ブティック系法律事務所への転職について
- INDEX
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1 ブティック系法律事務所とは
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2 ブティック系法律事務所の特徴
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3 ブティック系法律事務所の転職事例(未経験者の場合)
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4 まとめ
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1 ブティック系法律事務所とは
このことからも分かるとおり、ブティック系法律事務所の特徴はその専門性にあります。ブティック系法律事務所といってもジャンルは多様で、労働、知財、金融、税務、インターネット&サイバーセキュリティ、M&A、刑事、エンタメ、離婚、相続、ベンチャーなど幅広い分野にブティック系法律事務所と呼ばれる法律事務所が存在しますが、所属弁護士全員がその特定分野のみを扱っているという点が独特なのです。
2 ブティック系法律事務所の特徴
(1)選考難易度
以下の転職事例でもご紹介するように、即戦力ではない方がブティック系法律事務所に採用されることもないわけではありませんが、採用に至るには採用担当者の目にとまるような要素が必要です。その法律事務所の専門とは異なる分野であっても何か突出した業務経験を有していたり、外国語がネイティブレベルに使えたりといったような、他者とはひと味違うポイントがあれば、採用に至る可能性もあります。これまでの人生を総合的に見て、少しでもアピールできる要素があれば惜しみなくアピールしましょう。
(2)年収
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(3)メリット/デメリット
東京などの大都市では地方都市に比べて弁護士登録者数が多いため、何らかの専門分野を持ち、スペシャリストとしての独自色をいくことが重要になってきています。一方、地方都市では町弁として幅広い分野を対象に業務を行っている法律事務所が多いので、そのような弁護士を目指す場合はどんな分野の案件でも対応することのできるジェネラリストとしての能力が必要になります。将来的に、地元に戻って開業することを考えているような場合には、ブティック系法律事務所に就職することのデメリットも意識するとよいかもしれません。
もっとも、ここまで述べてきたことと矛盾するように感じるかもしれませんが、最近では、ブティック系法律事務所も経営拡大の観点からこれまで扱っていた専門分野以外の分野にも進出していく傾向が見られます。元々は刑事に特化していた事務所が、民事にも領域を拡大していくような場合です(この場合、やがてブティック系法律事務所ではなくなっていく可能性があります)。このあたりは事務所の経営戦略にも関わるので一概には言えませんが、場合によっては、特定分野だけを扱って専門性を極めたいと思って転職したにもかかわらず、それ以外の分野も担当することになる可能性もあるかもしれません。この点も、人によってはデメリットになりますので、気になる方は面接の段階で法律事務所の運営方針や、取扱分野の変化の有無などを確認しておくことをお勧めします。
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3 ブティック系法律事務所の転職事例(未経験者の場合)
1つめの事例は、新人弁護士としてメガバンクに就職し、1年ほど銀行でインハウスローヤーとして勤務したあと、登録2年目でファイナンス系のブティック事務所への転職を成功させたケースです。ファイナンス系ブティック事務所と聞くと、銀行での勤務経験が有利になるように思えるかもしれませんが、決してそうではありません。特にこの方の場合、銀行での勤務歴も1年程度でしたので、弊社としても転職のハードルは高いのではないかと考えていました。結果として転職が成功した大きな要素として、一般的な契約関係業務以外に、銀行ならではの業務分野に関する難易度の高い案件を処理した経験があり、それが評価されたことが挙げられます。応募する際には、この経験が採用事務所にとってどう役に立つかを示すことを意識しました。転職活動一般に言えることですが、ご自身の経験やスキルを説明するだけではなく、採用事務所にとっての「採用するメリット」を積極的にアピールすることが重要になります。
2つ目の事例は、弁護士登録1~2年目くらいで、民事事件のみの経験を有する方が労働系ブティック事務所に転職を成功したケースです。英語をネイティブレベルで使いこなすことが出来るという強みを持った方で、採用先も外資企業をクライアントに持っている事務所であったため、うまくマッチングした事例と言えます。この方も弁護士経験は浅かったのですが、まだ新人弁護士とほとんど変わらない登録1~2年目であったということで、これから先輩弁護士がイチから教えていけばいいというスタンスで採用されました。
このように、弁護士登録2年(遅くとも)以内で、かつ何らかの独自の強みを持っている場合は、即戦力でなくともブティック系法律事務所で採用される可能性が十分にあります。もっとも、登録4年目を過ぎてしまうと、即戦力以外での採用は難航する傾向にあります。登録4年目を過ぎた場合に即戦力で採用される可能性があるのは、「他人にはない特別なスキル」を持っていて、それが法律事務所のニーズと合致した場合ですが、登録年数が上がるにつれて、求められる「特別なスキル」のレベルも高くなるため、「スキルを身につけてから転職しよう」という考え方はおすすめしません。スキルを身につけるにしても、転職活動と並行して研鑽を積むという戦略がよいと思われます。
仕事と転職活動の両立について