小話~弁護士の外食事情~
- INDEX
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1.高級料亭で会食?
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2.実録高級料亭
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3.東西の昼食事情
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4.イケてるお店
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5.飲み歩くがバブリーではない
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1.高級料亭で会食?
2.実録高級料亭
2020年からの新型コロナウイルス(コロナ禍)により研修合宿も勉強会もオンライン開催になってしまい、後輩たちが会費でお酒を飲めない日々が続きました。これでは我々はなんのために会費を支払っているのかわかりません。そんな中、2021年の忘年会シーズンは自粛要請が一時的に解除されました。若手に補助金を出せなかったので会費が余っている、忘年会はコロナ禍に入会した若手にとって初めての対面イベントである、ならばいっちょやったるか、我々は後輩に夢を見させるつもりで慣れない高級料亭に突撃しました。筆者だけでなく、筆者が所属する団体にとっても、高級料亭は非日常の空間であることがおわかりいただけるかと思います。
ところが、大人数であったため、せっかくの高級料亭だというのに大広間での着座式パーティー、しかも感染症対策のため目の前にはアクリル板という状況になってしまい、ドラマで見るような個室での悪そうな密談を経験することはできませんでした。筆者たちはつくづく高級料亭に縁がないと思い知りました。
3.東西の昼食事情
関西時代の筆者のホームグランドとなる地方裁判所は最寄り駅から徒歩10分程度の距離にあり、道中にたくさんの飲食店がありました。筆者は、同日の午前と午後に期日が入っているときは時間つぶしをかねて、朝一以外の午前に期日が入っていればその後に、午後から期日が入っていればその前に、裁判の度に昼食を楽しみにしていました。控訴審になると大阪高等裁判所へのプチ出張が発生します。大阪高等裁判所は梅田駅からのアクセスが悪いのですが、その分、道中で昼食を楽しめました。
東京に移ってからの筆者の昼食は味気ないものになってしまいました。東京地方裁判所は霞ヶ関駅出口前にあり、道中に飲食店が入り込む余地はありません。事務所からのアクセスも良いので、期日のついでに昼食を取る気分にならなければ期日間の時間をつぶす必要もありません。そのため、筆者のお昼は、いつも事務所近くで牛丼や立ち食いそばを食べたり、コンビニで弁当を買って帰ったり、備蓄のカップラーメンを食べたりと面白味がありません。東京では控訴審になってもプチ出張は発生しません。友人たちに聞いてみても、各々の事務所近くのお店か弁護士会館地下でしか昼食を取らないようです。東京の弁護士も出張の際にはご当地グルメを楽しみにするなど食に関心はあるので、東京は裁判にかこつけて昼食を楽しむには便利すぎる(移動に無駄がない)のだと思います。
4.イケてるお店
イケてるお店というとバブリーな高級店をイメージされるかも知れません。しかし、後輩の立場になってみれば、バブリーな高級店を紹介されても別世界の話であり自慢としか感じません。筆者のような弁護士会内の便利屋になると、先輩に高級店に連れて行かれれば厄介ごとが降ってくる前振りだと察知して警戒を強めます。後輩が紹介されて嬉しいのは、雰囲気が良いのに自分のお財布でも利用できるリーズナブルな価格帯のお店です。そのような都合良いお店を教えてもらえれば先輩への尊敬が芽生えます。このようなお店が弁護士業界におけるイケてるお店です。
弁護士が好むお店の雰囲気は東西で変わりありません。どちらでも落ち着いた隠れ家的な雰囲気が好まれます。同業者で仕事の相談をしていれば、実名は絶対に出さないものの依頼者の特殊事情に触れざるを得ない場合も多く、それが許される環境を求めているからでしょう。
5.飲み歩くがバブリーではない
記事提供ライター
大学院で経営学を専攻した後、法科大学院を経て司法試験合格。勤務弁護士、国会議員秘書、インハウスを経て、現在は東京都内で独立開業。一般民事、刑事、労働から知財、M&Aまで幅広い事件の取り扱い経験がある。弁護士会の多重会務者でもある。