弁護士の地方就職の実態とは
- INDEX
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1 地方での弁護士の就職状況について
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2 東京就職・地方就職のメリット・デメリット
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3 地方就職(転職)事例
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4 まとめ
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1 地方での弁護士の就職状況について
しかし、大都市で弁護士をすることがよいこととも限りません。この記事では、地方就職の現状について具体化することで、地方で弁護士をやることのイメージを持っていただき、ご自身のキャリアについて考えるきっかけにしていただければと思います。
2 東京就職・地方就職のメリット・デメリット
また、「地方」といっても規模はそれぞれですが、今回は比較的小規模の地方都市を前提にしてご説明します。大阪、名古屋、仙台、福岡等のいわゆる百万都市(高等裁判所があるようなところ)の場合は、地方の要素を持ちつつも、東京に近い部分も少なからずあると思ってお読みください。
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(1)就職面
これに対し、地方では弁護士の数が少なく、弁護士同士のつながりが緊密であるため、紹介で就職が決まるケースも多数あります。地方の法律事務所は数人程度の小規模なところが多いので、成績や能力を見ないわけではありませんが、人柄や熱意を評価する傾向にあり、スピーディに採用が決まることが多いといえます。もし、地方で司法修習をしていて、その地域で就職したいと思った場合には、弁護修習先の法律事務所の弁護士に相談したり、弁護士や法律事務所主催の勉強会などに積極的に参加してアピールするのも効果的です。場合によっては、「就職先は決まってるの?もしよければうちにどう?」など、弁護士の方から声をかけてくれることもあります。
また、東京で就職する場合には、就職先の法律事務所にずっと籍を置いてパートナーを目指していくケースも多いですが、地方の場合、数年程度で独立して自分の法律事務所を構えるケースが比較的多いのも特徴です。
(2)経済面
(3)仕事面
地方の場合は、弁護士数が少なく、また、法曹関係者の関係が緊密で、弁護士同士がお互いを認識しているのはもちろん、裁判官、書記官、検察官、副検事、検察事務官の顔と名前もだいたい一致しているという状況です。このため、よくも悪くも仕事の評判はすぐに広まります。評価の高い弁護士には裁判所からの仕事が頻繁に回ってきたり、期日外の場で仕事の話が進むこともあります。
また、地方の場合は、弁護士1年目から幅広い種類の事件を扱えるというのも特徴のひとつです。もちろん就職先の法律事務所がどの分野の案件を多く扱っているかによって扱う案件の偏りも生じますし、後見事件は3年目から、管財事件は4年目から、のように単位会ごとのルールがある場合もあります。東京はこのような制限がより一層厳しく、特に「何日か研修を受けないと裁判員裁判は担当できない」のように研修を受けることが受任の前提となっているものもあります。地方は研修よりも実践というやり方のところが多く、この意味で早くから様々な経験を積むことができる傾向にあります。また、弁護士会全体で若手を育てるという意識が強い地域も多いため、他の法律事務所の弁護士から共同受任の誘いがくることも稀ではありません。
もっとも、大企業間のM&Aのように、東京の大規模事務所でなければ手掛けられない種類の案件も存在します。
弁護士会の委員会活動においても、地方は弁護士数が少ない分早くから重要な役職に就くことが多く、登録10年程度でも、委員会の委員長や、場合によっては単位会の副会長を務めることもあります。
(4)生活面
また、(2)での述べたとおり、東京よりも物価が安いことや、地域によっては新鮮な魚がリーズナブルに食べられる、身近に温泉がある、などの特色もあります。
3 地方就職(転職)事例
(1)弁護士2年目、20代男性の事例
当初はご自身で求人を検索していましたが、求人件数が少なかったため、弊社を利用されました。法律事務所と企業の双方にアンテナを張り、インターネットで自分でも検索をしながら興味を持った法律事務所には、求人が出ていなくてもエージェント経由でアプローチするなど積極的に活動し、転職を成功させました。
(2)弁護士5年目、30代前半の事例
タイミングよく、その地方で支店を出すことを計画している東京の法律事務所があり、支店で所長を務める弁護士を募集していたため、これに応募し採用されました。採用後は、支店の開設準備から携わり、徐々に経営面も任せてもらえるようになりました。東京の法律事務所と連携しながらも、責任ある立場で、裁量の多い働き方を実現できています。
(3)弁護士10年目、40代前半
それまでの、帰宅も遅く、土日も仕事をするというスタイルから、ワークライフバランスを重視するスタイルにシフトし、企業への転職を希望して弊社エージェントに相談していましたが、自宅近くで勤務できる企業求人がなく、リモートワークのできる企業に絞って活動を行いました。フルリモート又は週に数回程度出勤すればよいという働き方を呈示している企業に応募し、週1回出社すればよいという企業に決まりました。転職によって額面上の年収は下がったものの、拘束時間も減少したため時給換算した場合には給与が上がった計算になり、基本的に在宅勤務で、残業は月に20時間程度、土日は休みという生活環境を実現しています。