業界トピックス

法律事務所の就職に失敗しないために

目次
  • 1 法律事務所に就職する時の流れ

  • 2 法律事務所の種類

  • 3 自分にあった法律事務所の選び方

  • 4 まとめ

1 法律事務所に就職する時の流れ

まず、法律事務所に就職するときの流れを確認しましょう。
スタートは採用情報の収集です。法律事務所のウェブサイトに採用条件・採用人数などを掲載するところもあれば、日弁連の「ひまわり求人就職ナビ」や一般的な求人サイトに情報を出すところもあるので、定期的に情報をチェックする習慣を身につけるとよいです。司法試験の合格発表後の時期には、各弁護士会主催で合同就職説明会が開催されることもあります。また、小規模法律事務所の場合には、採用活動にマンパワーを割くことが難しいため、表だって採用活動をおこなわないところもありますが、よい人材がいれば採用したいと思っていることも少なくありません。在学中・司法修習中に得た人脈を活用して、希望の法律事務所へのツテを見つけ、諦めずにアプローチしてみましょう。
一般企業の新卒採用と同様、書類審査を経て、1回~数回の面接をおこない、採用に至るというパターンが多いです。また、書類審査の前に事務所訪問に誘われることもあります。大手企業法務系の法律事務所や外資系法律事務所の場合、説明会に参加することがエントリーの条件となっていることもあるので、時期を逃さないように注意しましょう。また、五大法律事務所では、大学や法科大学院在学中に夏・冬のインターンに参加しておくと、就職時のアドバンテージとなることがあります。
それぞれの選考過程での注意点についてはこちらの記事も合わせてご確認ください。

2 法律事務所の種類

ひとことで法律事務所といっても実態は様々です。ここでは規模ごとに分類し、特徴を説明していきます。

(1) 大手法律事務所

一般的に、100人を超える弁護士が在籍している法律事務所は大手法律事務所に分類されます。中でも日本で最大規模である5つの法律事務所(西村あさひ法律事務所/アンダーソン・毛利・友常法律事務所/長島・大野・常松法律事務所/森・濱田松本法律事務所/TMI総合法律事務所)は、五大法律事務所と総称されています。これらの大手法律事務所は、大型の企業法務案件を手がけることが多いです。大企業のM&Aなどのように、多数の弁護士が関わらなければ実現できないタイプの案件は、大手法律事務所でしか経験できないといえるでしょう。また、大手法律事務所の中でも外資系法律事務所では渉外案件の比重が多いという特徴があります。
大手法律事務所では、新人時代から相当高額の報酬を得られますが、その分仕事もハードです。所属弁護士はパートナー弁護士とアソシエイト弁護士に分かれ、アソシエイト弁護士はパートナー弁護士から割り振られた仕事をこなすというのが一般的です。アソシエイト弁護士が個人事件を受任することは基本的に認められておらず、会務活動としての国選弁護事件も担当しないことがほとんどのようです。事件処理については、配属されるチームの雰囲気にもよりますが、パートナー弁護士や先輩弁護士が指示・指導してくれ、困ったことがあれば周りに相談しながら仕事を進められる体制が整っているのが一般的です。

(2)中堅~小規模法律事務所

大まかなイメージでいうと、弁護士20人以上100人以下程度の法律事務所は中堅法律事務所に分類され、数人~20人以下程度の法律事務所が小規模法律事務所に該当するといえます。この範囲に含まれる法律事務所の中でも、より規模が大きいところほど企業法務案件を多数手がけている印象です。企業法務・刑事・知財・エンタメなど、特定の分野のみを専門に扱う法律事務所もあれば、どんな案件にも総合的に対応することを強みとしている法律事務所もあり、態様は多岐に渡ります。比較的小規模の法律事務所で、強い専門性を有している事務所はブティック系法律事務所と呼ばれ、その未知のスペシャリストを目指すのに適しているといえるでしょう。
報酬額や忙しさも様々ですが、規模が大きくなればなるほど忙しく報酬も高い傾向があるようです。新人弁護士の教育制度についても、規模が大きいところのほうが整っているといえます。個人事件の受任については、禁止・許可制・自由など法律事務所によっていろいろです。

(3)個人法律事務所

最も数が多いのが、個人経営や弁護士数名程度の法律事務所です。このような法律事務所ではボス弁のキャラクターや価値観が経営にも色濃く反映されます。一般民事、刑事、家事、中小企業法務などを広く手がけながらも、どの分野をメインに扱うかについては法律事務所ごとにまちまちであるといえます。
所属事務所が毎月一定額の報酬を支払ってくれるところもあれば、新人時代から完全歩合制のところもあります。小規模な法律事務所になればなるほど、比較的早い段階から事務所経費を負担することが求められます。経費負担の方法は、毎月定額制のところもあれば、毎月の売上に対して一定割合の経費を納めるところもあります。小規模零細法律事務所では個人事件の受任は自由であることが多く、むしろ自ら積極的に事件を受任して、法律事務所の売上に貢献することが求められている場合が多いです。
また、こういった法律事務所では新人弁護士を教育する体制が整っておらず、丁寧に教える余裕がない場合が多く、起案の添削などもしてもらえるとは限らないので、わからないことは積極的に質問しながら、ボス弁や先輩弁護士の仕事ぶりを見て技術を盗んでいくことが必要となります。

3 自分にあった法律事務所の選び方

就職してみたら想像と違っていたということは、弁護士に限らず誰にでも起こり得ます。特に、職場の人間関係や仕事仲間との相性などは就職してみるまでわからない部分も多いです。しかし、仕事内容やキャリアプランについては、事前にある程度のマッチングが可能です。
なんとなく就職活動をして内定をもらったところに入ったけれども、「思っていた仕事と違う」「激務過ぎる」という理由で早期に退職することにならないよう、2つのことを意識してみましょう。
ひとつは、就職活動の段階で、「将来どんな弁護士になりたいか」を想像しておくことです。少なくとも企業法務・一般民事・刑事・家事のどの分野を扱う弁護士になりたいのかは考えておくとよいでしょう。もっと踏み込んで、外国人の権利に関する仕事がしたい、再審法の改正に向けて活動したいなど、具体的にやりたいことが見つけられるとなお良いと思います。また、ひとつの法律事務所に長く所属したいのか、それとも、いずれは独立して自分の法律事務所を構えたいのかも考えてみてください。その上で、どのような法律事務所に就職すれば自分の目指す弁護士に近づけるのかをリサーチして、就職希望先を絞っていきましょう。
もうひとつは、「働き方についてのイメージを持つこと」です。大手法律事務所では業務量の多さに耐えきれず離職する若手も少なくありません。ワークライフバランスを重視するのか、それとも、少なくとも若いうちは遮二無二働いてしっかり稼ぎたいのかという点もはっきりさせておくとよいです。
もちろん、いざ就職してみたら想像と違う大変さや面白さがあり、新しい関心分野に巡り会うこともあります。予想外の時期に結婚・出産・介護といったライフステージの変化が起こるかもしれません。そういった意味では、最初から可能性を限定しすぎる必要はありません。しかし、何のビジョンもなしに就職活動をするのではなく、司法試験までに学習してきたことや、これまでの人生経験を踏まえた自分なりの「理想の弁護士像」「理想の働き方」をイメージした上で、就職活動に望んでください。そうすることで、自分に合った法律事務所に就職できる可能性が高まるはずです。

4 まとめ

C&Rリーガル・エージェンシー社は、弁護士を専門とする転職サポートで15年のキャリアを有し、高い評価をいただいています。弁護士として初めての就職をする方向けの就職支援サービスにも力を入れており、書類審査や面接時の注意点などの一般的なアドバイスはもちろん、キャリアプランの構築などもサポートさせていただきます。よい就職先を見つけて弁護士としての輝かしい第一歩を踏み出すために、ぜひ弊社の就職支援サービスにご登録ください。
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記事提供ライター

社会人経験後、法科大学院を経て司法試験合格(弁護士登録)。約7年の実務経験を経て、現在は子育て中心の生活をしながら、司法試験受験指導、法務翻訳、法律ライターなど、法的知識を活かして幅広く活動している。

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