護士にとって、法律面だけでなく経営面についても理解を深めることで、より信頼される弁護士となることができます。
また、中小企業診断士は、行政機関、商工会議所・商工会、都道府県等中小企業支援センター等の公的機関の相談窓口で相談にあたったり、これらの公的機関から中小企業に派遣されて支援を行ったりする機会も多いため、中小企業の経営者と話す機会を増やすことができます。そこから法律相談を受けて受任につながる機会も多く、加えて、同じ中小企業診断士から法律案件の紹介を受ける機会もあるようです。
中小企業診断士になるには、まず、経営関係科目を中心とした7科目のマークシート式試験(第1次試験)に合格しなければなりません。その後は、「4科目の筆記試験及び口述試験からなる第2次試験に合格し、15日以上の実務補習又は診断実務に従事するルート」又は「中小企業基盤整備機構または登録養成機関が実施する養成課程を修了するルート」のいずれかを経由して、中小企業診断士として登録することができます。登録有効期間は5年間で、登録を更新するためには一定の要件が必要です。
合格率は第1次試験、第2次試験ともに毎年20%前後と言われており、決して易しい試験ではありませんが、6~8か月程度の学習期間で合格する人もいるようです。比較的気軽にチャレンジできる試験だといえるでしょう。

(2)経営心理士

経営心理士は、経営やビジネスに特化した心理学の専門資格で、一般社団法人日本経営心理士協会が付与する民間資格です。所定のコースを受講し、課題を提出することで、ビジネスコミュニケーション心理士、組織心理士、顧客心理士の資格を取得することができ、3つの心理士資格を取得した者は「経営心理士」と名乗ることができます。
日本経営心理士協会は2015年に設立された比較的新しい協会ですが、経営心理士は近年注目されている資格の1つで、経営者や管理職だけでなく、士業やコンサルティング業の人が取得するケースも増えてきています。顧問弁護士や社外役員として関わる際にも、法律の専門家という枠を超えて、組織の人材を活かすようなアドバイスをすることができるようになるでしょう。また、組織心理士の学習過程において、部下(労働者側)の心理等を学ぶことにより、労使間の労働問題をスムーズに解決することができるようになります。もちろん、顧問先等との関係においてだけでだけでなく、ご自身の所属する法律事務所のマネジメントや人材育成にも活かすことができるはずです。
さらに、ビジネスコミュケーション心理士、組織心理士の講義では、「対人関係」や「人を育てる」ことを意識した内容を含むため、ご自身の家族・夫婦関係や子育て等のプライベート面にも活かすことができるといわれています。
上記3つの心理士を取得して「経営心理士」となるには、50万円近くかかりますが、これらを学ぶことで顧問弁護士や社外役員となる機会が増えるのであれば、十分に魅力のある先行投資といえるのではないでしょうか。

(3)保健福祉士等、福祉系資格

家庭や子供に関する事件や刑事事件などを多く手がける弁護士の場合、ケースワーカー等の福祉専門職の方々と協同で業務をする機会も多いと思います。もっとも、法的観点と福祉的観点では、重視するポイントやアプローチ方法が大きくことなることから、連携がうまくいかないケースがあることも指摘されてきました。
弁護士自身が福祉系資格を取得し、福祉の考え方、福祉のアプローチの仕方を学ぶことで、よりスムーズな連携ができるようになるはずです。また、法律もそうですが、福祉にも一定の「限界」があり、協同する弁護士側がその限界を適切に理解することも重要だと言われています。
福祉系資格は、所定の教育機関での受講(e-ラーニング含む)及び実地研修が要件となっているものが多数ですが、通信での受講が可能な部分もあるなど、弁護士業務を調整することで対応可能なものも多くあります。比較的取得しやすい資格といえると思います。

3.取得のハードルは高いが取れたら強い資格―公認会計士

公認会計士は、弁護士と双璧をなす「文系分野の難関資格」であり、「箔付け」という意味では魅力的です。また、公認会計士試験は、短答式試験と論文式試験で構成されていますが、司法試験合格者であれば、短答式試験全部と、論文式試験のうち企業法及び民法(選択科目)が免除になりますので、一般の受験生よりもかなり有利なスタートといえます。なお、資格試験予備校では、働きながらであっても1~2年で合格を目指せるコースが準備されています。
もっとも、既に弁護士として働いている人が公認会計士とのダブルライセンスを目指すことにはデメリットもあります。それは、公認会計士試験に合格しただけでは、公認会計士の資格を手に入れることはできないという点です。試験合格後、2年間の「業務補助」および3年間の「実務補修」が終了し、その後の修了考査に合格してようやく公認会計士と名乗ることができるのです。
「業務補助」は、監査法人や会計事務所などで実働するのが基本的ですが、国、地方公共団体、金融機関、保険会社、資本金5億円以上の会社等において一定の業務に従事することも認められます(なお、会計士試験合格前にこれらの業務に携わった場合も通算されます)。いずれにしても、多くの弁護士にとっては、いったんその仕事を辞めて、監査法人等に就職する必要があるため、この点が大きなデメリットとなるでしょう。とはいえ、公認会計士の資格を持っている弁護士はまだ少ないのが現状です。ご自身の業務分野次第では、一定期間、弁護士実務を離れてでも公認会計士資格を手にする意義は十分あると考えられます。
一方、「実務補習」の方は、3年間かけて、「実務講義」(ライブ講義、e-ラーニング、宿泊研修など)、「実地演習」(工場見学など)、「課題研究」(3年間に6回)等を行うものであり、こちらは通常業務の合間の時間を使って行うことも可能なようです。

4.まとめ

今回は弁護士のダブル(トリプル)ライセンスについて考えてみました。今回言及していない資格の中でも、それぞれの業務分野において役に立つものはたくさんあると思いますし、また新たな資格も登場すると思われます。自己研鑽も兼ねて新たな資格を取得し、業務に活かしていただければ幸いです。
C&Rリーガル・エージェンシー社は、弁護士に特化した専任エージェントです。ダブル(ライセンス)をお持ちの方に対しては、その強みを活かした戦略的な転職活動についてもアドバイスさせていただくことができますので、キャリアアップをお考えの方はぜひ一度ご相談ください。

記事提供ライター

社会人経験後、法科大学院を経て司法試験合格(弁護士登録)。約7年の実務経験を経て、現在は子育て中心の生活をしながら、司法試験受験指導、法務翻訳、法律ライターなど、法的知識を活かして幅広く活動している。

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