弁護士の文章はなぜ読みづらいのか
- INDEX
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1.はじめに
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2.弁護士の文章のここがダメ、裁判書面はここがヘン
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3.弁護士の釈明
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4.まとめ
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1.はじめに
2.弁護士の文章のここがダメ、裁判書面はここがヘン
裁判書面を読んだことがある方は、和暦を用いていること、読点の代わりにカンマが使われていること、急に話題が変わる支離滅裂な文章になっていること、に読みづらさを感じるのではないかと思います。弁護士も、裁判書面のルールを面倒に感じながら、守ったり守らなかったりしています(和暦やカンマを絶対に使わない反骨心溢れる弁護士もいます。)。
3.弁護士の釈明
3-1.一文が長くなるのは完全性を求めているから
3-2.読点が多いのは公文書のルールだから
この中には「ワタクシハ、オニガシマヘ、オニタイヂニ、イキマスカラ、」という頭がくらくらしてくる例文も示されています。お上の考えに従うならば、弁護士の読点の多い文章こそが文章のあるべき姿ということになるのでしょう。また、弁護士は、日本語において省略されがちな主語を必ず明示するように強く意識しています。弁護士業務では誰の誰に対する権利であるかが重要だからです。公文書のルールに明記されてはいないものの、例文中には主語の後に読点が打たれていることが多いため、主語の後には読点が続くことが通例です。文頭に主語と読点が加わることも弁護士の文章に読点が多くなる理由です。
3-3.同じ語尾を繰り返すのは内容をわかりやすくするためのテクニック
3-4.裁判書面が読みづらいのは弁護士のせいではない
2022年6月3日追記:令和4年1月7日付文化審議会公文書作成の考え方(建議)の中で、「句点には「。」(マル)、読点には「、」(テン)を用いることを原則とする。」ことが建議されました。これを受けてか、最高裁判所のWEBサイトにアップされている判決書では、2022年4月12日付のものからカンマではなくテンが使われるようになりました。弁護士が作成する裁判書面も、遠からず、すべてテンを用いるようになっていくと思われます。
裁判書面が支離滅裂な文章になっている理由は、攻撃防御の中で作成されているからです。民事裁判では原告と被告が交互に自らの主張と相手方の主張への反論を出し合っていきます。複数の争点がある場合には、ある争点についての主張と別の争点についての反論を一つの書面で行うことになります。その書面だけを読むと途中でいきなり話題が変わるので驚きますが、その前に相手方が提出している書面と併せて読めば、この部分は新たな主張でこの部分は反論であるということがわかるはずです。
4.まとめ
記事提供ライター
大学院で経営学を専攻した後、法科大学院を経て司法試験合格。勤務弁護士、国会議員秘書、インハウスを経て、現在は東京都内で独立開業。一般民事、刑事、労働から知財、M&Aまで幅広い事件の取り扱い経験がある。弁護士会の多重会務者でもある。