業界トピックス

【79期向け】司法修習における二回試験(司法修習生考試)とは?流れ・科目・不合格者の傾向まで解説

INDEX
  • 二回試験(司法修習生考試)とは?基本を押さえる

  • 二回試験の科目内容と試験形式【民裁・刑裁・民弁・刑弁・検察】

  • 二回試験の実施時期とスケジュール【例年の流れを解説】

  • 合格発表の仕組みと不合格者の傾向

  • 79期修習生が押さえておくべき二回試験対策のポイント

  • 白表紙活用法|読むタイミングと優先度

  • 79期修習生へ|二回試験を乗り越えた先輩の声【Q&A形式】

  • まとめ|二回試験を通過して法曹としての第一歩へ

司法修習の集大成である「二回試験(司法修習生考試)」。司法試験を突破した後も、修習の成果を試すこの最終関門が待っています。
 
本記事では、79期修習生向けに二回試験の概要から科目内容、対策法、白表紙の活用法まで徹底解説します。

二回試験(司法修習生考試)とは?基本を押さえる

司法修習の最終関門として位置づけられているのが、「二回試験(司法修習生考試)」です。これは、司法試験に合格した後、1年間の修習を経て受ける実務能力を確認する国家試験であり、合格しなければ弁護士や裁判官、検察官といった法曹になることはできません。
 
司法試験が「法律知識と論理的思考力」を問うのに対し、二回試験は修習で培った実務処理能力・応用力・職業倫理を評価します。判決書、訴状、準備書面、弁論要旨、論告起案など、実務に即した書面作成が中心です。
 
二回試験の目的は、単に修習の理解度を測るだけではありません。法曹として社会に出る前に、以下のような「プロとしての最終確認」を行うことにあります。
 
・修習で身につけた知識・技能を実務で適切に運用できるか
・法曹三者に共通する職業倫理や判断力を備えているか
・公正・中立な立場で法を適用できる姿勢があるか
 
つまり二回試験は、司法試験のように“知識量”を測る試験ではなく、法曹としての資質と実践力を確認するための試験なのです。これをクリアすることで、修習生は晴れて「法曹の一員」として社会に送り出されます。

二回試験の科目内容と試験形式【民裁・刑裁・民弁・刑弁・検察】

二回試験では、司法修習で学ぶ5つの主要分野(民事裁判・刑事裁判・民事弁護・刑事弁護・検察)について、それぞれの実務的課題を題材にした「起案形式の筆記試験」が行われます。 

■試験形式の概要

まずは、全体の試験構成を確認しておきましょう。
・形式:筆記(起案)方式
・科目数:全5科目(民裁・刑裁・民弁・刑弁・検察)
・試験期間:5日間
・評価方法:各科目をA~Dの4段階で採点し、一定基準に達しない場合は不合格となる
 
各科目では、修習で学んだ知識をもとに、現実の事件を想定した事例問題に対して法的分析と書面作成(起案)を行います。重要なのは「知っている」だけではなく、「考えて・書ける」ことが試される実務試験です。

■各科目の出題内容と起案形式

では、実際にそれぞれの科目でどういった試験が行われるのかを見ていきましょう。
 
■民事裁判科目(民裁)
与えられた民事事件の事件記録をもとに、民事判決を起案します。通常、2件の事件記録が配布され、1件目では「要件事実」に関する起案、2件目では「事実認定」に関する起案を行う形式が一般的です。
 
判決書としての体裁・法的構成の適切さ・事実認定の説得力が評価のポイントです。
 
■刑事裁判科目(刑裁)
刑事事件の事件記録をもとに、刑事判決書を起案します。事実認定に加えて、量刑判断を含む設問となる場合もあり、刑事訴訟手続に関する小問が出題されることもあります。
 
求められるのは、証拠評価・量刑理由・刑事実務の理解といった総合的判断力です。
 
■検察科目
捜査記録をもとに、終局処分(起訴・不起訴 等)を起案します。法と証拠の整合性を踏まえ、検察官としての結論と理由を示します。刑事裁判科目と同様、刑事訴訟手続に関する小問が出題されることもあります。
 
適正手続と公益のバランスを踏まえた判断力、公平な処分理由の記載が評価ポイントです。
 
■民事弁護科目(民弁)
与えられた民事事件の事件記録をもとに、最終準備書面を起案します。依頼者の主張を整理し、訴訟方針に基づいて法的主張を構築する実践的な内容です。また、民事執行・保全手続に関する小問が出題される場合もあります。
 
論理的な主張構成、依頼者利益の最大化を意識した書面構成が評価されます。
 
■刑事弁護科目(刑弁)
刑事事件の事件記録をもとに、弁論要旨の起案を行います。被告人の弁護方針に沿って、事実認定・法的評価・量刑意見をまとめる形式です。
 
弁護活動における倫理観や人権意識が重視されるほか、刑事手続全体を通した一貫した弁護戦略を立てられるかどうかがポイントです。

二回試験の実施時期とスケジュール【例年の流れを解説】

ここでは、二回試験の実施時期とスケジュールについて解説します。

 

■二回試験の実施時期

年度によって日程に多少の違いはありますが、2023年度以降、二回試験の実施時期が大きく変更されています。以前は11月中旬から下旬にかけて実施されていましたが、2023年度から司法試験の合格発表が11月に変更されたことに伴い、司法修習の開始時期も後ろ倒しとなりました。その結果、二回試験の実施時期も3月頃(修習終了間際)へと移行しています。

■二回試験のスケジュール

二回試験は、5日間連続で1日1科目ずつ実施されます。例年の実施スケジュールは以下の通りです。

試験日 科目例 主な内容
第1日 民事裁判 判決起案(要件事実・事実認定)
第2日 刑事裁判 判決起案(事実認定・量刑判断)
第3日 民事弁護 最終準備書面起案
第4日 刑事弁護 弁論要旨起案
第5日 検察 終局処分起案

 

■試験時間の流れ
試験は午前10時20分から午後5時50分まで(約7時間半)行われます。具体的なタイムスケジュールは次の通りです。
 
・午前の部  :10時20分〜12時00分
・昼休憩   :12時00分〜13時00分
・午後の部  :13時00分〜17時45分
・答案綴り込み:17時45分〜17時50分(5分間)
 
■試験の進め方
毎日午前中に事件記録や設問が配布され、制限時間内に手書きで答案を作成します。試験中は各自でトイレ休憩を取ることができ、起案を早く終えた場合は時間前に退室することも可能です。
 
昼食時間中も起案を続けることができるため、多くの受験生は軽食を持参し、休憩時間も筆を進めています。ただし、休憩時間中も会場から外出することは認められていないため、昼食は必ず事前に準備しておく必要があります。
 
■答案の提出方法
試験終了後には5分間の「答案綴り込み時間」が設けられています。これは、受験者自身が起案した答案を綴じ紐で結び、表紙とともにまとめる作業です。この作業を適切に行わなければ答案が有効に回収されないため、注意が必要です。

■試験会場

試験は、修習地または法務省が指定する会場で実施されます。実務修習地によって会場が異なり、以下のように分かれます。
 
・大阪・京都・神戸・奈良・大津・和歌山の修習生
新梅田研修センター(大阪市福島区福島6丁目22番20号)
 
・上記以外の修習地および再受験者
司法研修所(埼玉県和光市)

合格発表の仕組みと不合格者の傾向

二回試験を終えると、すべての答案は司法研修所に送付され、採点・審査が行われます。合格発表は、修習修了式にあわせて実施され、全修習生がそこで初めて結果を目にします。

■独特な発表形式

二回試験の合格発表は、不合格者の受験番号のみが司法研修所内に掲示される方式です。合格者番号の掲示はなく、結果は後日郵送で通知されます。掲示物の写真撮影は禁止されており、ネット確認もできません。
 
また、発表の翌々日には弁護士の一斉登録日が設けられており、多くの修習生がこの日から弁護士としての執務を開始します。そのため、結果を早く知りたい修習生にとっては、発表日当日の情報確認が重要です。

■不合格者数の推移と合格率

最高裁判所が公表しているデータによると、二回試験の合格率はほぼ毎年99%以上という非常に高い水準で推移しています。

 
修習期 採用者数 不合格者数 合格率(概算)
第70期(平成28年度) 1,530 16 約99%
第71期(平成29年度) 1,516 16 約99%
第72期(平成30年度) 1,482 8 約99.5%
第73期(令和元年度) 1,473 11 約99.3%
第74期(令和2年度) 1,456 5 約99.6%
第75期(令和3年度) 1,328 6 約99.5%
第76期(令和4年度) 1,393 6 約99.5%
第77期(令和5年度) 1,839 10 約99.4%

※出典:最高裁判所「司法修習生採用者数・考試(二回試験)不合格者数」公表資料

 

■不合格者に見られる傾向

平成後期〜令和期にかけて、合格率は一貫して99%前後を維持。不合格者は毎年5〜16名ほどにとどまり、令和期以降は「ほぼ全員が合格する試験」と言えそうです。それでもわずかながら不合格者はいます。不合格となる修習生に共通して見られる特徴としては、次のようなものがあります。
 
・修習中の起案や課題提出が遅れがち・不十分
・要件事実・訴訟構造などの基礎理解が弱い
・起案文書の構成・文章表現に一貫性がない
・倫理的視点や現実的判断力を欠いた答案を作成している
 
このように、二回試験は知識量よりも実務能力と職業倫理が重視されます。日々の修習課題に丁寧に取り組み、基本を確実に身につけることが、最大の合格対策です。

79期修習生が押さえておくべき二回試験対策のポイント

79期修習生にとって、二回試験は司法修習の集大成です。合格率は99%以上と非常に高い水準を保っていますが、油断は禁物。司法試験に合格した優秀な修習生の中でも、二回試験で「落ちる数名」になる可能性はゼロではありません。
 
ここでは、79期修習生が安全圏で合格するために押さえておきたい基本方針と具体的な学習法を紹介します。

■“落とさない試験”を侮らないこと

二回試験は「ほとんどの人が受かる試験」ですが、決して簡単ではありません。全員が「ここで落ちてはいけない」という緊張感をもって臨みます。不合格率が低いからといって軽視すると、初歩的なミスや形式違反(禁止事項)で足をすくわれるリスクがあります。
 
特に次のような“やってはいけない起案”は、一発アウトになる可能性があるため注意しましょう。
・刑事弁護で「被告人の供述が信用できないから有罪」と書く
・無罪主張の事案を「情状弁護」で処理してしまう
・民事弁護で原告と被告の立場を取り違える
・民事裁判で訴訟物の選択を誤り、論点がずれる
 
これらは形式面・倫理面のいずれでも重大な減点対象になります。完璧な答案よりも、基本を外さない答案を書くことが最大の防御策です。

■導入修習・集合修習の復習を徹底する

二回試験の出題は、導入修習・実務修習・集合修習の起案課題と完全に連動しています。各科目で「導入修習1回・実務修習1回・集合修習2回」ほど起案を経験しますが、これらはすべて二回試験の予行演習です。
 
集合修習で扱った起案・解説・講評メモを再確認し、「なぜこの構成が評価されたのか」「どの点が減点だったのか」を整理しましょう。
 
修習中に提出した起案を再度書き直す“セルフ添削”も非常に効果的です。特に、教官コメントを写したメモは宝の山。白表紙には載っていない実務感覚が凝縮されています。

■白表紙と参考起案を読み込み、「型」を体得する

白表紙(司法研修所作成教材)は、各科目の基礎理論・起案構成・実務上の判断手順を体系的にまとめた、いわば公式テキストです。
 
白表紙を通じて次のような感覚を身につけましょう。
・「結論の書き方」「要件事実の整理」「証拠評価の流れ」など“実務の型”
・模範的な表現や文書構成のテンプレート
・試験官が重視する法曹らしい書きぶり
 
白表紙を読んだだけでは抽象的に思える箇所も、集合修習やA答案の比較で具体化していくことで理解が深まります。
 
※白表紙の入手・優先度・効率的な使い方は、次章【白表紙の詳細と活用方法】で詳しく解説します。

■模擬起案と勉強会で“再現力”を磨く

読むだけでなく、実際に書く練習(模擬起案)を行いましょう。集合修習や先輩修習生から入手した過去問を使い、時間を計って本番と同じ形式で起案するのが効果的です。
 
さらに、勉強会で答案を共有・添削し合うことも有効。「悪目立ちしない、周囲と足並みを揃えた答案」を意識することで、評価の安定した“安全圏の答案”を書けるようになります。
 
司法修習は仲間とのネットワーク形成の場でもあります。勉強会での交流は、試験対策だけでなく将来の法曹キャリアにもプラスとなるでしょう。

■学習計画と直前期の過ごし方

対策の本格始動は多くの場合、集合修習の段階からです。ただし、志望によって開始時期に違いがあります。
 
・裁判官・検察官志望:実務修習の段階から起案評価を意識し、早めに対策開始
・弁護士志望:集合修習で本格始動するケースが多い
 
また、社会人経験者や育児・介護と両立している修習生は、早めに少しずつ始めることで直前期の負担を軽減できます。
 
参考までに、直前期の学習スケジュールの例をご紹介します。
・1〜2か月前   :白表紙・過去起案の復習
・2〜3週間前   :模擬起案で時間感覚を養う
・1週間前〜本番:軽い論点整理と体調調整

白表紙活用法|読むタイミングと優先度

司法修習における「白表紙」は、修習生活から二回試験合格、さらには実務家デビューまで使える最重要教材です。司法研修所が公式に作成したこの教材は、単なる教科書ではなく、法曹としての思考・書き方・判断の「型」を学ぶための実務指導書。二回試験で高評価を取る修習生は、例外なくこの白表紙の内容を理解していると言われています。

■白表紙とは

白表紙は、司法研修所が全修習生に配布する公式教材で、以下の5科目に対応しています。
 
・民事裁判
・民事弁護
・刑事裁判
・刑事弁護
・検察
 
各冊子には、起案に必要な知識・思考手順・書式例・論述上の注意点などが体系的に整理されており、「法的思考を現場でどう使うか」を学ぶための実務訓練書といえます。
 
白表紙の特徴は、知識の暗記ではなく、「どのように事実を認定し、論理を構成し、文章化するか」という過程を重視している点です。司法試験が「知識の試験」なら、白表紙は「実務の試験」に直結する教材です。

■いつ読むべきか(導入修習〜実務修習〜直前期)

白表紙は、一度読んで終わりではなく、修習の各段階で目的を変えて繰り返し使うのが理想です。

時期 学習目的 活用のコツ
導入修習 白表紙の構成を理解し、全体像を把握 “索引代わりに使えるようになる”を目標に軽く通読
実務修習 実際の事案に即して再確認 記録分析中に該当箇所を引いて「思考の順序」を意識
集合修習 理論と実務を接続 教官の講評メモやA答案と照らして、理解を深める
直前期(二回試験前) 理論と実務を接続書式・論点の再確認 読み込みよりも「使える状態」に整理しておく

 

多くの修習生が「集合修習中〜直前期」に白表紙を再読することで、答案構成の手の動きが自然に「白表紙の型」になると言われています。

■二回試験で活用できる!白表紙ランク付け

筆者は69期の弁護士ですが、二回試験当時の経験を踏まえ、実際に「試験対策としてどれが最も役立ったか」という観点から、優先度別に白表紙をまとめました。下記は、導入修習から二回試験直前期まで使い込んだ上で感じた「費用対効果の高い教材リスト」です。

 

【最優先】

書名 科目 内容・ポイント
『事例で考える民事事実認定』 民事裁判 民事裁判における「事実認定の型」を学ぶ最良教材。二回試験民裁の必読書。
『刑事事実認定ガイド』 刑事裁判 刑事裁判の核心である事実認定・量刑判断を具体的に示す。全科目共通の事実認定の思考を学べる。
『検察終局処分の考え方』 検察 犯罪の成否・犯人性をどう論理構成するかを訓練できる。検察科目で最頻出の教材。

 

【優先】

書名 科目 内容・ポイント
『民事弁護の手引』 民事弁護 最終準備書面・訴状・答弁書の構成を理解できる。民弁起案の「型」を習得。
『刑事弁護講義ノート』『刑事弁護の手引き』 刑事弁護 想定弁論や模擬接見課題の理解に最適。小問対策にも有効。
『事実摘示記載例集』 民事裁判 要件事実の具体的な記載方法を整理する基礎書。主張整理の練習にも役立つ。
『プロシーディングス刑事裁判』『プラクティス刑事裁判』 刑事裁判 刑事手続に関する小問対策に最適。裁判員裁判の流れを体系的に学べる。
『検察演習問題』『検察講義案』 検察 小問対策に有効。記載例や略記表は本番貸与資料にも近く、内容を把握しておくと安心。

 

【補助的・確認用】

書名 科目 内容・ポイント
『民事弁護教材 改訂 民事保全/民事執行』 民事弁護 民事保全法・執行法の基本事項を簡潔に整理。小問対策向け。
『新問題研究 要件事実』 民事裁判 要件事実の初歩を復習する入門書。苦手克服に最適。

 

【補足:市販教材で補強するなら】

書名 分野 コメント
『紛争類型別の要件事実』 民事裁判 旧白表紙。民裁授業でも引用が多く、要件事実理解の補強に最適。
『要件事実30講』(元教官著) 民事裁判 『事実摘示記載例集』と親和性が高い。演習形式で理解を深められる。

『刑事弁護の基礎知識』(神山弁護士)

刑事弁護 現行出題形式の原型を作った著者による定番。刑弁・刑裁・検察の横断的理解が可能。

79期修習生へ|二回試験を乗り越えた先輩の声【Q&A形式】

司法修習を締めくくる「二回試験」は、緊張とプレッシャーに包まれる一週間。それでも、過去の修習生たちはそれぞれの方法で壁を乗り越えてきました。
 
ここでは、世代・経歴・対策方法の異なる修習生のリアルな声を紹介します。

■Q1. 二回試験に向けた対策・勉強はどういったことを行いましたか?

「集合修習での講評、授業の復習をメインに、自分で作成したまとめノートの復習などをしました。まとめノートは、導入修習、問研起案の講評を反映させました。なお、弁護士志望であるため、集合修習までは一切勉強はしていませんでした。」
(20代・男性)
 
「基本的に全科目、これまでの集合修習でのレジュメをA班B班両方を見直しました。自分と違う班のレジュメは交友関係を生かして頑張って入手しましょう。」
(30代前半・男性)
 
「導入修習や集合修習の講義で使用したスライドを復習することを心がけました。また、即日起案で自分ができていない部分を分析しました。その結果、答案の型に問題があるものを最優先に対策し、型を身につけることを心がけました。」
(20代・男性)
 
「集合修習中の起案は毎回本番を想定しながら臨み、特に記録の読み方や時間・付箋の使い方、昼食をどうするか等について色々と作戦を立てて検討していました。起案の講評は毎回よく聞いて、本番直前に見返すためのメモを作成しました。」
(20代・女性)

■Q2. 二回試験に求められる知識は白表紙で十分でしたか?

「十分でした。」
(複数回答)
 
「他のものも活用しました。授業の解説PDFや、司法試験の刑法教材、要件事実関係の市販書などを参照しました。」
(30代前半・男性/20代男性ほか)

■Q3. 二回試験の過去問演習など、本格的に対策を始めた時期は?

「二回試験1か月前。」
(複数回答)
 
「二回試験2か月前。」
(30代前半・男性)
 
「それ以前。ホームグラウンド修習中に練習していた。」
(30代後半・男性)

■Q4. 各科目で特に役立った知識・試験で活かされた内容

「民事裁判については、大島本が役に立ちました。白表紙は無味乾燥で読む気が起こらなかった。検察は、終局処分白表紙と講評のみで足ります。刑事弁護、民事弁護は講評のみで十分です。刑事裁判は検察の書き方を参考にしました。」
(20代・男性)
 
「検察の「犯罪の成否」及び刑事裁判の法的評価問では、刑法各論の知識が役に立ちました。検察講義案の後ろの公訴事実記載例に出てくる罪名についてはひととおり構成要件の定義を復習しておくとよいでしょう。」
(30代前半・男性)
 
「事実認定は多くの科目にありますが、要領よく事実を拾って認定することが特に大事です。一つの事実を深く掘り下げることよりも、できるだけ多くの事実を拾い、簡単にでも評価することの方が答案戦略的な面では大事だったように感じます。」
(20代・男性)
 
「全科目、集合修習中の起案の講評のパワポを読み返して復習することが大事だと思いました。本年度の二回試験では、少なくとも民裁(要件事実)・検察(犯人性起案)・刑事弁護の小問にて、集合修習中の起案の講評で復習した内容が出題されていたと思います。」
(20代・女性)

■Q5. 当日の時間配分・心がけ

「午前中に小問を終わらせ、キリのいいところで昼食をとりました。絶対に試験時間の最後まで残らないようにすることを心がけました。最後まで残ると紐を結ぶタイムリミットがあり焦るし、無駄に残されてしまうためです。」
(20代・男性)
 
「昼休み以降は答案を提出して途中退出ができるのですが、17時30分以降は終了まで退出不可となります。そして、最後まで残っていると教室からの退出や混雑で帰りが遅くなり、無駄に疲れて翌日に響くので、何が何でも17時半までには帰るようにしていました。」
(30代前半・男性)
 
「12時までに答案構成をして、昼食をとり、書き上げることを意識しましたが、実際はもっと早く答案構成ができたので早く書き上げることができました。また、可能な限り15分前の途中退室をして、体力を温存することを心がけました。」
(20代・男性)
 
「1時間半〜2時間以内に記録を全て読んで答案構成をして、遅くとも14時頃には書き始めるように心がけていました。また、絶対途中答案にならないように、どの設問も万遍なく、設問に応じた適切な分量で解答できるように心がけていました。」
(20代・女性)

■Q6. 後輩へのアドバイス

「内容面で落ちることは、集合修習をまともにこなしてさえいれば、まずないと考えて差し支えないでしょう。むしろ、答案の型などの形式面のミス、紐を結ぶ、原告被告を間違えないなどの答案作成以前のミスをしないことが重要です。」
(20代・男性)
 
「基本的に教官の教え、問題文に従えば大丈夫です。これまでの不合格者数から内容面で落ちることはないと思います。教官のレジュメが最良の教材なので、よく復習して臨んでください。」
(30代前半・男性)
 
「二回試験は当たり前のことを書くことが大事な試験です。深い考察等が求められているわけではありません。当たり前のことを書くとはいえ、事務処理能力によっては厳しいと感じることもあるかもしれません。それでも付箋の使い方を工夫するなど、対策のしようはあります。」
(20代・男性)
 
「長時間・長期間の試験で体力的にも精神的にも負担がかかる上、記録を読むと眠くなってしまうことがあるので、試験前日は復習よりもよく寝ることの方がはるかに大事です。」
(20代・女性)

まとめ|二回試験を通過して法曹としての第一歩へ

二回試験(司法修習生考試)は、司法修習の集大成であり、法曹としての実務能力を確認する最後の関門です。しかし、その本質は「落とすための試験」ではなく、これまでの修習で培った知識と実務感覚を確認し、法曹としての基礎を固めるための通過点にすぎません。
 
集合修習や実務修習で学んだ経験、白表紙で身につけた思考の型、起案や講評を通じて磨かれた判断力。そのすべてが、今後のキャリアの礎となります。
 
修習生活の集大成を迎えるこの時期、最も大切なのは、最後まで健康を保ち、平常心で臨むこと。多少のミスがあっても致命的にはならず、途中答案を避け、全科目をやり切ることが何より重要です。
 
二回試験はゴールではなく、法曹としての人生のスタートライン。この試験を通して得た力を糧に、次のステージで自分らしい法曹キャリアを築いていきましょう。
 
弁護士転職.jp|修習生向け特集ページでは、修習生・若手弁護士の体験談や求人情報、キャリア設計のヒントを掲載中。79期修習生の皆さんの新しい一歩を応援しています。

中澤 泉(弁護士)

弁護士事務所にて債務整理、交通事故、離婚、相続といった幅広い分野の案件を担当した後、メーカーの法務部で企業法務の経験を積んでまいりました。 事務所勤務時にはウェブサイトの立ち上げにも従事し、現在は法律分野を中心にフリーランスのライター・編集者として活動しています。

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