業界トピックス

弁護士のリアルな働き方

目次
  • 1.はじめに

  • 2.弁護士の勤務時間

  • 3.弁護士の休日

  • 4.弁護士の移動

  • 5.おわりに

1.はじめに

弁護士の業務は、労働基準法施行規則第24条の2の2第2項第6号の規定に基づき厚生労働大臣の指定する業務に含まれるので、どれだけ働いても残業代は発生しません。そのため、一般の会社員と比較すると、弁護士の労働時間は長くなる傾向にあります。おそらくこれは弁護士という職業に対するイメージ通りでしょう。一方で、弁護士の多くは、休日を確保するために工夫をしている、移動している時間が非常に多い、などの、おそらく職業イメージと反する働き方をしています。以下では、弁護士のリアルな働き方をご紹介します。

2.弁護士の勤務時間

筆者の感覚では、駆け出しの弁護士の多くは、1日12時間以上働きます。筆者も、新人時代は、9時過ぎに出勤し、21時から23時くらいまで働くのが通常でした。なお、9時過ぎに出勤していたのは、事務職員が9時始業で、弁護士が先に出勤していると気兼ねするので9時を少し回ってから出勤してくれと言われていたからでした。

もっとも、法律事務所によって新人の育成方針は異なります。筆者は、1年目から事件を任され、ボス弁のチェックを受けながら試行錯誤していました。法律事務所によっては、1年目は先輩について歩くだけのお客さん、2年目以降に本格的に仕事を任されます。ここでは新人はあまり忙しくないのですが、2年目以降に1日12時間以上の労働が待ち受けることになります。いずれにせよ、一人前になるまでは、1日12時間労働は当たり前の世界です。

弁護士は、経験を積むにつれて、出勤時間が遅くなっていく傾向にあります。新人時代は9時に事務所に到着していたのに、徐々にそれが10時になり、いずれは11時に近づいていきます。弁護士業務にはクリエイティブな側面があるので、後ろに予定が入っていると集中することが困難です。そこで、営業時間が終わってからが本番というワークスタイルに落ち着いていくのだと思います。出勤時間が遅くなることで、1日の労働時間は短くなっていきますが、その分以上に処理能力が磨かれれば、新人よりも多くの事件を扱うことができるようになります。

大手法律事務所では、給与が良い反面、9時5時(17時にあらず)勤務も覚悟する必要があると言われています。これは実現不可能な数字です。知人に話を聞いてみると、実際には、終電を過ぎても働いていることは通常だが、朝は午前中に出勤すれば足りる、という程度だそうです。仮に11時3時勤務だとしても、1日16時間労働になります。限界まで働いているということです。極端に夜型になるのは、国際案件が多いからでもあるようです。

数こそ少ないですが、中には18時帰宅を徹底している法律事務所も存在します。そこの弁護士と打ち合わせの日程調整をすると、16時30分開始に拘ります。打ち合わせは長くとも90分程度で終わることが通常であるため、18時帰宅から逆算していることが伺えます。

3.弁護士の休日

弁護士の多くは、原則として、土日祝日は働きません。裁判所が開いていないからです。もっとも、依頼者の都合で休日に打ち合わせが入ったり、書面の作成が間に合わず休日に作業したりすることはあります。特に新人時代は、書面作成はいくら時間があっても足りないので、筆者は、月に2回は土日出勤していました。しかし、経験を積んで書面の作成速度が上がれば、休日を確保しやすくなっていきます。

弁護士は、平日営業時間外や休日にも法律事務所にいる時間が長くあります。しかし、通常は、電話が鳴っても出ることをしません。ビジネスホンを導入して、営業時間内にかけ直すことを求めるアナウンスをする法律事務所も多いです。

依頼者や顧問先に対しては、緊急連絡手段として携帯電話を伝える場合が多いです。しかし、緊急ではない夜間休日に携帯電話が鳴れば、あくまでも緊急連絡手段である旨をお伝えすることが通常です。

電子メールは、営業時間外や土日に対応することも多いですが、今日は休むと決めた休日は頑として対応しません。気になって電子メールを読んでも、読まなかったことにして対応はしません。それが許される文化があることが電子メールのメリットです。

電話や電子メールに対応しないのは、対応してしまうと24時間営業だと誤解されるからです。弁護士の多くは、仕事を集めることと同時に、休みを確保することに対しても、工夫をしています。

ところで、法律事務所の夏季休業期間は、多くの場合、極端に短くなっています。これは、裁判所に合わせているためです。裁判官や裁判所の職員は、前半後半に分かれて夏季休暇を取ります。そのため、裁判所は、夏季は長い期間、機能の半分を停止します。それでも半分は動いているので、そこに裁判期日が入ることがあります。これに対応するために、法律事務所の夏季休業期間は短いのです。もっとも、個々の弁護士や事務職員は、担当している事件の裁判期日と相談しながら、それぞれがしっかりと夏季休暇を取ります。

4.弁護士の移動

裁判は、常に最寄りの地方裁判所に係属するとは限りません。家庭裁判所や支部に係属することもありますし、出張を要する遠方の裁判所に係属することもあります。

刑事事件でも、接見は、被疑者を勾留している警察署や拘置所で行われます。拘置所はアクセスが悪い場所にあることが多く、筆者も、地方都市で勤務弁護士をしていた際には、自家用車で法律事務所から片道1時間以上の時間をかけて拘置所まで移動していました。

弁護士には、原則、弁護士会の委員会に出席する義務があるのですが、委員会は弁護士会館で開催されることが通常です。必然的に、頻繁に弁護士会館に顔を出すことになります。

この他にも、不動産事件では現地を確認することになりますし、刑事事件ではドラマのように現場の調査を行うこともあります。ご高齢の依頼者に対しては、打ち合わせのためにご自宅に赴くこともあります。

弁護士は、法律事務所を起点として、各地の裁判所や警察署、弁護士会館等を忙しなく行き来することになります。弁護士というとデスクワーカーのイメージを抱かれやすいのですが、実際には移動が多い職業です。

5.おわりに

弁護士という職業の最大の魅力は、自分で働き方を決められることです。激務でも高給の法律事務所、ワークライフバランスの取れた法律事務所、福利厚生の充実した組織内弁護士、どの環境が自分に合っているのかは人それぞれで、簡単に結論を出すことはできません。自分の働き方に悩んだ際には、お気軽にC&Rリーガル・エージェンシー社にご相談ください。キャリアプランも考えながら、自分に合った働き方を実現するための環境をご紹介致します。

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記事提供ライター

弁護士
大学院で経営学を専攻した後、法科大学院を経て司法試験合格。勤務弁護士、国会議員秘書、インハウスを経て、現在は東京都内で独立開業。一般民事、刑事、労働から知財、M&Aまで幅広い事件の取り扱い経験がある。弁護士会の多重会務者でもある。

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