業界トピックス

顧問弁護士がいるのに企業内弁護士は必要ですか?企業内弁護士を採用するメリット

目次
  • 1.顧問弁護士がいる企業は多い

  • 2.顧問弁護士も企業内弁護士も同じ弁護士

  • 3.顧問弁護士の強み

  • 4.企業内弁護士の強み

  • 5.顧問弁護士と企業内弁護士の双方がいるメリット

  • 6.まとめ

  • 記事提供ライター

  • サイト運営会社:株式会社C&Rリーガル・エージェンシー社

1.顧問弁護士がいる企業は多い

日本弁護士連合会が2016年に実施したアンケートによると、顧問弁護士がいると答えた企業の割合は、従業員数10人以下では6.9%でした。しかし、顧問弁護士がいる割合は従業員数の増加に応じて増えていき、従業員数51人から100人で52.1%、301人以上では84.7%にも達します。規模が大きな企業になると複数の顧問弁護士を使い分けていることも多いですから、顧問弁護士は日本企業に広く普及しているといえます。

一方で、企業内弁護士を採用している企業の数は、「弁護士を採用したい!求人企業によるインハウスローヤーの選び方」(https://www.bengoshitenshoku.jp/column/228)でご紹介したとおり、2023年6月時点で1,429社にとどまっています。順調に数が増えているとはいえ、未だごく一部の企業にしか浸透していないといえます。

企業内弁護士を採用している企業は、いわゆる大企業が中心です。顧問弁護士がいないのに企業内弁護士がいるというパターンはほぼないのではないでしょうか。ここで、せっかく顧問弁護士がいるのに、なぜ企業内弁護士を採用するのか、という疑問が浮かびます。そこで、顧問弁護士と企業内弁護士の違いと、顧問弁護士がいることを前提とした企業内弁護士を採用するメリットについてご紹介します。

2.顧問弁護士も企業内弁護士も同じ弁護士

顧問弁護士も企業内弁護士も、同じく司法試験に合格して司法修習を終了して弁護士資格を備えています。弁護士法によって許される業務の範囲も同一です。

ひとくちに顧問弁護士といっても、その業務の範囲は様々です。企業内で生じる日常的な法律相談や、契約書の添削・作成、新規事業への法的助言から、調停や裁判に至るまで、幅広い業務ができることが弁護士の特徴です。契約書の添削・作成を数多く行う顧問弁護士もいれば、裁判になるまで登場しない顧問弁護士もいます。

業務の範囲が様々であるのは企業内弁護士も同様で、法務部員として契約書の添削・作成を中心に稼働する企業内弁護士もいれば、頻繁に法廷に立って裁判を行う企業内弁護士もいます。

顧問弁護士も企業内弁護士も、法的にできることは変わらないので、両者の差は、企業がどのように両者を使い分けるかによって生じるといえます。顧問弁護士も企業内弁護士も双方がいる大企業はどのように両者を使い分けているのか、以下、使い分けの前提となる両者に強みについてご紹介します。

3.顧問弁護士の強み

顧問弁護士の強みは、企業の外にいることです。外部の人間として第三者的な視点で企業を見ることができますし、他の企業とも接点があるので、良い意味で自社のやり方に染まっていません。訴訟経験が豊富である場合が多いことも強みです。多くの企業が、訴訟が起こるまでは企業内弁護士に、訴訟になれば顧問弁護士に対応を任せる、という使い分けを行っている結果、一般論としては、顧問弁護士は、企業内弁護士と比較して、豊富な訴訟経験を備えています。豊富な訴訟経験があるからこそ得られる視点も、顧問弁護士の強みです。特定の法律分野を得意とする顧問弁護士は、スペシャリストとしても頼れます。

4.企業内弁護士の強み

企業内弁護士の強みは、企業の中にいることです。企業の中にいなければわからない情報、社風やビジネスモデル、社内稟議の仕組み、社内の人間関係に精通しており、自社に最適化された法律論を備えています。多くの企業が企業内弁護士と顧問弁護士を使い分けているので、一般論として、企業内弁護士は、契約書の添削・作成などの法務部員としての日常業務に精通していることも強みです。同じ弁護士ではあるものの、企業内弁護士は日常業務に、顧問弁護士は裁判という非常事態に、それぞれ強みを持つ点に差異があります。日常業務の中で、自社の企業活動に関連する法令すべてに対応しているため、ゼネラリストとしての素養を得やすいことも強みです。

また、企業内弁護士には、常に社内にいるので、声をかけやすいという特徴があります。顧問弁護士に複雑な質問をする場合、法務部員がアポイントを取って、相談内容の概要を伝えてから見積もりを取って、社内決裁を通してから、ようやく顧問弁護士は回答に向けて作業を始める、というプロセスを踏むことになります。同じ弁護士であっても、声のかけやすさにおいて、顧問弁護士と企業内弁護士との間には雲泥の差があります。

5.顧問弁護士と企業内弁護士の双方がいるメリット

企業内弁護士がいる場合、日常業務に弁護士の知見を取り入れることができるので、トラブルが発生する確率を抑え込むことができます。トラブルが発生すれば、その解決に時間と労力を要するので、長期的にはコストカットを実現できます。法令調査が必要となる新規事業にも、さほどのコストをかけずにチャレンジできるようになります。企業内弁護士の採用は、企業の守りだけでなく、攻めも強化します。

企業内弁護士がいても、トラブルが発生してしまうことはありますし、スペシャリストでなければ対応できない高度に複雑な問題が発生することもあります。そのようなときに頼れるのが顧問弁護士です。

顧問弁護士にとっても、契約書もないようなカオスから生じたトラブルよりも、企業内弁護士がある程度の交通整理をしていた中で生じたトラブルは、解決への見通しを立てやすいものです。高度に複雑な問題を解決する場合でも、法律用語と社内文化の双方に通じた通訳として企業内弁護士を挟めば、社内からの効率的な情報収集が可能です。

顧問弁護士と企業内弁護士には相乗効果があり、それが大きな企業ほど、顧問弁護士がいるのに企業内弁護士を採用する理由となっています。

6.まとめ

顧問弁護士がいれば企業内弁護士は不要、ということが決してないことは、複数の顧問弁護士を使い分けているであろう大企業ほど、企業内弁護士の採用に積極的である事実が裏付けています。顧問弁護士と企業内弁護士は、同じ弁護士であっても対照的な強みを持ち、だからこそ相乗効果があります。企業内弁護士の採用を検討される場合には、弁護士特化エージェントのパイオニアであるC&Rリーガル・エージェンシー社にお任せください。ニーズにマッチした企業内弁護士をご紹介いたします。

記事提供ライター

弁護士
大学院で経営学を専攻した後、法科大学院を経て司法試験合格。勤務弁護士、国会議員秘書、インハウスを経て、現在は東京都内で独立開業。一般民事、刑事、労働から知財、M&Aまで幅広い事件の取り扱い経験がある。弁護士会の多重会務者でもある。

サイト運営会社:株式会社C&Rリーガル・エージェンシー社

弁護⼠、法務・知財領域に精通したプロフェッショナルエージェンシーです。長きに渡り蓄積した弁護士・法律事務所・企業の法務部門に関する情報や転職のノウハウを提供し、「弁護士や法務専門職を支える一生涯のパートナー」として共に歩んでまいります。
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