業界トピックス

司法修習生の就職状況と就職活動のポイント!

目次
  • 1.司法修習終了者の就職状況

  • 2.就職活動の開始時期と活動内容について

  • 3.自分に合った法律事務所を選ぶためのポイント

  • 4.司法修習生の就職活動で成功するためのポイント

  • 5.まとめ

1.司法修習終了者の就職状況

 司法試験合格者は約1年間の司法修習を受けることになりますが、司法修習後には弁護士・裁判官・検察官のいずれからの進路に進む場合がほとんどです。弁護士になる場合には、法律事務所や法テラスなどで弁護士業務を行う、組織内弁護士として企業や官公庁等の団体に就職する、すぐに自分の法律事務所を構える(いわゆる「即独」というものです)などの選択肢があります。
 このうち、裁判官と検察官は国家公務員であり、毎年の募集人数はあまり変わりません。しかし、法律事務所や企業内弁護士の採用は、2015年以降、活発化しています。特に、コンプライアンス重視などの観点から弁護士の意見を重視する企業が増加していることから、大企業やベンチャー企業における企業内弁護士や、そういった企業の顧問弁護士を担当するような大規模法律事務所は人材需要が上昇傾向にあるといわれ、このような状況を受けて、特に大都市部においては就職しやすくなってきています。
 さらに、2019年12月に司法修習を終えた72期司法修習生の数は1487人、2020年12月に司法修習を終えた73期司法修習生の数は1467人と1500人を下回り、70期、71期に続いて減少傾向となりました。採用の活発化と司法修習生の減少が相まって、「売り手市場」の状況が続いているのが現状です。

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2.就職活動の開始時期と活動内容について

 それでは、司法修習生はいつ頃、どのように就職活動をしているのでしょうか。この項目では、司法試験合格後、司法修習終了までの就職活動について概観していきます。なお、74期司法修習生については、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、令和2年の司法試験日程がずれ込んだことから、例年と異なる時期の就職活動になっていることにご注意ください。また、以下で記載する就職活動の流れはコロナ以前のものになります。こちらを参考にしつつ、現状を踏まえて臨機応変に対応していただきたいと思います。

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(1)司法試験受験~司法試験合格発表まで

 まず、早い人は、司法試験終了直後、合格発表を待たずに就職活動を開始します。五大法律事務所やそれに準じる大規模法律事務所は、司法試験後の5~7月頃には事務所説明会を開始し、採用活動に入ります。事務所説明会に参加することが、エントリーの条件になっているところもありますので、参加の機会を逃さないよう、興味のある法律事務所のホームページをこまめにチェックし、情報収集するようにしましょう。また、この時期から採用活動を開始するような大規模法律事務所は、サマークラークに参加した学生を優先的に採用する傾向があるので、現在大学生・法科大学院生である方は、積極的に参加することをオススメします。
 司法試験の合格発表前に内定を出すような法律事務所は、当然ながら「司法試験に合格している可能性の高い人」を就職したいと考えています。予備試験に合格していたり、東大をはじめとする上位ロースクール、上位大学に通っている場合は司法試験の合格推定が高まりますので、こういった要素のお持ちの方は相対的に有利に就職活動を勧められる可能性があります。また、司法試験合格前は、司法試験の成績で比較することができませんので、大学・ロースクールの成績や予備試験の成績が大きな武器になるでしょう。
 また、それほど大規模な事務所に就職を希望しているわけではないという方や、最終合格を確認してから就職活動を本格化させたいと思っている方も、司法試験終了直後にリクルートサイト(就職・転職サイト)のメールマガジンなどに登録し、情報収集を始める方が多いです。合格発表後に就職活動が本格化するときに出遅れることのないよう、司法試験直後から各方面にアンテナを張っておくとよいです。

(2)司法試験後各発表から司法修習終了前

 採用活動が本格化するのは、司法試験の最終合格後の9月以降になります。11月末に司法修習が始まれば、修習のための拘束時間も長くなり、課題をこなすことも多くの時間を割かれます。また、実務修習地が就職希望地から離れている場合には、思うように就職活動を進められないこともありえます(なお、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、就職の面接もオンラインで行う法律事務所や企業も増加傾向にありますが、その傾向がいつまで続くかはわかりません)。就職活動に十分な時間を割くことができるこの時期に、積極的に事務所訪問や求人への応募をするとよいでしょう。
この時期に採用活動を行う法律事務所・企業等にあまり関心がなかったとしても、エントリーシートや履歴書の書き方に慣れたり、面接の雰囲気を経験しておくことによって、その後の就職活動を効率的に行うことができるので、いくつかの法律事務所に応募してみるとよいと思われます。
 また、東京の場合、毎年11月頃に弁護士会が三会合同の就職説明会を開催しています。大小さまざまな規模の法律事務所や企業が多数集まってブースを設置し、パンフレットをもらったり、事務所のパートナー弁護士や若手の先輩弁護士から直接話を聞いたりすることができます。また、これまであまり関心を持っていなかったような分野を扱っている企業や、存在を知らなかったような法律事務所について、「合同説明会でたまたま話を聞いたらとてもよさそうだった」という印象を持つ場合も少なくありません。効率的に情報を収集するという意味でも、視野を広げるという意味でも、東京三会の合同説明会にはぜひ参加していただきたいと思います。

(3)司法修習開始後

 大阪弁護士会主催は合同説明会を毎年12月に開くなど、東京以外の都市では、司法修習開始後に採用活動を始める法律事務所が多い印象です。特に、地方の小規模都市の法律事務所は、大々的に採用活動をするのではなく、実務修習で来た修習生の中に良い人材がいれば採用したいというスタンスでいることも多いため、採用の時期は比較的遅くなっています。
 都内の法律事務所の場合でも、小規模事務所などは特に司法修習との兼ね合いを意識せず、人材募集の必要性を感じたタイミングで応募をかけることも多く、五月雨式に求人情報が出てきます。司法修習で忙しい中、こういった情報を見逃さないためにも、やはりリクルートサイト(就職・転職サイト)のメールマガジンには登録しておくことが無難といえます。
 また、小規模事務所の場合、「積極的に求人募集をかけるほどでもないが、よい人がいたら採用したい」と考えていることも少なくありません。弁護士会の人間関係は意外と狭いものなので、実務修習開始後は、弁護修習先の先生方に相談することで、よい就職先とのご縁がつながることもありえます。

3.自分に合った法律事務所を選ぶためのポイント

 即独の場合を除けば、最初の就職先で弁護士としてのイロハを学ぶことになります。弁護士になりたての頃には、ご自身の実力や評判だけで次々に新件を受任することも難しく、事務所のボスや先輩の事件を手伝わせてもらうことも多いため、最初に入る事務所の専門性や人脈によって、その後のキャリアの方向性が基礎づけられることも多々あります。そういった意味では、最初の就職先は慎重に選ぶことが重要です。就職できるか心配だからと多数の法律事務所に応募し、とりあえず最初に内定を出してくれたところに行く、という考え方ではなく、長い弁護士人生の最初の一歩を踏み出すのにふさわしい事務所かどうかをしっかりと吟味していただきたいと思います。
 そうなると、事務所選びをする前提としてまず考えておかなければいけないのが、「弁護士としてのキャリアプラン」です。すなわち、何を専門にしていきたいか、そして、どのような働き方をしたいか、という点です。
 法律事務所も、近年専門分化しており、事務所によって受任する案件に偏りがある場合が多いです。弁護士業界では2~3年勤務してから専門性の異なる事務所に移籍するというケースも珍しくはありませんが、転職の際にはそれまでの経験を見られることになりますので、やはり最初に就職する段階である程度のキャリアプランをイメージしておくことが重要といえます。
 また、働き方のイメージも重要です。五大法律事務所のような大規模案件を多数扱う企業法務系事務所は、朝の出勤は比較的遅いものの、帰宅するのは午前2時頃になることも日常茶飯事です。また、刑事事件を多く扱うのであれば、土日や夜間に業務を行わねばならないことも増えるでしょう。DVがからむ離婚案件が増えてくれば、緊急対応が求められるケースも出てきます。弁護士としてがむしゃらに働き仕事を覚えることも(特に若いうちは)重要ですが、家庭を持って子供を育てるようになってからのことを考えると、ワークライフバランスも軽視はできません。先のことはわからないとはいえ、数年先、10年先を見越したライフプラン、キャリアプランをある程度イメージした上で、気になる事務所の登録数年目の先輩はパートナー弁護士がどのような働き方をしているかも確認しておくとよいです。それがご自身の理想に合うならば、ぜひ気になっている事務所に応募してみてください。
 また、もうひとつ大切なのが、事務所の教育体制です。大規模事務所はOJTをはじめとする指導体制が整っていることがほとんどですが、小規模事務所ではマンパワー上の都合もあり、「先輩の仕事を見て学ぶ」という昔ながらのスタイルが維持されている場合も多いです。手取り足取り教えてもらうほうが向いているタイプの人もいれば、ある程度自由にさせてもらう中で先輩たちの技術を自ら習得していくほうが伸びるタイプの人もいます。教育体制については、事務所訪問や面接の機会で質問することもできると思いますので、関心のある方は質問してみてもよいかもしれません。

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4.司法修習生の就職活動で成功するためのポイント

(1)情報収集について

 ここまでも述べてきたとおり、司法修習生の就職活動においては、早い段階から情報収集をしておくことが効率的な就職活動につながるといえます。情報収集の手段としては、修習生求人が掲載されている求人情報サイトに登録する、弁護士会が運営している「ひまわり」の求人を閲覧する、友人同士で情報交換する、先輩や教授から情報収集するといった方法がありますが、最もオススメするのは弊社のようなエージェント(就職・転職サイト)を利用することです。
 エージェント(就職・転職サイト)を利用する最大のメリットは、求人の「全体像」を教えてもらうことができるという点にあります。エージェントは、修習生向けの求人だけでなく中途採用の求人も多数扱っており、弁護士業界全体の採用に関する最新の動向を把握しています。エージェントに話を聞き、中途採用をしようとしている法律事務所や企業が何を重視しているのか、転職活動をしている先輩方が何をアピール材料とし、何に悩んでいるのかを知ることで、ご自身のキャリアプランや希望の就職先のイメージがより具体化してくるのではないかと思われます。

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(2)自己分析について

 情報収集と同時に進めていただきたいのが、自己分析です。集めた情報の中から、ご自身の目指す方向性と一致する事務所はどこかを見極めるためにも、自分はどんな弁護士になりたいのか、どんな人生を歩みたいのかを明確に把握しておく必要があります。
 その上で、希望する事務所に採用してもらえるような自己アピールの方法をしっかり考えていきましょう。就職活動の最初のステップは、履歴書や志望動機といった書類による審査です。これらの書類で他から抜きんでた人材であるとの印象をもってもらえるよう、志望動機はもちろん、就職してからその職場にどのように貢献していきたいか、そのために今どのような努力をしているか、というようなところを言語化していく作業を怠らないようにしましょう。大学生の就職活動の際には、先輩方による履歴書の添削会のようなものがある場合もありますが、司法修習生の就職活動においてはそのような機会はほとんどないと思いますので、親しい友達同士で履歴書を読み合ってコメントしあうことも効果的かと思います(司法試験の際の自主ゼミのようなイメージですね)。

(3)面接対策について

 書類審査に通ったあとは、面接試験が実施されます。面接試験では、まず、これまでの経歴や司法試験への取り組み、これからのキャリアに対する考えを質問されることが多いです。司法試験の成績が振るわなかった場合には、その敗因をどう分析しているか、そこで足りなかった能力を補うためにどんな努力をしているか等を問われる場合もあります。
 そして、当然ながら、これからのキャリアについてどう考えているか、弁護士としてどのような活動に携わりたいか、どのように事務所に貢献してくれるのかという点も聞かれます。応募先の事務所のホームページなどで事前に情報収集しておくことはもちろん、著名な先生が在籍している場合には、その先生が書いた著書や論文のいくつかには目を通してから面接に臨むくらいの心意気があるとよいでしょう。
詳しい詳細についてはこちらをご覧ください→「転職エージェントがこっそり教える面接虎の巻

5.まとめ

 弁護士としての就職活動は、大学生の一般企業への就活とは異なる要素も多く、誰に相談してよいのかわからない場面も多いかもしれません。そのような場合には、弁護士に特化した専任エージェントとして、多数の就職・転職活動をサポートしてきたC&Rリーガル・エージェンシー社にぜひご相談ください。弁護士としてのスタートを切るのにふさわしい法律事務所を見つけるために全力でサポートさせていただきます。
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記事提供ライター

社会人経験後、法科大学院を経て司法試験合格(弁護士登録)。約7年の実務経験を経て、現在は子育て中心の生活をしながら、司法試験受験指導、法務翻訳、法律ライターなど、法的知識を活かして幅広く活動している。

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