弁護士の働き方とは?法律事務所や企業、正社員や業務委託など雇用形態の違いについて解説
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弁護士の雇用形態徹底解説:正社員・業務委託の特徴と選び方
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【比較】弁護士の正社員・業務委託:メリット・デメリットを徹底分析
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法的保護と実情:弁護士の業務委託と正社員の違いをわかりやすく解説
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副業や個人受任も視野に:弁護士が実践する多様な働き方の現状
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働き方に迷ったらココへ!C&Rリーガル・エージェンシー社の弁護士向けキャリア相談
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弁護士の働き方は、法律事務所勤務の業務委託、正社員、企業法務部の正社員、業務委託など、さまざまな選択肢があります。それぞれに安定性・自由度・収入・キャリア形成といった観点でメリット・デメリットがあり、自身の働き方を選ぶ際には、どの要素を優先するのかが重要なポイントとなります。
本記事では、弁護士の雇用形態ごとの特徴やメリット・デメリットを整理し、どの働き方が自分に適しているのかを検討するためのポイントを解説します。弁護士としてのキャリアを考える際の参考にしてみてください。
弁護士の雇用形態徹底解説:正社員・業務委託の特徴と選び方
弁護士として働く方法は、大きく分けて「正社員」と「業務委託」の2つがあります。
正社員の場合、法律事務所や企業に雇われ、決められた給料や福利厚生、そして有給休暇などが保障されています。法律や労働契約のルールに基づいて働くため、安心して長期間勤務することができます。たとえば、毎月決まった時間に出勤し、残業があればその分の手当ももらえます。
一方、業務委託契約は、事務所やクライアントと個別の契約を結び、案件ごとに報酬を得る働き方です。この働き方では、自分で働く時間や場所を決められる自由さがあります。ただし、正社員ほど法律による保護は受けられず、報酬の支払い方法や福利厚生が契約ごとに異なるため、リスクも伴います。
また、企業の法務部では基本的に正社員として雇用されることが多いですが、法律事務所で働く弁護士は、業務委託契約が一般的です。
自分が大切にするポイント、たとえば、安定性や将来の見通しを重視するのか、あるいは自分のライフスタイルに合わせた柔軟な働き方を望むのか―を考えることが、働き方選びのカギとなります。
【比較】弁護士の正社員・業務委託:メリット・デメリットを徹底分析
弁護士の働き方には、法律事務所勤務の正社員、法律事務所との業務委託、企業勤務の正社員といった選択肢があります。それぞれの働き方には、メリットとデメリットがあり、キャリアの方向性やライフスタイルに応じた選択が求められます。以下に、それぞれのメリット・デメリットを整理しました。
| 勤務形態 | メリット | デメリット |
| 法律事務所勤務(正社員) | ・安定した収入と充実した福利厚生(有給休暇、病気休暇、社会保険、厚生年金など)が得られる。 ・事務所によっては、一定条件のもと個人事件の受任が可能。 |
・勤務時間や勤務地が固定されることが多い ・支店がある場合、転勤の可能性がある |
| 法律事務所勤務(業務委託) | ・働く時間、場所、仕事内容を自分で決められるため、非常に自由度が高い。 ・成果に応じた報酬が期待でき、自己の努力が収入に直結する。 ・副業としての個人受任に制約が少ない。 |
・契約内容により、有給休暇や社会保険などの保障が正社員ほど充実していない。 |
| 企業勤務(正社員) | ・企業内の正社員として安定した収入と福利厚生(厚生年金、健康保険など)が得られる。 ・勤務時間の見通しが立てやすく、ワークライフバランスを取りやすい。 |
・企業規定により副業が制約されている場合もあり、平日昼間に個人事件に対応するのは難しい。 ・転勤の可能性がある ・勤務時間や勤務場所が制限され、決まったルーチンに従うため柔軟性が低い ・企業法務に特化するため、訴訟案件などの経験を積みにくい。 |
| 企業勤務(業務委託) | ・業務委託契約のため、勤務時間や勤務地が比較的自由で、副業も可能。 ・特定のプロジェクトに関与できるため、専門性を活かしやすい。 ・企業内の法務業務を経験でき、実績を積みやすい。 |
・契約更新が保証されていないため、収入が不安定になりやすい。 ・企業の正社員と比べ、福利厚生が制限される。 ・企業の業務方針に影響を受けやすい。 |
法律事務所勤務の場合、正社員として働くと安定性と充実した社会保険制度(厚生年金、健康保険など)の恩恵を受けられます。また、事務所のサポート体制を活用すれば、個人事件の副業にも取り組みやすく、実績に応じた報酬で収入の幅を広げることが可能です。ただし、勤務時間が業務委託の弁護士に比べて柔軟でなかったり、事務所に支店がある場合には転勤の打診をされたりする可能性があります。
一方、業務委託として事務所に所属すれば、勤務時間や勤務地、仕事内容の自由度が非常に高く、自分の裁量で副業に取り組むことができます。しかし、その分、契約内容に依存するため、福利厚生が正社員より薄くなるケースがあります。
一般的な企業勤務の場合、企業の正社員として安定した収入と充実した福利厚生を享受できる点は大きな魅力です。しかし、勤務時間や勤務地が固定されるため、法律事務所勤務と比べると柔軟性に欠ける傾向があります。特に、勤務時間中に個人事件の対応を行うことは難しく、副業としての個人受任は現状、十分に認められていません。
さらに、総合職の場合は転勤の可能性もあり、ライフスタイルや家庭環境に影響を及ぼすリスクも考慮する必要があります。
法的保護と実情:弁護士の業務委託と正社員の違いをわかりやすく解説
正社員として働く弁護士は、労働法や労働契約法、労働基準法などの法的枠組みによって強固に保護されています。たとえば、勤務時間、残業手当、有給休暇、病気休暇など、基本的な労働条件は法律で定められており、企業は従業員の権利を守る義務があります。もし問題が発生すれば、労働基準監督署などの行政機関が介入し、適切な対応が行われるため、安心して長期的なキャリア形成や生活設計が可能となります。
一方、業務委託では、契約に基づいて業務を行うため、勤務時間や残業手当、有給休暇といった条件はあくまで契約内容に依存します。そのため、契約が予告なく終了されたり、報酬の支払いが遅れたりといったリスクが生じる可能性があります。こうしたリスクは、契約交渉時に条件を明確にすることである程度管理できますが、正社員ほどの法的保護は期待しにくいのが現実です。
また、健康保険や年金などの社会保障についても、自動的に付与されるわけではなく、個別にリスク管理や保険加入を行う必要があります。
なお、弁護士業界では、厚生年金や健康保険だけでなく、弁護士国保や互助年金といった業界独自の社会保険オプションが充実していることも特徴です。日本弁護士連合会が提供する国民年金基金や互助年金は、若手弁護士にもメリットがあるとされ、社会保険面でのサポートが一層進んでいます。
このように、正社員は法律による強力な保護を受けながら安定した働き方ができるのに対し、業務委託は自由度が高い反面、法的保護が限定的であるため、自己管理とリスクヘッジの意識が求められます。弁護士としての働き方を選ぶ際は、これらの法的保護の違いを十分に理解し、自分のキャリアプランやライフスタイルに合った働き方を慎重に検討することが重要です。
副業や個人受任も視野に:弁護士が実践する多様な働き方の現状
弁護士が副業として個人事件を受任することは、長年にわたり業界内で認められてきた働き方の一つです。特に法律事務所に勤務する弁護士にとって、個人受任は自身の経験を積み、実績を作り、将来的な独立を見据えた準備をするための重要な手段となります。
■ 法律事務所に所属する弁護士の副業
法律事務所勤務の弁護士は、事務所が割り当てる案件を担当する一方で、一定の条件のもとで個人案件を扱うことができます。正社員であっても業務委託であっても、個人事件の報酬の一部を事務所に納めるなどの条件をクリアすれば、勤務時間内に個人案件に取り組むことが可能な場合が多いです。
また、法律事務所では事務員などのサポート体制が整っているため、クライアントとのやり取りや訴訟準備などの業務を比較的スムーズに進めることができます。このため、個人受任は通常の給料に加えて報酬を得られる手段となり、収入の幅を広げることが可能です。さらに、個人事件を通じて自らの専門性を高め、事務所内での評価向上にもつながります。
■ 企業勤めの弁護士の副業
一方、一般企業に勤める弁護士の場合、副業として個人事件を受任するハードルは高くなります。企業勤務では、企業の就業規則により副業の取り扱いが慎重に運用されることが多く、勤務時間中に個人事件の対応をするのは原則として難しいのが現状です。裁判期日が重なる場合には、有給休暇を取得しなければならないため、企業の業務との両立が難しくなります。
さらに、企業では通常、法務部門の弁護士は自らの業務をすべて一人でこなす必要があり、法律事務所勤務のように事務員のサポートを受けられる環境ではありません。そのため、個人案件を進める際には、クライアント対応から契約書の作成、訴訟の準備まですべて自身で行う必要があり、業務負担が大きくなる可能性があります。
近年、一部の企業では副業を認める動きが見られるものの、まだ例外的なケースが多く、法律事務所勤務の弁護士に比べると、個人受任に対する自由度は低いと言えるでしょう。
■ 個人受任のメリットとリスク
個人受任は、単なる副収入の手段にとどまらず、弁護士としてのキャリア形成にも大きく影響を与えます。特に、将来的に独立を考えている弁護士にとっては、個人受任の経験がそのまま独立後の基盤となることが多く、勤務弁護士の段階から積極的に個人事件を受任することは、スムーズな独立につながる重要なステップとなります。
また、転職を検討する際にも、個人受任の経験は大きな武器になります。中堅弁護士が他の事務所に移籍する際、既存のクライアントを持っていることは強みとなり、転職後の待遇や評価に影響を与えることもあります。したがって、キャリアの選択肢を広げるためにも、勤務中に個人事件を経験しておくことは大きなメリットがあります。
一方で、個人受任にはリスクも伴います。たとえば、個人事件を抱えすぎると、本業とのバランスを取ることが難しくなり、業務過多による負担増が懸念されます。特に、法律事務所に所属する弁護士の場合、個人受任の割合が増えすぎると、事務所内での評価や立場に影響を及ぼす可能性もあります。
また、法律事務所で個人事件を扱う際は、報酬の一部を事務所に納めることが一般的です。その割合は事務所ごとに異なりますが、一般的には20~30%程度とされており、収入の増加を期待して個人事件を増やしても、実際の手取りが思ったほど増えないケースもあります。こうした経費負担を考慮しながら、バランスよく個人受任に取り組むことが重要です。
働き方に迷ったらココへ!C&Rリーガル・エージェンシー社の弁護士向けキャリア相談
弁護士の働き方には、法律事務所の正社員や業務委託、企業法務部での正社員など、さまざまな選択肢があります。それぞれに特徴があり、安定性や自由度、報酬体系、キャリア形成の観点から慎重に選択することが大切です。しかし、「自分に合った働き方が分からない」「転職を考えているが、どの選択肢が最適なのか判断できない」といったお悩みを抱える方も多いのではないでしょうか。
C&Rリーガル・エージェンシー社は、弁護士や企業法務のプロフェッショナルに向けた転職支援サービスを提供しています。ただ単に転職先をご紹介するだけでなく、弁護士としてのキャリア全体を見据えたアドバイスを行い、長期的なキャリア形成をサポートしています。
たとえば、法律事務所での業務委託契約と企業内弁護士の正社員勤務のどちらが自分に向いているのか、また、副業としての個人受任を継続しながらキャリアを築く方法はあるのかといった具体的なご相談にも対応可能です。
今すぐ転職を考えている方だけでなく、「現職でのキャリアの活かし方を知りたい」「将来の選択肢を広げるための情報が欲しい」という方も、お気軽にご相談ください。