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弁護士会には派閥がある?会派とは何をしている団体なのか

目次
  • 1.はじめに

  • 2.互いの顔が見えない弁護士会

  • 3.会派が分かれている理由

  • 4.会派の活動内容

  • 5.おわりに

1.はじめに

インターネット上では、弁護士会にも派閥があるという趣旨の記事が散見されます。実際に、東京、大阪、愛知などの大規模な弁護士会には、会派と呼ばれる任意団体が存在しています。この会派のことを派閥と呼ぶことが多いようです。

会派については、会派の中で責任ある立場にある弁護士による説明がもっとも正確でしょう。東京弁護士会による以下の記事が参考になります。

東弁における会派 -その現状と未来-

ここでは、視点を変えて、会派に責任のない立場で所属している筆者からは会派がどのように見ているのか、会派で何が行われているのかを紹介します。

2.互いの顔が見えない弁護士会

筆者は、2010年12月に、関西の地方都市において弁護士となりました。弁護士となった筆者が驚いたのは、弁護士会の役職者と事務職員の全員が、筆者の顔と名前を一致させていたことでした。新人名簿には写真が貼付されているので、毎年、新人全員の顔を覚えているのだそうです。これはとても嬉しいことで、新しい仲間として迎えられた印象でした。もっとも、当時、弁護士会の所属人数が400名を超えたところで、これ以上顔と名前を一致させることはできないと言われていました。

その後、筆者は、東京の弁護士会に所属することになります。弁護士会は、原則として、地方裁判所の管轄に応じて設置されるのですが、東京地方裁判所の管轄内では、過去に内紛があったそうで、例外的に3つの弁護士会が設置されています。内紛と言っても、遠い昔の話であり、誰もその詳細を知りません。それでも再合流しないのは、どの弁護士会も大きくなりすぎたからです。

2022年1月1日現在の弁護士の総数は42,991名です。そのうち、東京弁護士会が8,743名、第一東京弁護士会6,033名、第二東京弁護士会6,037名、大阪弁護士会4,755名、愛知県弁護士会が2,046名となっています。ただでさえ東京の一極集中が進んでいるのに、東京三会が再合流してしまえば、弁護士の約半数が1つの弁護士会に所属する歪な事態を招きます。

大きすぎる弁護士会では、かつて筆者が所属した地方都市のように、全員の顔と名前を一致させることは到底不可能です。これが、弁護士会内に会派が存在する最大の理由であると筆者は考えています。

3.会派が分かれている理由

筆者が所属する会派は、数年前に創立100周年を迎えました。筆者も100周年記念事業の準備に携わったので、会派について色々と学びました。100年以上前の弁護士会には、役員選挙で記名投票が行われるなど、様々な問題がありました。義憤に駆られた大先輩たちが、これを改革せんと会派を立ち上げたのだそうです。多くの会派が100周年を少し過ぎたくらいですから、100年以上前に酷い時期があって、時の改革派が各々立ち上がったのでしょう。

その後、会派間の争いもあったようなのですが、現在では、先鋭的な対立はなく、役に立つだろう研修を企画すれば互いに声を掛け合うなど、良好な関係です。このあたりは、東京三会と同様の構造です。争う関係にない会派同士が合流しないことも、東京三会と同じ理由です。

筆者が所属する会派は、別の会派と連合体を組み、大きなイベントは共同開催しているのですが、合流することはありません。合流してしまえば互いの顔が見えない規模になってしまうからです。その結果、先に紹介した東京弁護士会の会派の記事にあるように、会派の中に会派があるという複雑な構造ができあがりました。

4.会派の活動内容

会派の活動内容は、筆者の感覚では、親睦6割、研修3割、政策1割です。会派の存在意義は互いの顔が見えるところにあるので、主たる活動が親睦になることは必然です。

個人事業主である弁護士は、ないものねだりで、社内部活動や社員旅行に憧れています。筆者も、会派によるイベントや旅行を楽しみにしています。イベントの内容は、ゴルフ、ボウリング、各種施設見学等、多岐にわたりますが、その後の懇親会の方が長くなることが会派の特徴でしょう。会社員の立場で会社のイベントに参加すれば、上下関係に息苦しさを感じることもあるかも知れません。しかし、会派では、司法修習期の上下はあっても上司部下の関係はありません。筆者も、会派に参加した当初は先輩に対して緊張していましたが、今では知った顔ばかりなので、馬鹿なことも失礼なことも言えます。お酒を飲みながら、近い距離間で、仕事の相談をしたり、先輩の貴重な体験談を聞いたり、後輩の悩みから新たな気づきを得たり、楽しさと人生勉強は両立すると感じています。イベントの中には、家族や事務職員へのサービスを目的に開催されるものもあり、会派は法律事務所の福利厚生を補充する機能も担っています。

弁護士たるもの、日々勉強するのは当然なのですが、業務の合間に勉強をするには限界があります。法律が改正されれば、それが業務に影響する部分をかいつまんで知りたいと考えるのですが、市販のテキストは、簡単過ぎるか網羅的過ぎるか、両極端です。そこで会派は、法改正の内容に精通した講師を招いて、弁護士相手に特化した研修を企画します。研修で頭を使った後には懇親会が待っています。

最後の政策ですが、筆者もある程度は関わってはいるものの、説明が長くなる上に、会派に所属する弁護士の多くはさほど関与することがないので、ここでは触れません。政策についての真面目な会議の後には、懇親会で緊張を解すことは言うまでもありません。

また、会派では、毎年、イベントによく参加する弁護士を中心に声がけを行い、執行部と呼ばれる企画運営のための人員を募ります。執行部はボランティアなのですが部活動のような楽しさがあり、頻繁に打ち合わせと懇親会を共にすることになるので、同時に執行部を経験した弁護士同士には連帯感が生まれます。

5.おわりに

個人事業主である弁護士にとって、会派は、仲間と呼べる同業者と知り合える貴重な場所です。家族サービスにも研修を通じたスキルアップにも役立ちます。会派の枠を超えて、弁護士会の中で活躍するきっかけになるかも知れません。今の職場環境に悩んでいる場合には、会派に参加できる環境に身を置くことも一つの選択肢になるでしょう。C&Rリーガル・エージェンシー社は、ワークライフバランスやスキルアップ、キャリアプランについてもご相談に乗りながら、弁護士の就職/転職を支援しています。より自分に合った環境を探すためのお手伝いをさせていただきますので、お気軽にご相談ください。

記事提供ライター

弁護士
大学院で経営学を専攻した後、法科大学院を経て司法試験合格。勤務弁護士、国会議員秘書、インハウスを経て、現在は東京都内で独立開業。一般民事、刑事、労働から知財、M&Aまで幅広い事件の取り扱い経験がある。弁護士会の多重会務者でもある。

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