業界トピックス
弁護士の営業活動について
- 目次
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1.弁護士の営業活動にはルールがある
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2.ウェブサイトの開設
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3.SNSによる情報発信
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4.弁護士情報提供ウェブサイトへの掲載
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5.伝統的な営業活動
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6.自己ブランディング
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7.弁護士の営業活動は難しい
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1.弁護士の営業活動にはルールがある
かつて弁護士による広告は禁止されており、広告が解禁されたのは2000年になってからです。そのためか、過去は弁護士になりさえすれば営業活動をしなくとも食べていけたといわれることが多いようです。しかし、広告だけが弁護士の営業活動ではありません。大先輩方は、昔から、受任のきっかけを得るために弁護士会などの法律相談員になったり、顧問先との信頼関係を深めるために会食やゴルフをしたりしてきました。個人情報保護の意識が希薄な時代には、出身高校、大学から卒業生名簿を取り寄せて、同級生全員に年賀状を送付したという大先輩もいます。大学などで講演をおこなったり書籍を執筆したり自己ブランディングもおこなってきました。これらも弁護士の営業活動です。
弁護士はサービス業であるため、営業活動が必要となることは当然です。しかし、弁護士の営業活動にはルールがあり、ルールを破れば懲戒処分が待っています。ここでは、弁護士による代表的な営業活動を紹介し、それぞれにおける注意点について解説します。
2.ウェブサイトの開設
今日における弁護士の代表的な営業活動は、ウェブサイトの開設でしょう。例えばインターネット上で誹謗中傷を受けた方が弁護士を探している場合には「インターネット 削除 弁護士」などのキーワードで検索をすることが通常です。その際に自分のウェブサイトが上位になるようにSEO対策をする弁護士は珍しくありません。また、既存顧客が弁護士を探している友人に自分を紹介してくれた場合にも、その友人は、アポイントを取る前に、自分の名前を検索して情報収集をする時代になりました。自分に関心を持ってくれた方に対して良い印象を与えられるようにウェブサイトの情報を充実させることも弁護士の営業活動となります。
ウェブサイトは広告となるため、これを開設する際には、弁護士などの業務広告に関する規程を遵守することが求められます。
同規程の解釈については、業務広告に関する指針が参考になります。
同規程第3条第1号は事実に合致しない広告を禁止しています。24時間電話を受け付けてくれるコールセンターと契約したからといって「24時間対応」とウェブサイトに記載しても、対応するのは翌朝以降であれば、真実は「24時間受付」であり、規程違反となってしまいます。また、同規程第3条第6号は会則会規に違反する広告を禁じているため、ウェブサイトに「○○交通事故相談センター」や「○○遺言相続センター」といった名称を付けることは禁止されています(法律事務所の名称などに関する規程第6条)。さらに、弁護士には専門性を認定する機関がないところ、同指針によると、「専門」や「スペシャリスト」、「プロ」、「エキスパート」といった表示は控えることが望ましいとされています。この他、同規程第9条第1項及び第2項によれば、ウェブサイトには所属弁護士会の表示が必要です。
これらのルールに違反している弁護士のウェブサイトに思い当たった方も多いのではないでしょうか。ウェブサイトを開設する際には広告業者に依頼することが通常ですが、広告業者が弁護士会の規程に通じているとは限らないので、弁護士自身が注意しなければ意図せずして規程違反となってしまうのです。数いる規程違反者の全員が、今も懲戒処分を受ける可能性に晒されています。
3.SNSによる情報発信
SNSは、気軽に潜在顧客にアクセスできる上に、自分の名前を周知させられる便利なツールです。そのため、SNSを通じてこまめに情報発信をする弁護士も多数います。しかし、SNSは短文のコミュニケーションであり、すぐに情報が上書きされていくため、ここで目立とうとすると、炎上を招きかねない過激な発言をしてしまいがちです。そうなれば弁護士としての品位を汚すこととなり(弁護士職務基本規程第6条違反)、場合によっては守秘義務違反や名誉棄損等の刑事犯罪を構成することにもなりかねません。弁護士の発言は注目を浴びやすいので、SNSを利用する際には他の職業よりも慎重な態度が求められます。
4.弁護士情報提供ウェブサイトへの掲載
弁護士情報提供ウェブサイトあるいは弁護士検索サイトへの掲載には、特別に慎重な検討が必要となります。これらサイトの中には、高額な広告料と引き換えに顧客の紹介を約束する悪質なものも存在するからです。もちろん、広告料の名目であっても、金銭を支払って顧客の紹介を受ければ弁護士法27条違反となります。これらサイトへの掲載については、弁護士情報提供ウェブサイトへの掲載に関する指針が出されているので、掲載申込をする前に熟読する必要があります。
5.伝統的な営業活動
広告が解禁される以前から弁護士がおこなっている古式ゆかしい営業活動としては、弁護士会や地方自治体の法律相談員になることや、既存顧客との密なコミュニケーションが挙げられます。これらは会則会規との抵触可能性という観点からは安全な営業活動なのですが、継続的な努力が必要となり、即効性がないという欠点があります。
6.自己ブランディング
これも広告が解禁される以前からおこなわれている営業活動となりますが、大学や企業で講演をおこなったり、書籍を執筆したりする弁護士もいます。広告の中で指針に背いて専門家を自称せずとも、講演や執筆の実績があれば、自然と当該分野の専門家としての評価を得ることができます。このような自己ブランディングは強力な営業活動ではあるのですが、講演や執筆の依頼を受けることが前提となるため、受け身となってしまうことが欠点といえます。
7.弁護士の営業活動は難しい
弁護士にも営業活動が必要となることは当然ですが、弁護士独特の営業活動のルールを遵守することも当然です。これを怠ればいつ懲戒処分を受けてもおかしくありません。そのため、広告業者を利用する場合にも、その業者が弁護士の営業活動のルールを熟知しているかに留意する必要があります。2007年の会社設立から弁護士の皆様を支援し続けてきたC&Rリーガル・エージェンシー社は、パートナー弁護士の方などからの「新規顧客を開拓したい」「売り上げを拡大したい」という声にお応えして、「Business Lawyer’s Marketing Service (BMS)」をご提供しています。
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記事提供ライター
弁護士
大学院で経営学を専攻した後、法科大学院を経て司法試験合格。勤務弁護士、国会議員秘書、インハウスを経て、現在は東京都内で独立開業。一般民事、刑事、労働から知財、M&Aまで幅広い事件の取り扱い経験がある。弁護士会の多重会務者でもある。