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業界トピックス

企業内弁護士を採用するメリットについて

目次
  • 1.企業内弁護士を採用する企業が増えている理由

  • 2.企業内弁護士を採用するメリット

  • 3.企業内弁護士の給与はいくら?

  • 4.企業内弁護士の採用方法

  • 5.企業内弁護士の採用に失敗しないための注意点

  • 6.企業内弁護士を採用したい企業からよくある質問

  • 7.まとめ

1.企業内弁護士を採用する企業が増えている理由

2021年版弁護士白書によると、2011年6月には587人であった企業内弁護士の人数は、2021年6月には2,820人となっており、10年間で約4.8倍に急増しています。司法修習期別でみると、60期台の企業内弁護士の人数は1,884人にもなっており、若手弁護士にとって、企業内弁護士は選択肢の一つとして完全に定着したと言えるでしょう。

企業内弁護士の浸透は若手に限った話ではありません。2011年6月には50期台の企業内弁護士数は208人であったのに、2021年6月には、50期台の企業内弁護士数は446人と倍以上に増えました。これは、多くの企業が、経験を積んだ弁護士を、新たに社内に迎え入れていることを意味しています。

企業内弁護士の人数が増えるに伴い、企業内弁護士の有用性が周知され、企業側の採用意欲が高まっています。ここでは、採用側である企業の視点から、企業内弁護士を採用するメリットや方法、採用の際の注意点などについて解説します。

2.企業内弁護士を採用するメリット

企業内弁護士を採用する一番のメリットは、弁護士としての法知識を備えた人材を、社内のあらゆる場面で活用できるようになることです。企業にとって、付き合いの長い顧問弁護士がいる場合でも、顧問料の範囲でどこまで相談に乗ってもらえるのか、こんな簡単な問題を相談しても良いのか、弁護士への相談のハードルは高いものです。しかし、企業内弁護士がいれば、カジュアルに相談をすることができます。どのような相談でも、相談時期が早ければ早いほど採り得る手段が増えて、効果的な対策を講じることが可能となります。早くに相談できる企業内弁護士の存在は、それだけで企業のリーガルリスクを大きく軽減してくれます。

また、事業分野に関する専門知識や業界慣行を知っているかどうかによって、弁護士によるアドバイスの質は大きく異なります。企業内弁護士は、企業に所属しながら日々の業務をおこなう中で、自然と、事業分野に関する専門知識や業界慣行を身に付けていきます。自社の事業分野に精通した弁護士を自然と育成できることも、企業内弁護士を採用するメリットです。

さらに、弁護士資格を有する従業員が在籍しているという事実は、企業の社会的信用を支えます。企業内弁護士がいる企業ならば遵法意識が高いだろうから信用できる、企業内弁護士を雇える企業体力がある企業だから信用できる、といった信用は無形の財産です。また、弁護士の人数が日本よりも多い国の企業にとっては、法務部門の責任者ならば弁護士資格を持っていて当たり前です。そのような国の企業を取引する際に、企業内弁護士がいなければ、不要な不信感を抱かれてしまいます。これを防ぐことができることも、企業内弁護士を採用するメリットと言えます。

もちろん、企業内弁護士は、契約書の作成や添削、日常的な法律相談といった企業の法務部門に求められる能力においても、高い資質を有しています。単純に優秀な法務部員を雇いたいという場合にも、企業内弁護士の採用は有力な選択肢になるでしょう。

日常的に業務の一部を企業の外の弁護士に外注している企業にとっては、その業務を内製化することでコスト削減も期待できます。企業の外の弁護士に訴訟事件を依頼する際にも、企業内弁護士がいれば、必要な証拠や資料を整理して状況を的確に説明できますから、事件を有利に進めることが可能になります。

3.企業内弁護士の給与はいくら?

日本弁護士連合会による第3回「企業内弁護士キャリアパス調査」に関する調査結果(2021年3月~5月実施)によると、企業内弁護士の年収は「700~900万円未満」が21.3%と最も多く、「500~700万円未満」が19.8%、「900~1,100万円未満」が18.2%、「1,100~1,300万円未満」が10.2%と続いています。

年齢層毎に見ると、34歳以下では「700万円未満」が51.2%、35~39歳では「700~900万円未満」が30.4%、40~49歳では「900~1,100万円未満」が27.9%、50歳以上は「2,000万円以上」が39.6%でそれぞれ最多回答となっており、年齢に応じて年収も上昇していくことがわかります。もっとも、当然のことながら、同じ年齢の企業内弁護士であっても、企業内でのポジションや経歴によって年収は大きく異なるので、一概にいくらが相場ということはできません。

4.企業内弁護士の採用方法

企業内弁護士の採用方法については、企業内弁護士がどのように就職活動を行っているのかが参考になります。

上で触れた日本弁護士連合会による第3回「企業内弁護士キャリアパス調査」に関する調査(2021年3月~5月実施)の回答結果 Q20:企業内弁護士が就職活動の際に役に立ったものにおいて、複数回答合計450のうち、就職エージェントの紹介を受けた265、友人、先輩、他の弁護士などの紹介を受けた83、勤務先企業のホームページや資料請求をして情報収集した81、日弁連の「ひまわり求人求職ナビ」を見て応募した76、弁護士会主催の就職説明会に参加した50が目立ちます。

アンケート結果から、採用側の企業としては、就職/転職エージェントを利用することが最も効率よく企業内弁護士を志向する弁護士にアクセスする方法となることがわかりました。ひまわり求人求職ナビを利用すること、弁護士会主催の就職説明会に参加すること、も有益です。また、既に企業内弁護士がいる場合には、その友人や後輩に直接アプローチすることも効果的な採用方法となります。

5.企業内弁護士の採用に失敗しないための注意点

弁護士に限らず、どのような人材を採用する際にも同様の注意は必要となるのですが、その人材をどのように活用するか、具体的なイメージがないのに採用をしてしまうと、企業も人材も不幸な結果となってしまいます。初めて企業内弁護士を採用する際には、日々の業務内容まで具体的にイメージすることは困難です。それでも、日々取り交わされる契約書の内容を精査したい、リーガルリスクを軽減しながら事業を展開したい、スピード感をもって新規事業のスキームを組み立てたい、などの企業内弁護士に期待することは、具体的にイメージしておくことが求められます。

また、弁護士が資格を維持するためには弁護士会費の納付が必要となります。弁護士会費は登録している弁護士会によって異なるのですが、毎月数万円以上という大きな金額です。日本組織内弁護士協会による企業内弁護士に関するアンケート調査集計結果(2021年3月実施)によると、企業内弁護士のうち86%は、弁護士会費を企業が負担しています。自ら弁護士業務を営むわけではない企業内弁護士にとって、弁護士資格は所属する企業における業務に役立てるために維持するものですから、そのための費用は所属する企業が負担するというのは不合理な話ではありません。

さらに、弁護士は、所属する弁護士会から、委員会活動への参加や国選弁護事件などの公益活動が義務付けられています。企業内弁護士を採用する際には、勤務時間中に委員会出席や刑事事件への対応が生じてしまう場合があることにも注意が必要です。

その他、弁護士は万能ではないと知ることも必要です。一口に弁護士といっても経験やスキルは千差万別で、裁判が得意な弁護士もいれば、契約書の作成が得意な弁護士もいます。採用の際には、その弁護士が真に求める能力を有しているかを吟味する必要があります。

6.企業内弁護士を採用したい企業からよくある質問

以下、初めて企業内弁護士の採用をおこなう企業からのよくある質問とその回答となります。

Q1.弁護士会費は企業と企業内弁護士のどちらが負担するのですか?

A.上で述べたように、企業が負担する場合が多くなっています。しかし、決まりがあるわけではありません。求人票の応募資格に弁護士資格とあれば会社負担であることがほとんどで、弁護士尚可であれば企業内弁護士負担である割合が増える傾向にあります。

Q2.企業内弁護士は必ず弁護士登録をする必要はあるのですか?

A.弁護士登録をしなくとも企業内で稼働することは可能です。しかし、企業内弁護士とは名乗れなくなるうえに、弁護士が在籍することによる対外的な信用も得られなくなります。企業内弁護士は、せっかく苦労して取った資格を維持したいと考えることが多いので、弁護士登録をすることは、企業内で稼働するモチベーションにもなります。また、弁護士登録をしていれば、弁護士会が開催する弁護士を対象とした法改正等の研修への参加が可能になり、弁護士としてのスキルアップが可能です。弁護士会の活動に積極的に参加して弁護士同士のつながりを広げておけば、有事の相談相手や仕事の依頼先にも困らなくなるでしょう。

Q3.企業内弁護士を採用しやすい時期ありますか?

A.司法試験は5月に行われ、その直後から就職活動を開始する受験生もいます。司法試験の合格発表は9月で、合格してから就職活動を開始する受験生も多いです。司法修習が終わるのは合格の翌年12月であるため、新人弁護士を採用するならば、遅くともそれまでに内定を出す必要があります。もっとも、経験弁護士の採用も考えると通年動きはあり、特に採用しやすい時期はありません。

Q4.企業内弁護士に訴訟代理人を任せても良いですか?

A.任せることは可能ですが、訴訟は、準備に時間がかかる上に、契約書の添削等の企業法務とは異なったスキルが必要となります。そのため、簡易な事件でない限り、訴訟は顧問弁護士に任せる企業がほとんどです。

Q5.企業内弁護士がいれば顧問弁護士は不要ですか?

A.そうとは限りません。訴訟代理人は顧問弁護士に任せることがほとんどである上に、中立性が求められる契約書の作成を依頼することもあります。M&Aや海外の法律調査などマンパワーを必要とする案件も、社内弁護士では処理しきれないでしょう。

Q6.企業内弁護士を公益活動に参加させる義務はありますか?

A.公益活動への参加は弁護士の義務です。CSRの一環であるとともに、企業内弁護士のスキルアップにもつながるとして、積極的に公益活動への参加を後押しする企業も増えてきています。もっとも、どこまで公益活動に参加するかは弁護士によって大きく異なるため、どのように公益活動と社内業務を両立させるかについては、企業と企業内弁護士とでしっかりと話し合う必要があります。また、社内業務の都合でどうしても公益活動に参加できない場合には、公益活動負担金の納付が必要となる弁護士会もあります。この場合、公益活動負担金は企業が負担することが多いようです。

Q7.副業(個人受任)を許可する必要はありますか?

A.弁護士会によっては国選弁護等が義務化されている場合があります。企業から見れば国選弁護等も副業にあたりますが、企業内弁護士が弁護士としての義務を果たすための副業である以上、ほとんどの企業が許可しているようです。弁護士会の義務以外の副業については許可する必要はありませんが、優秀な人材の確保や多様な働き方の実現のために、就業規則や就職時の契約によって副業を許可している企業もあります。どこまでの副業が許可されるかは場合によりけりです。

7.まとめ

企業内弁護士の有用性が周知され、採用したいと考える企業は増えています。そして、企業内弁護士へのアンケート結果から、企業内弁護士を採用する際には、就職/転職エージェントを利用することが最も効率的であることがわかりました。企業内弁護士を採用する際には、求める業務内容と能力とのマッチングだけでなく、弁護士会費の負担や公益活動の負担にも注意する必要があります。そのため、弁護士の特殊性をきちんと理解している就職/転職エージェントを選ぶことが必要です。C&Rリーガル・エージェンシー社は、2007年の設立から弁護士の就職/転職をサポートしてきました。企業内弁護士の採用をお考えの際にお声がけいただければ、求める能力を満たす優秀な弁護士をご紹介いたします。

記事提供ライター

弁護士
大学院で経営学を専攻した後、法科大学院を経て司法試験合格。勤務弁護士、国会議員秘書、インハウスを経て、現在は東京都内で独立開業。一般民事、刑事、労働から知財、M&Aまで幅広い事件の取り扱い経験がある。弁護士会の多重会務者でもある。

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