業界トピックス
弁護士の中途採用事情【前編】:転職を成功させるたった1つのポイントとは?
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1.弁護士の中途採用事情・転職市場動向について
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2.転職を成功させるたった1つのポイント
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3.転職活動が有利になる条件
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4.まとめ
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2002年の司法試験制度改革によって、司法試験合格者数が大幅に増加し、弁護士の人数はこの10年間で約1.5倍になったといわれています。それに伴い、弁護士の活躍するフィールドも広がりを見せ、法律事務所で働くだけでなく、企業内弁護士、任期付公務員、地方公共団体の包括外部監査人、病院内弁護士、スクールロイヤーなどの業務に従事する弁護士の割合も増えてきました。
一般企業であれば、「採用から3年は勤めないと転職において不利である」というようなことも言われますが、弁護士も3年程で別の専門性を有する法律事務所や企業に移籍し、数回転職をすることで幅広い経験を積んでから独立開業するというようなケースも珍しくありません。
そこで、今回は、現在の弁護士の中途採用事情・転職市場の動向について書いてみたいと思います。前編は「転職を成功させるたった1つのポイントとは?」、後編は「事前に確認しておくべき法律事務所/企業の種類と業務内容、難易度」をまとめていますので、ぜひ合わせてご覧ください。
1.弁護士の中途採用事情・転職市場動向について
全体的な傾向としては、新卒採用・転職市場の双方にあてはまることですが、2008年のリーマンショックの影響で企業・法律事務所共に採用が少ない時期が数年続きました。しかし、2015年頃から採用枠は徐々に増加し、特に、企業においては、全体としてガバナンス強化の流れがあるため、弁護士に限らず法務の採用ニーズは増えています。
実際、この10年で企業内弁護士の数は約6倍になっており(※1 日本弁護士連合会「組織内弁護士の推移」)、この傾向はしばらく続くと思われます。
2021年現在ではコロナ禍の影響も全体的にはそれほど大きく出ていないという印象です。コロナに端を発する労働問題・倒産・事業売買など、コロナ禍であることで件数が増加している分野もあり、こういった分野を専門的に扱う法律事務所は今後採用が活発化する可能性があります。
2.転職を成功させるたった1つのポイント
転職先として、法律事務所、企業、官公庁などのうちどこを選択するかは人それぞれだと思います。しかし、どこに転職するにしても、転職を成功させるためのポイントは、「敵(転職先)を知り、己を知る」という1点に尽きます。
すなわち、希望の転職先がどのような人材を求めているかを分析し、そのような人材であることをしっかりアピールするということです。それぞれ分けてみてみましょう。
(1)転職先が求める人材の分析について
希望の転職先が求める人材を把握するためには、まずはウェブサイト(ホームページ)などにアクセスし、法律事務所の場合は取扱い業務分野や、そこで活躍している弁護士の特性・傾向を知ることが大切です。
企業の場合は、労働問題など、どの企業にも共通する分野もありますが、業界ごとの特性も強いため、事業内容や関係会社の情報を参考にしながら、その種の事業で起こりうる法的問題を想定した上で、ご自身の経験からそこに貢献できるかを考えておくことが重要です。知り合いの弁護士や弊社のような転職エージェントなどに相談して、情報を収集することも重要となります。
特に、近年急成長中の法律事務所であれば、事務所がステップアップするにつれて求める弁護士像が変わってくることもありますので、気になる法律事務所があれば、定期的にウェブサイト(ホームページ)などをチェックして情報を取得しておくとよいと思われます。
(2)自己アピールについて
次に、転職先が求める人材であることをアピールするという点ですが、前提として、そもそもご自身が求める人材像に合致していなければなりませんね。
ご自身のご経験、属性、興味関心分野などが採用側のニーズに合致していない場合は、エントリーしても採用される可能性は低いので、別の転職先を探すか、どうしてもその転職先に入りたい場合は、ニーズにあった経験や属性を備えるための活動をしていくことが必要となります。
まず重要なのは、ご自身が「採用側の求める人材であるかどうか」の客観的判断を誤ってしまわないことです。この判断を誤らないためにも、自己分析は徹底的に行いましょう。
すなわち、経験に裏付けられたご自身の強みは何か、逆に現状で不十分な点は何か、転職先にどのような形で貢献できるか/していきたいかという点をきちんと把握しておく必要があります。
面接では、10年後、20年後のキャリアについてどう考えているか、子育てと仕事の両立をどう考えているか、というような、将来を見据えた質問がされる場合もあります。先々のことには不確定要素ももちろんありますが、現在の興味関心だけでなく、長期的な視点でのキャリアプランについてもある程度のイメージを持って、説明できるようにしておくと安心です。
そして、いざアピールをする段階では、謙遜する必要はありません。
アピールできる実績があるならば、誇張にならない程度に積極的にアピールしましょう。
現状で実力や経験が不十分である点は、「弱み」ともいえますが、裏を返せば「伸びしろ」とも評価できます。不十分な点がない状態で転職活動をしている人のほうが少数ですので、あまり心配しすぎず、経験不足・勉強不足を補うために何をしているかを具体的に示し、行動力と熱意でカバーするという方針で臨むとよいと思います。
なお、経験が不足している場合は、採用されたとしても給与などの条件に影響がでる可能性もあります。転職後に双方が不満を抱えないためにも、どこまでなら折り合えるのかという点を明確にしておくことが重要です。
転職活動においては、希望の転職先を絞りすぎないことも重要です。
「どうしてもここで働きたい!」という強い気持ちで自己研鑽を重ねることも大切ですが、視野を広げて検討する中で、当初の希望先の欠点が見えたり、他にもよい転職先の候補があることに気づいたりする場合もあります。
弁護士業界で活動していると、様々な法律事務所や企業に関する噂を耳にすることもたくさんあると思いますが、転職に際しては、先入観を持たずにご自身の目で確かめる機会を設けることをおすすめします。
弁護士が転職を成功させるための自己PRのポイントと注意点【例文あり】
3.転職活動が有利になる条件
基本的に、中途採用は即戦力を求めるため、専門家としての実績にまさるアピール材料はありません。ただし、実績があればよいというわけではなく、総合評価で採用の可否が決まる場合がほとんどです。
具体的には、コミュケーション能力、頭の回転の速さ、文章能力、身だしなみ、マナーといった様々な点がチェックされていると思ってください。
法律専門家としての能力の高さをアピールするという点では、専門性、頭の回転の速さ、文章能力などが重要になります。
一方、「組織」の一員として円滑な人間関係を築くことや、「サービス業」としての弁護士という側面からは、コミュニケーション能力や身だしなみ、マナーといった点が見られるでしょう。
法律事務所や企業の属性によっては、語学力が必須となる場合もあります。
これらすべてを兼ね備えることは難しいですが、採用する側としても、完璧な人材を求めているわけではありません。
「どの方向性で事務所に貢献できるか」を考えて、有利と思われる条件を最大限アピールしてください。そのためにも、先ほど述べたような「敵を知り、己を知る」ことが極めて大切になります。
4.まとめ
弁護士業界の採用状況は、現状では概ね売り手市場と言われています。転職をお考えの方には、この機会を逃さず、ぜひ条件のよい転職先を見つけていただきたいと思います。
C&Rリーガル・エージェンシー社は、弁護士に特化した転職エージェントとして、総合的なサポートを行っております。これまでのご経験を活かしたマッチングや、ご経歴に即したアドバイスなど、最新の動向を踏まえて対応させていただきます。ぜひ一度ご相談ください。
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記事提供ライター
社会人経験後、法科大学院を経て司法試験合格(弁護士登録)。約7年の実務経験を経て、現在は子育て中心の生活をしながら、司法試験受験指導、法務翻訳、法律ライターなど、法的知識を活かして幅広く活動している。
◆弁護士の中途採用事情【後編】:事前に確認しておくべき法律事務所/企業の種類と業務内容、難易度