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業界トピックス

リモートワーク時代に求められるスキル

2020年1月以降、日本でも新型コロナウイルスの感染が拡大したことに伴い、多くの業種においてリモートワークが導入・推進されつつあります。この記事を書いている2020年9月末時点では、新型コロナウイルスの感染終息の目処は立っておらず、また、感染が終息しても、リモートワークを推進する世の中の流れは続いていくものと考えられます。
これは弁護士業界も例外ではありません。転職活動先の事務所がリモートワークを導入している、又はこれから導入する予定だという場合も多いでしょう。
そこで、弁護士がリモートワークを行う際の注意点や求められるスキルについてまとめてみたいと思います。

1. 法律事務所のリモートワーク導入状況

実は、法律事務所における弁護士業務はリモートワークになじみにくいと言われています。

法律事務所における弁護士の主な業務の一つは裁判ですが、裁判所では未だに紙文化、FAX文化、ハンコ文化が根強く残っています。また、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い2020年4月7日に発令された緊急事態宣言下において裁判手続がほぼ止まってしまったことからもわかるとおり、オンラインでの裁判手続はほとんど普及していません。
加えて、秘匿性の高い個人情報を多数取り扱う業種であることから、リモートワーク導入にあたってのセキュリティ確保も課題となっています。

とは言え、やはり最近の世の中の動きを受けて、法律事務所や弁護士会でもリモートワークは加速的に普及しつつあります。例えば、オンライン法律相談の実施、zoom等のWeb会議システムを使った会議の実施、書類のデータ化とクラウド保管等を進めている法律事務所が多いようです。

転職活動をされている方は、まず、ご自身がリモートワークをどの程度希望するかを考えてみるとよいでしょう。これからの時代、リモートワークがどのくらい進んでいるかという点は、転職先を選ぶ際のひとつの考慮要素になると思います。

2. 弁護士がリモートワークをする場合の注意点

2-1 セキュリティに関する注意点

先ほども書いたとおり、法律事務所で扱う資料には秘匿性の高い個人情報が多く存在します。万一データが流出すれば、依頼者や関係者に多大な迷惑をかけることになりますし、その法律事務所・弁護士の信頼も地に落ちてしまいます。場合によっては懲戒請求や損害賠償請求をされたりすることもありえます。

リモートワークをするにあたっては、これまで事務所に保管していた資料を自宅に持ち帰る機会や、事務所外から事務所サーバーやクラウドにアクセスする機会が増えます。Web会議システムを利用してオンラインで会議を行う機会も増えるでしょう。その際には、第三者が情報にアクセスできないように万全のセキュリティ体制をとることが必須です。

転職活動においても、その法律事務所のセキュリティ体制を確認しておくことは、ご自身の立場を守るという意味でも重要かもしれません。

2-2 オンライン相談に関する注意点

オンライン相談は、弁護士にとっても相談者にとっても、在宅のまま法律相談ができるという点で魅力的です。

一方で、オンラインでのやりとりでは、Web会議システムを使って顔を見ながらやりとりできる場合であっても、直接対面する場合に比べれば相手の反応が感じにくく、わずかな表情の変化から相手の感情を読み取るといったこともしにくくなります。このため、相互の認識のずれを摺り合わせたり、相手の勘違いを訂正したりすることが難しくなるのです。電話やメール等、顔が見えないやりとりの方法を用いる場合は、尚更です。

法律相談や事件処理はデリケートな内容を含むものも多く、相談者や依頼者と信頼関係を築くことが重要になってきます。また、相談者の状況や希望を正確に理解できなければ、適切な法的アドバイスをすることもできません。

このため、オンラインでやりとりをする場合には、意思疎通に齟齬が生じていないか、相談者が本音を話せているかなど、普段よりも丁寧にフォローしていく必要があります。

なお、債務整理案件では、原則として直接面談することが義務付けられています(債務整理事件処理の規律を定める規程第3条参照)。このため、正式に受任する場合にはリモートではなく直接対面して聴き取りをすることが必要となる点には注意してください。

3-3 所内の情報共有における注意点

最初に述べたとおり、裁判実務は今でも紙を郵送やFAXでやりとりし、書面には押印を必要とする文化です。このため、弁護士はリモートワークが可能になっても、事務職員には事務所に出てきて郵送物やFAXの送受信の作業をしてもらわないといけないという場面が多々あります。
また、リモートワークが進めば、同じ法律事務所に所属して事件を共同受任している弁護士同士でも、事務所に来ている人と来ていない人がいるなどの状況が増えるでしょう。

このように、一緒に仕事をする仲間と直接顔を合わせる機会が減る中で、事務職員に適切に業務指示を出し、弁護士間での情報共有・役割分担をスムーズに行うためには、所内メンバーの情報格差をなくすことが必要です。各案件に携わるメンバー全員が課題を共有し、リモートワークでも一体感を維持しながら業務に臨むことが重要になってきます。

そこで、リモートワークでの主なコミュニケーションツールとして、メールではなくチャットワークやスラックなどのチャットツールを用いる法律事務所が増えてきているようです。チャットの特徴は、できるだけ通常の会話のように短文で即効性のあるレスポンスを行うという点にあります。時には雑談も交えながら、対面しているかのようなコミュニケーションを維持することで、円滑な情報共有を維持することができると言われています。

3. リモートワーク時代に求められるスキル

では、リモートワーク時代の弁護士に求められるスキルとはなんでしょうか。
注意点の項目で挙げた内容を踏まえて、考えてみたいと思います。

3-1 ITリテラシー

リモートワークに伴うセキュリティ課題に対応するため、基本的なIT関連の知識や、情報漏洩に関する危機意識は身につけておく必要があります。

資料を事務所外に持ち出して作業をする場合、カフェや電車内等の屋外での作業は原則として行わないようにしましょう。屋外で作業をすると、紙媒体の資料やUSB等の記録媒体を置き忘れたりするリスクが高まりますし、資料やPC画面を覗き見されるリスクもあります。また、屋外で無料接続できるネットワークの中にはセキュリティ対策が不十分なものが少なくありません。

やむを得ず屋外で作業をする場合には、PCに覗き見防止シールを貼る、トイレ休憩などで離席するときにはたとえ短時間であっても紙の資料やUSB等は持って行き、PCにはロックをかける、USB等には必ずパスワードやコピー制御などのロックをかけておくなどの対策が必要です。また、自宅内での資料紛失を避けるため、持ち帰った資料の保管場所を決める等の工夫もしておくとよいです。

自宅で作業をする場合にも、自宅のルーターのパスワードが初期設定のままだった場合などはセキュリティの脆弱性が懸念されますので、自宅のネットワーク環境をしっかり確認しておきましょう。また、外部から所内サーバー等にアクセスできる環境で業務を行う場合には、アクセスを可能にするためのID、パスワードが流出しないよう、マルウェア対策もしておく必要があります。

Web会議システムについては、セキュリティの脆弱性が指摘されているツールもありますので、まずはどのツールを使うべきかから慎重に判断すべきです。また、こういったツールは頻繁にアップデートがなされ、セキュリティ面も強化されていきますので、更新を忘れないことも重要です。更新・アップデートという点は、ご自身のパソコンのセキュリティソフトやOSについても忘れてはいけません。

セキュリティ対策の方法や、リモートワークを快適に行うためのツールは新しいものが次々と出てきます。これらの動きに敏感でいることは、転職活動におけるアピールポイントとのひとつになり得ますし、転職後においても、転職先の法律事務所に貢献できる要素となるでしょう。

3-2 オンライン向けコミュニケーション能力

オンラインでは、上記のとおり、相手の表情や反応を感じ取りにくいことから、スムーズな意思疎通が難しくなります。特に相手が法的知識に乏しかったり、物事を論理的に説明することになれていないような方である場合には、弁護士の側が適切に場をリードしながらわかりやすい説明をしていかないと、双方にとって不満の残るやりとりになってしまう可能性があります。

オンラインでの無料法律相談を導入した法律事務所の某弁護士は、「オンライン相談が広まったことで、一般の方にとっての法律相談に対するハードルは下がったようで、相談件数は増えている。しかし、受任件数の増加にはあまり繋がっていない」と話していました。

オンライン相談は、実際に法律事務所に出向くという心理的ハードルが下がることから利用しやすいようですが、逆に言えば、気軽に複数の法律事務所に相談することができるようになったということでもあります(いずれの法律事務所でも無料相談が可能であることが前提ですが)。その中から選んでもらうためには、やはり、非対面でも適切なコミュニケーションをとって、信頼を獲得するということが重要なのではないかと思います。

弁護士は、発言内容の正確性を意識する余り、つい長々と喋ってしまいがちですが、オンラインの場合には普段よりも意識的に「簡潔な説明」を心がけるとよいでしょう。Web会議システムを用いる場合などで、相互に画面を共有しながらやりとりができる場合には、「シンプルな図」を用いて説明する能力も重要になります。

また、相手が一方的に話し続けている場合には、それを放置せず、内容を適切に要約しながら話を先に進めることが必要ですし、複数人が参加している場面では、参加者全員から意見を引き出して主体的に参加してもらうことが大切です。これらを実現するための「ファシリテーション能力」がある弁護士は、リモートワーク時代に重宝され、転職活動においても有利になると考えられます。

4. まとめ

新型コロナウイルスは社会の様々な面を変化させました。リモートワークの劇的な推進もそのひとつと言えます。法律事務所においても、リモートワークの導入で戸惑っている弁護士の方がいらっしゃるかもしれません。しかし、これからの時代に求められる能力は「変化に適応する力」ではないでしょうか。リモートワーク時代に必要なスキルを磨いて、転職活動、転職後の業務に活かしていただきたいと思います。

C&Rリーガル・エージェンシー社は、弁護士に特化した専任エージェントです。このような「変化の時代」において、転職活動先の法律事務所や一般企業が今まさに何を求めているのかを適切に把握し、短期間での転職を可能にするため、総合的なサポートを行って参ります。転職にお悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。

記事提供ライター 元弁護士

社会人経験後、法科大学院を経て司法試験合格(弁護士登録)。約7年の実務経験を経て、現在は子育て中心の生活をしながら、司法試験受験指導、法務翻訳、法律ライターなど、法的知識を活かして幅広く活動している。

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