東京の弁護士会の違いとは|3つの特徴と選び方、入会方法や注意点をわかりやすく解説
- INDEX
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そもそも弁護士会とは?
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東京に弁護士会が3つある理由と各会の概要
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三会の違いを比較――実務やキャリアへの影響
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弁護士会の選び方――合う・合わないの考え方
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弁護士会の入会方法と基本的な流れ
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東京で弁護士としてキャリアを築くために
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弁護士の就職・転職はエージェントに相談を
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東京で弁護士登録を検討している修習生・ロー生の方、または東京への転職・転居を考えている弁護士の方は、「東京には弁護士会が3つある」と聞いて戸惑ったことはないでしょうか。
全国ほとんどの都道府県では弁護士会は1つですが、東京だけは「東京弁護士会(東弁)」「第一東京弁護士会(一弁)」「第二東京弁護士会(二弁)」の三会が並立しています。
どれを選べばよいのか、各会の違いは何か、就職・転職に影響するのか――本記事では、そうした疑問をわかりやすく解説します。
そもそも弁護士会とは?
弁護士会とは、弁護士法に基づき弁護士が強制加入する自治組織です。司法修習を修了して弁護士登録をする際には、日本弁護士連合会(日弁連)への登録とあわせて、いずれかの弁護士会にも必ず所属しなければなりません。
弁護士会の役割や日弁連との違いについては、「弁護士会とは?日弁連との違いや活動内容を紹介」で詳しく解説しています。
東京に弁護士会が3つある理由と各会の概要
なぜ東京だけ3つの弁護士会が存在するのか、その歴史的背景と各会の特徴を解説します。
3つある背景
全国の弁護士会は原則として各都道府県に1つずつ設置されており、北海道のみ地方裁判所が4つあるため4会が存在します。東京は地方裁判所が1つしかないにもかかわらず、3つの弁護士会が並立しているのは全国でも唯一の構造です。
1893年、近代的な弁護士法の制定に伴い東京弁護士会が設立されました。その後1923年に東弁が分裂し、新たに第一東京弁護士会が設立されます。この分裂状態を憂慮した東弁・一弁の会員有志が集まり、1926年に第二東京弁護士会が設立されました。こうして東京には3つの弁護士会が存在することになりました。
3つの会の間に上下関係や地域割りはなく、選択は完全に自由です。また、利用者に不便をきたさないよう、法律相談や当番弁護士の派遣などは受付を1つにして三会が共同で行っており、今後もこうした協力体制は広がっていくと見込まれています。
東京弁護士会(東弁)
三会の中で最も長い歴史を持ち、全国52会の中でも最大規模を誇ります。2026年4月現在の会員数は約9,670人です。 歴史の長さゆえに「伝統と安定」を重んじる風土があると評されることが多く、委員会・研究部の数も多岐にわたります。在籍する弁護士の層が厚いため、分野を問わず幅広いネットワークを築きやすい環境といえます。東京の弁護士会の中では「王道」とも評されることがあり、特にこだわりがない修習生が選ぶケースも多い会です。
第一東京弁護士会(一弁)
1923年、東弁から分裂する形で設立された弁護士会です。2026年4月現在の会員数は約7,640人で、日弁連の初代会長を輩出した歴史を持ちます。
企業法務系の弁護士が比較的多い印象があり、渉外・ビジネス系の案件を扱う事務所に所属する弁護士が集まりやすい傾向があると言われています。実務に直結した情報提供やネットワーキングの機会が豊富で、班制度による少人数グループ研修が特徴的です。育児・出産への補助や男女共同参画への取り組みなど、会員の働きやすさを支援する独自の施策も整っています。
第二東京弁護士会(二弁)
1926年、東弁と一弁の対立を憂慮した有志によって設立された弁護士会です。2026年4月現在の会員数は約7,080人と一弁と近い規模です。
人権問題や市民側の事件に積極的に取り組む弁護士が比較的多いイメージがあり、社会派・リベラルな雰囲気があると言われることがあります。東京三会の中で女性会員の比率が最も高く、外国法事務弁護士の数は全国最多となっており、国際色豊かな点も特徴です。「第二」という名称から一弁の下位組織と誤解されることがありますが、完全に独立した対等な弁護士会です。
三会の違いを比較――実務やキャリアへの影響
会費・研修・ネットワークなど、実務やキャリアに関わる観点から三会の違いを整理します。
会費・研修・委員会活動の違い
三会はそれぞれ独自に会費を設定しており、研修内容や委員会の数・活動の傾向に多少の違いがあります。概要を以下の表にまとめます。
会費について
会費については、本会会費(各弁護士会への会費)は三会でやや差があります。日弁連会費・日弁連特別会費は三会共通です。ここでは、2026年時点で登録2年目にあたる77期の弁護士を例に、登録から5年間のトータル会費の目安を示します(2024年4月1日以降、月額会費が変動しないと仮定した場合)。
| 弁護士会 | 本会会費 | 日弁連会費 | 日弁連特別会費 (5年分) | 合計 |
| 東京弁護士会(東弁) | 315,000円 | 489,600円 | 126,000円 | 930,600円 |
| 第一東京弁護士会(一弁) | 315,000円 | 489,600円 | 126,000円 | 930,600円 |
| 第二東京弁護士会(二弁) | 342,000円 | 489,600円 | 126,000円 | 957,600円 |
東弁・一弁は5年間で約93万円、二弁は約96万円と二弁がやや高い設定になっています。ただし会費は改定される場合があるため、最新情報は各弁護士会の公式サイトや窓口で必ずご確認ください。
なお三会とも、登録後一定期間の会費減額や出産・育児期間中の会費免除制度が設けられています。二弁は他会より育児期間中の免除期間が長く設定されているほか、早期独立弁護士への支援金制度も独自に設けています。
研修について
研修についても、三会それぞれの特徴があります。
・東弁
新規登録後に約20名単位のクラス別研修(ゼミ形式・全7回)を実施しており、同期のコミュニティ形成も兼ねています。また600本以上の研修を収録したオンライン研修「東弁ネット研修」を整備しており、新入会員は1年以内に申し込めば向こう1年間無料で利用できます。企業法務・税務・知財・労働など組織内弁護士向けの研修も充実しているのが特徴です。
・一弁
研修は基本的に無料で提供されています。専門実務分野の研修が多いこと、若手弁護士向けの基礎研修に力を入れていること、eラーニングを取り入れてオンライン受講が可能なことが特徴です。事業再生・倒産・労働・会社法・渉外事件・成年後見・医療・刑事弁護など幅広い分野の講義が受けられます。また後述する班制度と連動して同期の弁護士同士が一緒に研修を受ける仕組みが整っています。
・二弁
入会後1年間、クラス別研修(20名程度・ゼミ形式)を実施しており、法律相談の基礎・家事・交通事故・労働問題などのテーマで研修ごとに懇親会も行われます。年間200件以上の多様な研修を実施しており、早期独立した若手会員には経験豊かな「指導担当弁護士」がOJTで指導する制度も設けられています。
委員会活動について
続いて委員会活動について、三会の傾向を見ていきましょう。
・東弁
100を超える委員会・対策本部等を擁し、「若手会員総合支援センター」や「弁護士活動領域拡大推進本部」など若手の業務推進を支援する組織も充実しています。
・一弁
班制度と連動した若手会員委員会が特徴的で、登録後に同期と一緒に委員会活動をスタートする仕組みが整っています。
・二弁
労働問題検討委員会や全ての性の平等に関する委員会、憲法問題検討委員会、国際委員会など社会的課題や人権テーマに積極的な委員会が充実しており、人権・社会派というカラーが委員会構成にも色濃く表れています。
まとめ
三会の特徴をまとめると以下のとおりです。
| 項目 | 東京弁護士会(東弁) | 第一東京弁護士会(一弁) | 第二東京弁護士会(二弁) |
| 会員数(目安) | 約9,670人(最大) | 約7,640人 | 約7,080人 |
| カラー・風土 |
伝統・安定感。とりあえず東弁という言葉もあるほど王道。企業法務系が多い印象。 |
実務志向・キャリア支援。 | 人権・社会派系が多いイメージ。多様性・国際色。 |
| 委員会数・傾向 |
6カテゴリ計70委員会+25の法律研究部。人権擁護・司法制度・法律相談など幅広くカバー。 |
10カテゴリ計52委員会+17部会の総合法律研究所。若手会員委員会・班制度など若手支援が充実。 |
46委員会。労働・ジェンダー・国際・憲法・環境など社会的テーマに積極的。NIBEN若手フォーラムあり。 |
| 特記事項 | 全国最大。組織内弁護士数も全国最多(1,000名超)。 | 日弁連初代会長を輩出。組織内弁護士委員会あり。 |
女性会員比率・外国法事務弁護士数が三会最多。副会長クオータ制を導入。 |
ネットワーク・人脈形成への影響
弁護士会は、同期や先輩弁護士と繋がるための重要なプラットフォームです。委員会活動や研修、懇親会などを通じて、同じ会内に自然とネットワークが形成されます。
会員数の多い東弁は人脈の幅が広い一方、一弁・二弁はやや規模が小さい分、人と人との距離感が近く濃密なつながりを築きやすいと言われることもあります。また二弁は国際系のネットワーク形成という点では三会の中でも独自の強みを持っています。
いずれの会も優劣はなく、自分のキャリアや活動スタイルに合った人脈形成ができる環境です。
就職・転職活動で知っておきたい実務的な違い
就職・転職の選考において「どの弁護士会に所属しているか」が合否に影響することはありません。書類選考や面接で弁護士会の所属を問われることはほぼなく、選考基準はあくまで本人の能力や経験、キャリアの方向性です。
また、所属する弁護士会によって担当できる案件の範囲が変わることもなく、東京三会のどこに所属していても東京地裁をはじめとした裁判所での業務は同様に行えます。転職に際して弁護士会を変える必要も原則ありません。
多くの弁護士は最初に登録した弁護士会のまま活動を続けます。弁護士会によって「検事出身が多い」「企業法務が強い」などと言われることがありますが、現代においてはこうした傾向の差はほとんどなくなっており、特定の弁護士会が特定の案件を独占するといったことはありません。
「どの弁護士会か」で評価が決まるわけではない
弁護士としての評価は、弁護士会の所属ではなく、日々の業務における専門性や実績、人柄などによって決まります。「東弁に入ると有利」「二弁は不利」といった序列は存在せず、三会は完全に対等な組織です。組織間の対立構造は戦前のもので、現代では全く存在しません。
なお、弁護士会内には「会派」と呼ばれる任意参加のグループが存在します。会派についての詳細は「弁護士会には派閥がある?会派とは何をしている団体なのか」をご参照ください。
弁護士会の選び方――合う・合わないの考え方
三会に優劣はないからこそ、自分の状況や志向に合った選び方を考えてみましょう。
修習生・ロー生・法学部生の視点
東京の法律事務所や企業法務部への就職が決まっている場合、最も一般的なのは「入所先のボス弁や指導弁護士が所属している弁護士会と同じ会に入る」という選択です。入所後は同じ弁護士会に所属する先輩や同期と行動をともにすることが多く、研修や委員会活動もその会の仕組みに沿って進みます。特にこだわりがなければ、まず入所先の先輩弁護士に「どの弁護士会ですか?」と聞いてみるのがもっとも確実です。
若手弁護士・転職者の視点
すでに弁護士として活動中の方が東京に転居・転職する場合も、基本的な考え方は同じです。転職先の事務所で多くの弁護士が所属している会に合わせると、入所後のコミュニケーションや委員会活動が円滑になりやすいでしょう。
一方で、「国際案件の環境で活動したい」「女性弁護士同士のネットワークを広げたい」といった明確な志向がある場合は、それに合ったカラーの会を検討するのも一つの考え方です。
判断軸の具体例
選び方に迷ったときは、以下のような視点が参考になります。
・入所先・転職先のボス弁や先輩弁護士が所属している会を選ぶ(もっともオーソドックス)
・同期や気の合う先輩が多い会を選ぶ
・メンターにしたい弁護士が所属する会を選ぶ
・国際業務や外国法事務弁護士との交流を重視するなら二弁も選択肢に
・規模の大きいネットワークを求めるなら東弁
とはいえ「この会でなければならない」という絶対的な理由はほとんどなく、まわりの弁護士に相談しながら柔軟に決めてよいテーマです。
弁護士会の入会方法と基本的な流れ
登録のタイミングや手続きの流れについて、修習生・転職者それぞれの視点で確認しておきましょう。
新規登録時の流れ
司法修習修了後に弁護士登録をする際には、日弁連および希望する弁護士会への入会申請を行います。入会申込から登録完了まで、常議員会・日弁連の審査を経るため、一定の時間がかかります。三会ともおおむね以下の流れで進みます。
① 必要書類の準備・作成
② 書類・登録料・入会金の提出・振込
③ 各会の常議員会による審査
④ 日弁連による審査・承認
⑤ 弁護士名簿への登録完了
登録完了の連絡は登録日当日の夕方頃にメールで届くことが多く、当日の来会は不要です。登録後は各会主催のガイダンス・新規登録弁護士研修が実施されます。
費用については、三会共通で登録時に収入印紙6万円(登録免許税)が必要なほか、各会の入会金(3万円)と日弁連への登録料がかかります(司法修習終了後1年以内の初回登録は日弁連登録料が1万円に軽減されます)。
具体的な必要書類や申請期間・スケジュールは各会・各期によって異なりますので、入会を希望する弁護士会の公式サイトや窓口に早めにお問い合わせください。
なお、一弁の入会申込書には紹介会員(当会会員)1名の署名・捺印が必要です。紹介会員の有無は審査には影響しませんが、書類として必須となっています。その手配も含め早めに準備を進めることをおすすめします。
転居・転職に伴う登録替えのよくある疑問と注意点
東京以外から東京に移り住んで弁護士活動をする場合は、原則として事務所所在地の弁護士会への登録替え手続きが必要です。ここでは、登録替えについてのよくある疑問についてお答えします。
いつから検討すればよい?内定後でいい?
東弁の案内によれば、現弁護士会での退会手続・各会での審査・日弁連での審査を合わせると約3か月の時間を要するとされています。内定が出たタイミングで入所先のボス弁や担当者に確認し、早めに動き始めましょう。登録希望日に間に合わなかったり、入会に条件が付される場合もありますので注意が必要です。
登録替えの流れは?
まず現在所属している弁護士会で退会手続(登録換え請求書等の取得)を行い、移籍先の弁護士会に入会書類を提出します。審査を経て日弁連で承認されると、同日付で新しい弁護士会の会員となります。退会日と入会日は同日です。
会費の日割りはある?
三会とも会費は日割り計算されません。入会月から満額発生します。登録希望日を月初(1日)にするか、最短日にするかは登録先と相談のうえ決めましょう。
転居後も継続中の案件を担当できる?
登録替えをしても、すでに受任している案件を継続して担当することは可能です。ただし、依頼者への説明や裁判所への届出など案件ごとに必要な対応が生じる場合もありますので、早めに方針を確認しておきましょう。
入会後のガイダンスは新規登録者だけ?
基本的には新規登録者向けに実施されることが多いですが、登録替えの場合の案内については会によって異なります。移籍先の弁護士会に確認してください。
登録替えの際の入会金は?
東弁の場合、過去に東弁の会員だった方が再度登録換えをする場合、入会金が半額(1万5千円)になる制度があります。一弁・二弁も同様の制度がある場合がありますので、各会に確認してください。
紹介者・紹介会員は必要?
三会で扱いが異なります。
東弁は紹介会員が任意で、有無にかかわらず審査は公平に行われます。
一方、一弁は新規登録・登録換えいずれの場合も紹介者(当会会員)1名の署名・捺印が必要書類として求められています。
二弁については公式サイトや窓口でご確認ください。
手続き前に注意することは?
登録替えの前に現在の弁護士会での会費・年次報告書・預り金口座届出など各種義務の履行が完了していないと、入会に条件が付されたり希望日に入会できない場合があります。早めに現在の弁護士会でも確認しておきましょう。
転職に伴う登録手続きの詳細については、「弁護士が転職するための手続きは?ケース別に必要な手続きと流れを解説」もあわせてご確認ください。
東京で弁護士としてキャリアを築くために
弁護士会の選択は、東京でのキャリアを築くうえで軽視できない重要なテーマです。
東京の弁護士会は「どれが正解」というものではありません。三会はそれぞれ対等であり、所属によって弁護士としての評価や業務範囲に差が生じることはありません。
しかし、弁護士会は一度登録したらキャリアを通じて深く関わり続ける組織です。研修・委員会活動・人脈形成など、日々の弁護士業務を支える基盤となります。「どこでもいい」と軽く考えるのではなく、就職・転職先を選ぶタイミングとあわせて、自分に合った弁護士会を意識的に選ぶことが、長期的なキャリア形成において大切な視点といえます。
特に東京への転居・転職を伴う場合は、入所先の環境と弁護士会の関係を早めに確認しておくことで、スムーズなスタートを切ることができます。
弁護士の就職・転職はエージェントに相談を
弁護士会の選び方も含め、東京での就職・転職活動に不安を感じている方は、弁護士専門の転職エージェントへの相談をおすすめします。
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