業界トピックス

CLOとは?なるにはどうすればいいの?

目次
  • 1.CLOとは?

  • 2.CLO(最高法務責任者)に必要な資格・経験

  • 3.CLO(最高法務責任者)を目指すルート

  • 4.まとめ

近年、CEO(最高経営責任者)、CFO(最高財務責任者)、COO(最高執行責任者)などのように「CxO」という名称の肩書きをよく耳にするようになりました。これらは、責任の所在と役割を明確化する観点から欧米型の企業で発展してきた名称ですが、日本でも「代表取締役社長」などの曖昧な名称を避け、このような名称を用いる企業が増えてきています。
今日はその中から、弁護士にも関わりの深いCLOについて解説したいと思います。

1.CLOとは?

CLOとはChief Legal Officerの略で、「最高法務責任者」と訳されます。ゼネラルカウンセルと呼ばれることもあり、その名の通り、法務分野に関する全ての業務について責任を負う立場です。コンプライアンス重視の流れの中でCLO(最高法務責任者)のニーズは高まっているといえます。

1-1 インハウスローヤーや顧問弁護士との違い

CLO(最高法務責任者)はCEOやCFOと同様、経営責任者すなわち「役員」という立場である点がポイントです。契約書のレビューや法律問題へのアドバイスなどの業務を行うという点ではインハウスローヤーや顧問弁護士と共通しますが、あくまでも社員として上司の指揮命令に従わなければならないインハウスローヤーや、社外から第三者としてアドバイスを行う顧問弁護士とは異なり、経営者の一人として独自の立場で経営判断を行うことが出来ます。そして、それに伴い経営責任も負うことになります。
アメリカでは、社内でのCLO(最高法務責任者)の地位は極めて高く、CLO(最高法務責任者)が「ノー」と言えばプロジェクト全体がストップするとも言われています。CLO(最高法務責任者)とは、法律の専門家であると同時に、単なる法的なアドバイスを超えて、CEOらと共に企業の意思決定に積極的に関与していくことが求められる立場と言えます。

1-2 具体的な業務・求められる人材

CLO(最高法務責任者)の代表的な業務には、契約書作成・レビュー、法律問題へのアドバイス、法令・判例調査、内部統制システムの構築、コンプライアンスの強化、法改正に伴う諸対応などがあります。
これだけを見ると、インハウスローヤーや顧問弁護士とあまり変わらないように思えるかもしれません。しかし、インハウスローヤーや顧問弁護士であれば、法的リスクの分析と、考え得る対応策までを提案すれば十分といえるところ、CLO(最高法務責任者)は、それだけにとどまらず、「対応策を採ったとしても残りうるリスクを取るべきか、取らざるべきか」という経営判断まですることが求められます。
その意味で、企業法務を専門とする一般的な弁護士に比べ、「ビジネスセンス(バランス感覚)」、「決断力」、「リーダーシップ」が必要になります。確かな法的知識をもとにしつつも、法律的な解釈にとらわれすぎることなく、ダイナミックな判断を下すことが必要になるのです。
また、欧米と比較した場合、日本企業の会社役員らは、顧問弁護士のアドバイスをそのまま受け入れてしまう傾向にあると言われています。しかし、弁護士がCLO(最高法務責任者)という立場で経営に参画する以上、経営戦略を踏まえて、時には顧問弁護士のアドバイスに対して「ノー」という勇気も必要になってくるでしょう。
弁護士は、誰かの代理人やアドバイザー的な立場で仕事をすることが多い職業です。しかし、CLO(最高法務責任者)の場合は、自分がリーダーなのだという意識を持って仕事に臨むこと、その重圧と責任を受け止め、主体的に業務に取り組んでいくことができる人材が求められていると言えます。

2.CLO(最高法務責任者)に必要な資格・経験

CLO(最高法務責任者)になるために必要な資格というものはありません。しかし、最高法務責任者として高度な判断を行うためには豊富な法律知識が不可欠であり、必然的に弁護士資格保有者から選定される場合が多くなります。アメリカでは、法務のトップには弁護士資格保有者を充てるのが当然の常識になっているようですので、この流れを受け、日本でも弁護士をCLO(最高法務責任者)に任命する傾向が強まっていくと考えられます。
また、CEOらと共に経営判断に携わっていく立場である以上、単に弁護士であるというだけでなく、株主総会対応などを含む企業法務の経験が豊富である人、コーポレートガバナンスについての見識が深い人などが採用されることになるでしょう。
更に、グローバル化が進む現状においては、語学力はもちろん、海外の弁護士資格を保有していればなお、望ましいと思われます。会社役員である以上、様々な関係者と円滑なコミュニケーションを取ることのできる能力も必須になります。

3.CLO(最高法務責任者)を目指すルート

日本ではまだCLO(最高法務責任者)という役職はそれほど馴染みがないため、「CLO(最高法務責任者)を募集します」という形での求人は滅多にないのが現状です。ただ、まれに「CLO(最高法務責任者)候補」として、入社後、数年から10年後くらいを目処にCLO(最高法務責任者)就任を目指すことを前提に採用される場合があります。
まだCLO(最高法務責任者)制度を導入していない企業がすぐにCLO(最高法務責任者)という役職を設置するのは難しいと思われるため、最も現実的なのは、CLO(最高法務責任者)を既に導入している企業の法務部長または法務部員として入社し、CLO(最高法務責任者)を目指すというのが現実的だと考えられます。顧問弁護士として関わったのちに、CLO(最高法務責任者)として参画したという例もあります。
ベンチャー企業や大手企業でも、今後CLO(最高法務責任者)を作ろうという動きが活発化する可能性は十分ありますので、常に情報収集をしておくとよいでしょう。

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4.まとめ

2000年当時、インハウスローヤーという仕事に就いていた弁護士は、日本全体で30人程度だったそうです。しかし、2020年現在では1000人を超えています。CLO(最高法務責任者)も、これからの時代の弁護士が活躍するフィールドとして今後注目を集めることになるでしょう。
C&Rリーガル・エージェンシー社は、弁護士に特化した転職エージェントです。いずれはCLO(最高法務責任者)を目指したいという方に、最新の企業動向を踏まえた具体的なアドバイスをさせていただくことが可能です。キャリアアップをお考えの方はぜひ一度ご相談ください。

記事提供ライター

社会人経験後、法科大学院を経て司法試験合格(弁護士登録)。約7年の実務経験を経て、現在は子育て中心の生活をしながら、司法試験受験指導、法務翻訳、法律ライターなど、法的知識を活かして幅広く活動している。

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